Turingの未来の拠点立地について考える
Turingの未来の拠点立地について考える
Turingアドベントカレンダー7日目です!今日はVehicleチームの山口が担当します。最近Xのカッパッパさんの取材や、前回のテックブログで車両開発チームの黎明期から現在までの間(といっても1年もたっていない)を赤裸々に語らせていただきましたが、今回は「これから」を見据えて取り組んだことの一端を書きます。
Turingの車両開発計画と現状
Turingでは、今後のマイルストーンとして2025年に100台、2027~2028年に1000台、2030年に10,000台の量産開発計画を掲げています。足元はセル生産、ファブレス生産でマーケットに車両を販売していく形です。
一方で2030年の量産、工場立ち上げを鑑みると遅くともその5~6年前には試作車の設計・開発、工場の獲得から量産ラインの立ち上げを実施していかなければなりません。足元の販売に向けた開発と中期的には試作~量産スキームの構築という複数のイシューを同時並行で進めています。
また、現在の組織規模は正社員で10名規模、構成員数では20名規模となっており、多くのイシューを進めるには人が足りません。そのため、採用活動にも多くのリソースを割き来年には100名規模の車両開発組織にするための動きをしています。
来年以降量産販売する車両開発拠点として今年の夏、Turing Nova Factoryを立ち上げました。実際に車両やコンポーネントを試作したり、ばらしたり、テストしたり、と実物を目の前に設計と販売に向けた準備を進めています。しかし、このNova Factoryの拠点は大きくないため、今後の事業拡大に向けて移転や工場立ち上げ、複数拠点の立ち上げなどさまざまな検討をしています。今回はその中で、工場立ち上げにおいて弊社がどんな観点で検討を進めているのかをご紹介します。
拠点立ち上げには複数のイシューが絡む
当たり前のことですが、拠点の立ち上げは会社においてかなり重大なイシューです。検討論点の漏れは、中長期で事業にクリティカルな痛みをもたらします。そのため、あらゆる角度で要素を洗い出し、事業や組織、開発の成長ストーリーを描いて進めるスタンスが重要となってきます。
そこで、われわれは下記論点から工場拠点候補の論点を整理しました。一つずる説明していきます。
- 事業成長ストーリーを図るための他社実績・地政的な論点
- 採用・組織スケールの論点
- 開発チームのあるべき姿や開発スタイル
事業成長ストーリーを図るための他社実績・地政的な論点
われわれはWe Overtake Teslaというミッションを掲げており、Teslaをベンチマークしています。彼らの成長ストーリーのキーファクトとしてTOYOTAとFordの合弁、NUMMIの工場獲得があったことは挙げられます。スタートアップにおいて、どんなタイミング・条件・状況で工場を獲得できるかは非常に重要です。そのため、「Turingにおいてベストな工場獲得の条件」を定めました。
また、それだけではなく国内の完成車メーカーの工場獲得の歴史や変遷を調べ、場所・投資額・獲得期間前後の開発車両やその売り上げや事業の技術拡張の経過もベンチマークとしています。有識者の方と話す中でいろんな方々からいただいたアドバイス、自身の経験値などをもとに、複数の年間製造台数のパターンとシナリオを立てて土地の面積、建物の面積や設備投資額の見積りをしました。
さらに地政的な論点で行政の方針や変化、彼らの発信も主要な要素です。工場拠点を構えることで大規模な雇用が生まれます。それはまちづくりや行政に大きな影響を及ぼし得ます。そのため、行政観点での発信や動きを事業開発チームと一緒に追っており、彼女たちの強力なサポートを得ながら候補拠点案をリサーチしているのです。
採用・組織スケールの論点
事業成長ストーリーを鑑みた論点だけでなく、採用・組織の論点も大事にしています。事業や開発を成立させる要素の多くを占めるのは「ヒト」です。そのため、拠点拡大の検討とセットで人員計画も定めています。ある場所に拠点を構えたとして、Turingに入ってくれる人が増えそうか、また職種、スキル面でもバランスの良い採用を見込めるか、など短期的な開発や製造の計画だけではなく、中長期的な観点でも検討しています。そのため、産業別の労働人口の分布を調べたり、ある地域を構成する主要な産業を調査したりしています。
一つのファクトとして、Turingが柏の葉キャンパスから大崎に移転することでAI・ソフトウェア人材の採用の進捗に大きな変化があったことが挙げられます。この変化を目の当たりにしている車両開発チームとしても、開発拠点の立地はその後のチームの成長を支える非常に重要なイシューだと考えています。
そもそも仲間とその拠点で何をやるか?当然、目の前のTuring Crossover Founders Editionはもちろん、その先の拡販版であるTuring Crossover、そしてTuring MPVで世の中に提供する価値から、これに詰め込む技術は何かを考え拠点や人員構成を検討する必要があります。すでにカッパッパさんの記事でも紹介してもらいましたが、車両の開発と製造において何か極端な技術革新や発明を前提としていません。必要なことは最高のユーザー体験を提供する安心安全な土台にあたる車両の部分を史上最速レベルで実現することだと思っています。それを実現するためには、どのような仲間に増えてもらって、どこで何をすべきか?ということを考えています。
開発チームのあるべき姿や開発スタイル
Turingでの開発の中で大事だなと感じることは「現場が身近にあること」です。三現主義(“現場”“現物”“現実”)などともいわれますが、この考え方の大切さを日々感じています。机上開発だけでは本当に正しいかを現物で確認するまでは安心できないし、実験や試作の結果で見通しは立てられても、量産と同じ工程でたくさん作ってみないと本当に工業的に成立しているかわかりません。
Turingではセル生産・ファブレス生産から量産化へと向かう事業戦略を描いていますが、さまざまな技術をわれわれの手の内化するタイミングはくると考えています。いわゆる内製化には、とてちつもなく大きな金額が動くので慎重に検討しなければなりませんが、“現場”“現物”“現実”これらが身近にあって初めて良いものと自信をもってお客さまに提供できると考えています。現場の立地とその価値はとても重要です。それが実現できるような場所や立地であることは企業の事業優位性構築につながると信じています。
Turingの未来をつくるのはこれから加わるみなさんです
いろんな考え方があると思いますが、何を当たり前のことを書いているんだ、当然だよねと同意していただける方、あるいは、もっと他の見方があるのでは?と思う方もいると思います。もちろん、書いたことが検討内容のすべてではありませんが、実際にこれらのことを検討してきました。
エンジニアとしての開発実務とセットで、これらのことを基礎の部分から検討、実行できる環境ってなかなかないと思います。日々の業務の中で、自分の今までの経験ってこの日のためにあったんだよなと思うこともありますが、当然ながら個人ですべてを網羅できるわけではなく、偏りもあるので、さまざまな経験を持った仲間と基本的にポジティブな感じで意見を交わし議論を深めていける一体感はTuringの強みです。皆でこういったことを考えていろんなことをやってます。
われわれはまだ10~20名ほどの開発チームです。車を量産するには数百~数千の人材が必要になってきます。つまり、Turingの未来をつくるのは、これから組織に加わる方です。一緒に車づくり・車メーカーづくりを進めませんか?
興味がある方は、Turing の公式 Web サイト、採用情報などをご覧ください。話を聞きたいという方はCTOの青木さんの X(旧Twitter) DMや採用ページの応募フォーム からでもお気軽にご連絡ください。
Discussion