🚀 AIと共創する開発体験：IssueからE2Eテストまでを最適化

株式会社U-ZEROでプロダクト開発を担当しているエンジニアです。
本記事はアドベントカレンダー 12月2日の記事としてお届けします！
前日の記事は以下で読めます
https://note.com/u_zero/n/nf92f037d62fd

全力でAIの力を借りて記事を書いています！

ChatGPTの登場以来、AI技術は私たちの日常やビジネスを一変させました。そして、開発の現場も例外ではありません。

私たちの組織では、AIを単なるコード生成ツールとして留めず、「開発体験（Developer Experience）を劇的に向上させるための強力な共創者」と捉えています。具体的には、非創造的な作業をAIに任せることで、生産性の向上、品質の安定化、そして何よりエンジニアが本質的な課題解決に集中できる環境づくりを目指し、日々試行錯誤を続けています。

本記事では、私たちの開発組織が実際にどのようにAIを活用し、「Issue作成からE2Eテストまで」という開発プロセス全体をどのように改善しているのかを、具体的な体験談を主軸にご紹介します。

まだAI活用が進んでいない組織や、既に利用しているものの次の一手を模索しているエンジニアの方々に、実践的な事例として役立つことを願っています。

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本文：開発フローにおけるAI活用事例

私たちは、開発の各フェーズにおいてAIを組み込むことで、手戻りコストを削減し、価値提供の速度を高めることを目指しています。

以下のステップでAIを活用しながら開発を進めています。

• Issueのブラッシュアップ： 要求の明確化（AIによる抜け漏れチェック）
• 実装設計： 実装方針の策定（AIによる設計ドキュメント生成）
• 実装： コーディング（AIによる規約に沿ったコード生成）
• レビュー： 品質保証（AIによる多角的なコードレビュー）
• PR作成： 情報共有（AIによるPR詳細の自動生成）
• E2Eテスト： 自動検証（AIが生成したテストケースの自動実行）

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1. Issueのブラッシュアップ：手戻りを未然に防ぐAIの活用術

Issueが曖昧であったり情報が不足していると、思い違いによる手戻りコストの発生や、本来不要な機能の開発などが発生する温床となってしまいます。この重要な工程において、AIを「抜け漏れをチェックし、Issueの質を高めるための壁打ち相手」として活用しています。

課題・インパクトの明確化

中身が薄かったり、課題ベースではなくHowベースでIssueが作成されている場合、AIは「イシューからはじめよ」フレームワークの6つの問いなどを参照し、以下のように課題の深掘りを行います。

• 現状の課題： 具体的に何が問題か？
• 解決後のインパクト： 解決することでどのような価値が生まれるか？

これにより、「このIssueを本当に扱うべきか」を判断可能なレベルまで情報量を増やす作業を効率化しています。

受け入れ条件の詳細化

受け入れ条件の作成時、AIは一人では見落としがちなエッジケースやエラーパターンなどを、過去の類似事例やベストプラクティスから補完することで、条件の網羅性を高めます。これにより、PdM/POとの認識差異を最小化し、開発途中の仕様変更による手戻りコストの増大を抑止しています。

開発タスクの一覧化

対象となる実装範囲と影響機能を洗い出す際、AIはIssue内容からFrontend/Backend/Infrastructureの作業分類を自動で行います。新規作成・変更のあるAPIやDatabaseの情報を抽出し、後の実装設計やテスト観点のための準備情報を迅速に整えます。

テスト観点の作成

受け入れ条件に記載された内容をインプットとして、AIは必要なテスト項目を網羅的に洗い出し一覧化します。影響範囲によっては、リグレッションテストのケースも含め、質の高いテストケースを素早く生成することで、手動でのテストケース作成の負荷を大幅に軽減しています。

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2. 実装設計：実装の精度を高める地図づくり

質の高いIssueをインプットとし、「AIに正確に実装を任せるための設計図」を作成します。

AIを活用し、実際にどこに何を作っていくのかを詳細化したドキュメントを生成します。具体的には、APIのInterfaceや必要なModelの定義など、具体的な実装内容に沿った情報を構造化して収集することで、この後の実装フェーズの基盤を固めます。

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3. 実装：規約に沿った一貫性のあるコード生成

作成した設計ドキュメントをもとに実装を行います。

事前にAIにコーディング規約や実装ルールを参照させることで、他コードと一貫性のあるコードを生成させるよう制御しています。このルールベースの生成により、レビューの手間を削減し、コード全体の品質を均一に保つことが可能になります。Worktreeを利用した並行開発など、複雑な開発環境にも柔軟に対応しています。

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4. レビュー：多角的な視点による品質チェック

実装されたコードについて、CodeRabbit CLIなどのツールを活用し、広範な観点でのレビューをAIに実行させます。

• ルールの遵守： コーディング規約や実装ルールに即しているかのチェック。
• 潜在的なバグ： ロジックミスやエッジケースの指摘。

さらに、自分自身で実装したコードについてもAIレビューを実行することで、セルフレビューの一環として活用し、人間によるレビューの前に自ら品質を担保するステップを組み込んでいます。

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5. PR作成：変更内容をわかりやすく伝える自動化

PR（Pull Request）の作成と詳細の更新をAIに任せます。

Issueの内容と実際のコードを参照し、以下の情報を自動で記載します。

• 作業サマリー
• 実装詳細（技術的な変更点）
• 変更ファイル一覧
• 結合テストケース

これにより、PR内での変更をわかりやすく表現し、レビューアが迅速かつ正確に内容を把握できるようサポートします。

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6. E2Eテスト：自動実行による迅速な検知

開発フローの最終段階として、E2Eテストを実施します。

PRに記載されたテストケースをPlaywrightなどのツールを用いて自動実行します。これにより、基本パターンについて問題が起きていないかの検知が簡単になり、実装のデグレードを迅速に発見し、品質を確保します。

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🤖 まとめ：AIがもたらした具体的な変革と成果

本記事では、開発プロセスにおけるIssue作成からE2Eテストに至るまで、私たちの組織がAIをどのように「共創者」として活用し、開発体験（Developer Experience）の向上を図ってきたかをご紹介しました。

この取り組みを通じて得られた最大の成果は、以下の2点に集約されます。

• 品質と速度の両立： Issueのブラッシュアップやレビュー工程でのAI活用により、手戻りのリスクや抜け漏れの防止が実現しました。これにより、初期段階での品質が担保され、結果としてユーザーに必要な価値を素早く届けることが可能になりました。
• 創造性へのシフト： 単純なドキュメント作成やコーディング、レビューといった定型的な細かい作業をAIに任せることで、エンジニアは複雑な問題解決やアーキテクチャ設計といった、本来集中すべき創造的な事項に時間を割けるようになりました。

私たちの開発全体における作業の並列度は間違いなく向上しており、全体で見た場合の生産性向上を実感しています。

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📈 今後の展望とAI活用の課題

AIの導入は大きな進歩をもたらしましたが、AIのみですべてのタスクを完璧に置き換えられるわけではないことも事実です。私たちは以下の領域に引き続き、改善の余地と課題を感じています。

1. 複雑なタスクへの適用： より複雑度が高く、詳細化・分割が難しいタスク、特に複数のシステムやドメインを跨ぐ広範囲な情報が前提情報として必要なタスクについては、AIによる適切なサポートの難易度が高いと感じています。
2. コンテキストの整合性担保： 必要なデータが複雑で、AIによる提案が既存のコードベースやビジネスロジックと乖離しないよう、整合性の担保における難易度が高いタスクには、慎重な人間によるレビューが不可欠です。

これらの課題は、AIのコンテキストウィンドウのさらなる拡大や、我々がインプットすべきドキュメントの整理・構造化が進むことで、より解決可能になっていくものと期待しています。

変化を恐れず、価値創造へ

AIの力を上手く使うことにより、私たちは「より意味のあるユーザー価値を生み出す」という本来のミッションに、より集中できるようになりました。

AIは既に単なる流行ではなく、より良い開発体験、ひいてはより良いプロダクトを提供するための優秀な手段となっています。今後も私たちは、変化を恐れず、変化を取り込み進歩し続ける開発組織として、プロダクトを提供していく所存です。

ご覧いただきありがとうございました。明日以降のアドベントカレンダーの記事もぜひお楽しみに！