Zenn
↗️

Ubie、Cursor Business導入しました!40名超の開発者で実感するAI開発支援の力強さ

2025/01/31に公開
12

2025 年に入ってから AI の、特にエージェントによる支援を強く受けられる開発環境の導入を進められた方は多いのではないかと思っています。
僕が働いている Ubie でも、先日お伝えした通り Cursor や Cline の検討を行っていました。

https://zenn.dev/ubie_dev/articles/624c9034cc9b43

そしてこのたび、 Ubie では Cursor の Business プラン を導入するに至りました。

本記事では Ubie で Business プランを導入するに至るまでの検討・調整と、導入から二週間経過した上での所感をお伝えします。 AI による強力な開発支援を受けたい方々の検討材料になったら嬉しいです。

TL;DR

Ubieは、AIコーディング支援ツール「Cursor Business」を迅速に導入し、すでに40名以上の開発者が活用を開始しています。
一人当たり月額 $40 というコストながら、AIエージェントの活用により、開発の生産性向上や制約開放を実現できそうな手応えを得ています。
課題はまだまだありますが、迅速な意思決定とAI活用への積極的な姿勢が今後の AI 活用を左右すると考えています。

Cursor とその Business プランとは?特徴と導入の理由

Cursor についての網羅的な説明はここでは不要かと思います。ざっくり、開発者のコーディングを強力にサポートする VSCode ベースのエディタです。 Cursor にはいくつかのプランがあるのですが、 Business プランは一定人数の開発者がいる企業のエンジニアリング組織で導入するのに適しているでしょう。

https://www.cursor.com/pricing

Business プランについて

Business プランでは Pro プランの機能に加えて、組織で運用するのに適した以下の機能があります。

  • プライバシーモードを中央集権的にオンにできる
  • 課金を集約できる
  • メンバー管理やメトリクス可視化のためのダッシュボード
  • SAML/OIDC SSO サポート

Pro プランが一人当たり月額 $20 で使えるのに対して、 Business プランはその倍額の $40 です。比較してしまうと、倍の価格で機能差分があまり無いようにも感じてしまいますが、一定人数が企業で利用するにあたり、やはり欠かせないプランかなと思っています。

ちなみに Business プランで閲覧できる管理画面は以下のようなイメージです。 2025/01 現在、正直多機能とはあまり言い難いですが、必要な機能は整っていると言えます。


UbieはなぜCursor Businessを選んだのか?

Ubie では現状、 Devin や Cline などの利用の検討も継続して進んでいます。それらの詳細については以下の記事にて触れております。

https://zenn.dev/ubie_dev/articles/devin-for-test
https://zenn.dev/ubie_dev/articles/624c9034cc9b43

そのような中で Cursor Business の導入を決定した背景として、やはり Cursor による AI を基礎とした開発体験がまず挙げられます。前述の記事でも触れておりますが、 Cursor ではエディタが持つ様々なコンテキスト情報をプロンプトに気軽に与えることができ、 AI が組み込まれた機能が多彩で、「ほとんど手動開発しない」体験を追求することができます。 真に使いこなせれば開発生産性を大きく飛躍することができると言えるでしょう。
また、 課金額がコントロールしやすい 点もメリットと言えます。 Devin や Cline ももちろんコストパフォーマンスに優れておりますが、うまくコントロールできず成し遂げたいことに対してコストが嵩んでしまうケースもありました。ユーザ側の習熟や対象プロジェクトで AI が動作しやすい環境を整えるべきという話もありますが、まずは利用ツールとして課金に心配しすぎないで済むものを選定したい思いもありました。 Cursor の Composer Agent が長々と tool call しながら動作したとしても利用枠のリクエスト数を少し消費するだけで済むのは、初心者でも安心して利用できることに繋がるかと思います。

細かい点ですと、 Pro と Business どちらのプランで検討するかは導入前に迷ったのですが、思いの外 「使いたい!」というメンバーが 40 名前後と多く 、人数規模も鑑みて課金管理の手間とプライバシーモードの強制ができる Business プランの利用を決定しました。

検討開始からわずか1週間で導入!Ubieにおける導入までのプロセス

Ubie では実際に Pro/Business といった有料プランを検討し初めてから一週間程度で導入するに至りました。とはいってもいちメンバーの独断で導入しているわけではなく、

  • リスクの相談窓口のレビュー
  • 経費の妥当性のレビューと承認
  • 社内利用者へのオンボーディング

という踏むべきステップを経ています。僕自身の職場の持ち上げにはなってしまいますが、生成 AI 技術が急速に発達するなか、関係メンバーが積極的に関わって導入検討を後押ししてくれました。(この激動の時代においては、迅速な意思決定と行動が、企業の競争力を大きく左右すると考えています。)

Cursor Business のコストパフォーマンス

経費申請する上でやはり Cursor Business の ROI が良いのかというのは気になるところですが、僕としては十分過ぎるくらいに高いはずと考えました。 一人当たり月額 $40(約6000円) というコストは手頃な価格 と言えるでしょう。ハイクラスのソフトウェアエンジニアの報酬の時給換算はこの額を超える可能性もあると思いますが、そのようなエンジニアが月々 1 時間少々分の生産量向上効果を得られるならその時点で既にペイしていると言えるはずです。 Cursor Pro/Business で付与される 500 回の fast premium requests を本気で使いこなせば、このリターンは刈り取れるはずです。

Cursor のオンボーディングや啓蒙

Cursor に限らず新しい開発ツールは開発者がいきなり完全に使いこなせるわけではないでしょう。ましてや AI 開発支援ツールは使いこなせるか否かによって得られるアウトプットが大きく異なってきます。開発組織としてアウトプットを最大化するための努力はしたいところです。

そこで オンボーディングのドキュメント作成とエンジニアが集まる社内ミーティングなどでの啓蒙 を行いました。まずオンボーディングドキュメントは以下のようなイメージのものになります。使い始まる前までの導入や、使い出してから困りそうなポイントをいくつかストックしています。


さらに啓蒙のために、エンジニアが多く参加するミーティングでのデモや基礎的な解説、そして Slack でワイワイ話すためのチャンネルの整備を行いました。 Cursor のようなエディタを集団で使いこなしている企業はまだそれほど多く無いと思うのですが、それゆえ「先進的な取り組みをしている」「新しいアプデにわくわくする」ような空間の演出をして、集団で積極的に取り組みやすい雰囲気の醸成を目指しています。


社内の声から見る導入効果

Cursor Businessの導入から二週間経過したのですが、早くも社内で大きな効果を上げています。実際に利用しているメンバーからは以下のような声が上がっています。

プロダクト開発やインフラ開発に携わる熟練のエンジニアたちも、完璧では無い部分も感じつつも効果を実感しています。




また、主にデータ分析業務に関わる BI メンバーからもポジティブな声が聞こえています。



ちなみに Dev Genius / Dev爺というのは Ubie で内製している生成 AI Webアプリケーションです。

https://zenn.dev/ubie_dev/articles/ee95c03794f47f

さて、これらの喜びの声から見て取れる発見としては、主に期待されている「開発生産性の向上」はもちろんながら、 「制約開放」というリターンもある ということです。あるメンバーは普段は Go を触っておらずそれほど知識も無いとのことなのですが、 Cursor Composer を使ってちょっとしたツールを実装できたといいます。他にも QA エンジニアがテストコードをスムーズに作成する .cursorrules の開発をしたり、自らも開発に参加したケースもあります。これらは定量的に評価しにくくはありますが「今まで出来なかった(制約がある)ことができるようになり、発想の幅が広がる」リターンもあると言えます。これが将来さらなるアウトカムを産む可能性もあります。

AI開発支援の課題感と展望

課題感

これまでポジティブな面を主に紹介してきましたが、もちろん超えるべき課題もあります。

まずは 複雑なドメインへの対応の難しさ です。複雑なプロダクトドメインの奥地においてはうまくコンテキストを読み解いて最適なコードを生成するのが難しい場面があります。数年に渡りメンテされてきた成熟したコードベースとその背景にある複雑なドメインにおいて、それを紐解きながら AI に自走してもらうのは、現状だと困難を伴います。うまくコンテキストを注入して、自動テスト等でガイドしながらも、人間がうまくドメインを紐解いて AI にタスクを切り出す能力が求められます。

またAIから的確なアウトプットを得るためには、 ユーザーが明確かつ簡潔な指示を出す必要 があります。これは Cursor に限りませんが、曖昧な指示や、抽象的な指示では、AIはユーザーの意図を正確に理解することができず、期待通りの結果を得ることができません。対人間に依頼をする時もそうだと思うのですが、上手くメッセージを組み立てる能力も必要となってきます。「いい感じにテストを書いておいて」とか雑なプロンプトで、現実いい感じのアウトプットを得られる可能性は低いでしょう。

Ubieは開発における AI 活用を諦めない

これらの課題を認識しつつも、 Ubie は Cursor はじめ AI による開発支援の活用を諦めません。以下ブログでも挙げておりますが、 AI がより自走しやすい環境整備 が求められます。このような手を尽くすことは人間の開発者向けにも易しいものになりますし、 AI 活用の幅を大きく広げることになるでしょう。この活用の具合によって今後の企業間の開発能力の差になるかも知れないとも思います。

https://note.com/yukukotani/n/nb3b76fcf881c

AI 活用を諦めて、「なんだ期待したより使えないな」と幻滅するのは簡単ですが、それ以上の発展が見込みにくくなります。 Ubie では生成 AI によるブーストを最大化する努力を継続するつもりです。

また、 AI 活用のための道筋はなにも技術的なことだけとも限りません。 AI 活用を全体的に推進できるカルチャー、人材要件、人材開発、社内イベントの設定、会話の設定、、、組織開発方面から登ることもできます。これらも併せて、今後の AI 活用を促進していきます。

おわりに

というわけで Ubie における Cursor Business 導入のご紹介でした。まだまだ使いこなしには課題がありますが、すぐに実感できる効果も出初めていて、今後の開発能力の発達が楽しみでもあります。

ちなみに本記事では本題からずれるのであまり触れなかったのですが、 Ubie において Devin の活用も進んでおります。こちらは特にエンジニア以外、 Ubie でいうとデザイナーなどが軽量な開発をするために Devin を使うようなユースケースも生まれてきており、軽量で手軽な Devin と重厚できめ細やかな Cursor あるいは Cline のような使い分けが進むのでは無いかと感じています。

末筆ですが、 Ubie では生成 AI の活用を全面的に推進しています!本記事で紹介した Cursor Business の迅速な導入をはじめ、エンジニア以外でも生成 AI をバリバリ使いこなして生産性を上げようとしています。この激動の時代に非常に刺激的な職場になっていると自負しております。

https://x.com/moriudon0626/status/1882738564745859173

もしこのような組織にご興味があれば、ぜひ採用サイトをご覧いただければ幸いです!!!

https://recruit.ubie.life/

12
Ubie テックブログ

Discussion

ログインするとコメントできます