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症状検索エンジン「ユビー」のUXライティングを改善している話

Yoshihide Jimbo2022/12/05に公開

Ubie Discoveryでプロダクト開発をしている@jimboです。

Ubieでは現在、デザイン生産基盤整備の一環として、プロダクト上のUXライティングを改善する取り組みを行っています。この記事では、これまでの活動内容について紹介します。

UXライティングとは

ユーザーは、プロダクトやサービスを利用する際、あらゆる場面で「言葉」を目にします。タイトルや説明文、ボタンのラベル、通知、エラーメッセージなどなど。

UXライティングでは、これらの「言葉」に注目し、どのような言葉を使うのか、あるいはどのような言葉を使わないのかといった「言葉のデザイン」をUXデザインの一部として行います。 ユーザーによりよい体験を提供し、サービスに魅力を感じてもらえるような「言葉づかい」を考えることがUXライティングの目的です。

症状検索エンジン「ユビー」におけるUXライティングの課題

症状検索エンジン「ユビー」は、公開されて3年近くが経ちます。この間、さまざまな「負債」が積み上がってきましたが、UXライティングに関する負債もそのひとつでした。

例えば、ユーザーである生活者に向けた挨拶メッセージを考えてみます。

  • 「xxさん、こんにちは!」
  • 「xxさん、体調はいかがですか?」
  • 「xx様、お加減はいかがでしょうか」

それぞれユーザーに与える印象は異なります。フレンドリーなものもあれば、やや丁寧すぎて堅苦しいと感じさせるものもあります。これらを意図せず混在させてしまうと、「プロダクトらしさ」が薄れ、多重人格のような印象を与えてしまう恐れがあります。残念ながら、このような「ブレ」が症状検索エンジン「ユビー」上でもちらほら見られ、一貫性に欠けている状況でした。

病気についての解説文にも課題がありました。医学的な正しさを重視するあまり、生活者が普段使わない表現や難しい漢字が使われているものがありました。また、丁寧に説明しようとした結果、冗長でかえってわかりづらい文章となっていたりしました。

他にも「ですます調」と「である調」が混在している、記号の使い方がそろっていない、表記ゆれがある、など基本的な問題もありました。

これらの課題を解決するために、デザイナー、デザインエンジニア、プロダクト開発エンジニアが集まって、UXライティングを改善するプロジェクトを始めました。

ボイスの定義およびボイスチャートの作成

Ubieでは、サービス上のテキストを考える役割を、デザイナーが担うこともあれば、エンジニアが担うこともあります。また、医学的なテキストに関しては医師が中心となって考えます。チームメンバーやその職種が多様なため、言葉の選び方に一貫性をもたせるためには、ルールを定める必要があります。

そのルールの基礎となるものとして、まず「ボイス」を定義し、「ボイスチャート」を作成するところからはじめました。

ボイスとは、企業やサービスの「性格」や「キャラクター」を表すものです。

ボイスは、人の性格に置き換えるとイメージしやすくなります。人の性格がそれぞれ違うように、ボイスとは個性であり、文章からキャラクターが分かるものです。たとえば、倫理観がある、誠実、元気があるといった価値観そのものを伝えます。

引用元:ボイスアンドトーン | UXライティングガイド | upwrite

症状検索エンジン「ユビー」というサービスはどういう性格を持っているべきか。利用するユーザーにとってその体験はどうあるべきか。

社内ではすでに、Ubieらしいプロダクトを表現するためのキーワードとして、「Ubieプロダクトデザイン4原則」が定められていました。

  1. 気軽
  2. かんたん
  3. 誠実
  4. スッキリ

それらも参照しつつ、次のような3つのボイスを定義しました。

  • 理解できる
  • 安心できる
  • 信頼できる

そして、これらのボイスの特徴をいくつかの軸でまとめた「ボイスチャート」を作成しました。

理解できる 安心できる 信頼できる
コンセプト 簡潔でわかりやすい。冗長でない。理解できる。ブレない。 心地よく受け止められる。体調が優れない人の負担にならない。 的確かつ率直に伝わる。
語彙 辞書などで調べなくても読めて理解できる。 同じ意味でも日常で使う単語を選ぶ。 裏付けがある。医学的に間違いがない。
冗長性 一文一義。一文は80文字以内にする。 思いやりが伝わる。
例:「お大事にしてください」「体調はいかがですか」
簡潔である。「xxxとなります」のような誤った敬語を使わない。
文法 文の構造をできるだけ単純にする。重文や複文はできるだけ避ける。係り受けを明確にする。 OK: 丁寧
NG: フレンドリーすぎ、過度な敬語、堅苦しい表現、あおり
正確な文法だが、自然な読みやすさもある。
約物 NG: 読点の濫用、句読点の省略 OK: ?
NG: ??、?!、!、〜、ー
約物を統一する(【】「」『』など)
漢字・ひらがな・カタカナ 送り仮名を省略しない。横書きでは算用数字を使う。
専門用語はひらがなにしづらいので読み仮名をつける。
常用漢字表、公用文作成の要領にない漢字はひらがなで書く。 幼稚な表現にならないように留意する。

ボイスチャートをもとにしたガイドラインの作成と校正チェックの自動化

できあがったボイスチャートを眺めてみると、人の判断が必要なものと機械的にチェックできるものがあることに気づきます。

例えば、「思いやりが伝わる」表現かどうかは人の判断が必要です。しかし、「一文は80文字以内にする」や「特定の約物の使用禁止」などは機械的なチェックが可能です。

そこで、ボイスチャートを作成したあと、前者を補完するものとして「UXライティングスタイルガイド」を作成しつつ、後者をサポートするために自動校正チェックの環境整備を進めました。

UXライティングスタイルガイド

UXライティングスタイルガイドは、具体例などを交えつつ、表現や言葉づかいの良し悪しを詳しく解説したものです。現在作成中のため、一部のみご紹介します。

例えば「言葉の選び方」というセクションでは、社内で当たり前に使われている言葉の例を挙げて、生活者が日常で使う言葉に置き換えるよう促しています。

Bad 🙅 Good 🙆
医療機関 病院
疾患 病気
既往歴 かかったことがある病気

また、「敬語」というセクションでは、敬語を使ったほうがいいケースと敬語をあえて使わないケースをあげています。使う場合も軽すぎたり、過剰になりすぎないように注意を促しています。

Bad 🙅 Good 🙆
お大事に。(※軽すぎる) お大事になさってください。
お手数をおかけしますが、お問い合わせいただけますようお願い申し上げます。(※過剰) お手数ですが、お問い合わせください。

アクセシビリティ観点で注意すべき点も記載しています。症状検索エンジン「ユビー」はスクリーンリーダーに対応しています。スクリーンリーダーで読み上げられても、ユーザーが理解しやすい表現にしなければなりません。また、音声のみで情報を取得するユーザーは、視覚的な位置関係を目で見ることができません。したがって、場所ではなく、時系列や順序を意識した記述になるように気をつける必要があります。

Bad 🙅 Good 🙆
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textlintによる自動校正チェック

textlintというのは、日本語や英語の文章を校正できるツールです。好きな校正ルールを組み合わせて文章をチェックできます。

https://textlint.github.io/

校正ルールは、自作したり既存のルールを組み合わせて独自のルールセットを作成できるため、Ubieでも約20のルールを組み合わせた専用のルールセットを用意しました。これにより、文章の長さや冗長な表現、漢字ではなくひらがなを使うべき言葉、「ですます調」と「である調」の混在などを機械的にチェックできるようになりました。

そして、このルールセットを使って、症状チェック時にユーザーへ尋ねる質問文や、結果画面に表示する病気の解説文をチェックする仕組みを作りました。また、textlintを実行するSlackbotを開発して、Slack上で好きな文章を気軽にチェックできるようにしました。

Slackbotとのやり取り

まとめ

プロジェクトとしてはまだまだ途中ですが、Ubieでは今後もUXライティングを改善する取り組みを続け、生活者の皆さんによりよい体験を届けていきたいと考えています。

この記事が、同じような取り組みをしている方や、UXライティングに興味を持っている方に少しでも参考になれば幸いです。

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