【AI】AIの本を読んだのでレビュー
読んだ本
- タイトル:
投資対効果を最大化するAI導入7つのルール - 著者:石川聡彦(株式会社アイデミー社長)
※Kindle版もあり、
Kindle Unlimited会員は追加料金なしで読めます。
レビュー(最高★★★⇔最低☆☆☆)
読みやすさ ★★☆
専門性 ★★☆
総合 ★★☆
全体概略
本著の序文には以下のように記されています。
技術としては草創期、
歴史の浅い機械学習において、
なぜ、いま幻滅期が始まったのでしょうか。それは、
PoC(Proof of Concept:概念実証) はつくられ、
その試作品の一部は注目を集めているものの、
実運用に進む手前の段階で失敗し、
企画倒れしているからです。多くの機械学習の試作品が
うまくいっていない実情が、
技術を成熟する手前の段階で
多くの人に幻滅を与えてしまっているから
といっても良いでしょう。~中略~
そこで、
本書では機械学習だから解決できる課題と、
収益の向上、
ビジネスに与えるプラスの影響、
インパクトの拡大のために何をすべきか、
を考えながら、
ビジネス活用における
ノウハウの体系化に挑戦します。
2023年現在、AIという言葉が、
万能の武器であるかのように語られるような場面に
遭遇したことはないでしょうか。
「じゃあ、なぜAIをフル活用しないの?」
という疑問が、
あなたの頭の中で生まれていることでしょう。
著者はAIは幻滅期が始まっており、
それはPoCの失敗(PoC死) によって
生まれてしまっていると言っています。
また著者は、
企画倒れのAI化企画(PoC死) に関して、
以下のように記しています。
▶それって、AIじゃなくてもよくない?
AIと名前が付くだけで
期待値がずいぶん上がった時期がありました。最近はだいぶ落ち着いてきたように思いますが、
今でも、よく理解せず
「AIが何でも解決してくれる」
と期待している人が少なくないのも事実です。このように、
機械学習で解決できるかどうかわからない
(=難易度の高い)
プロジェクトに挑戦してしまうことは
PoC死が多い原因の1つです。
▶「データありきの企画」になっていないか
PoC死は、
「データありきの企画」 の場合に
往々にして起こります。「とにかく膨大なデータがある 。
これをつかって、
何か機械学習モデルをつくってみよう。
それがうまくいけば、
これまで困っていた課題が
解決できるかもしれない‥‥」
などと、
ビジネスインパクトの試算や
求めるゴールの見通しが曖昧なまま
プランナーを中心に
ディスカッションを始めてしまうのです。
「データありきの企画」に関しては、
心当たりある方も多いのではないでしょうか。
AI関連でなくても
「いっぱいデータあるし、なんかできない?」
と上司から渡される曖昧な指示 、
経験ありませんでしょうか?
そのような状況が
PoC死の量産を招いていると著者は言っています。
私もまったくその通りだと思います。
私の専門の地震工学では、
地震の振動時間(=継続時間)を
しっかりと認識することが大切だと言われています。
大きな地震が生じ、長い時間が経過した後でも、
微動といわれる、
地面のちょっとした振動は継続しております。
しかしながら、
その微動のデータは使えないデータであり、
明確にカットすべきだということを、
学生の頃から教え込まれていました。
使用目的と繋がらないデータを
だらだらと集めたとしても、
チリはチリなのだと私は考えます。
人間と機械学習の
メリットとデメリットを
比較して考えてみましょう。~中略~
「初期コスト」
「ランニングコスト」
「スケーラビリティー」
という3軸で比較検討してみます。まず、初期コストです。
不謹慎な表現化もしれませんが、
人間の初期コストというものは
ものすごく安いです。人間の初期コストとしては、
採用・教育コストなどが考えられますが、
10万円程度~数百万円程度と言えるでしょう。一方、機械学習モデルをつくることになると、
一般的には数千万円とか数億単位の見積もり
となるケースが多いでしょう。初期コストは、
人間の方が圧倒的に優れているのです。次にランニングコストです。
毎日数百個レベルのチェックならば
人間で対応できても、
毎日数億個レベルのチェックになると
人間ではとても追いつかないことは
多々あるでしょう。しかし、人間が運用する場合、
単純作業であれば
時給換算で「1,000円ほど~」で十分対応できる
のですから、
無理に機械化しなくてもいい領域
とも言えるでしょう。~中略~
次にスケーラビリティ
(Scalability=利用者や仕事の増大に適応できる能力・度合い) です。人間はコピーできませんが、
機械学習モデルを含むITのシステムは
コピー可能です。
そのため、ラインや拠点が複数あるケースでは、
スケーラビリティが高い、
機械学習のメリットが大きくなるでしょう。
上記のように、人間にもAIにも
適材適所・向き不向きがあることが分かります。
確かに、無理してAIを導入しなくても、
利益をあげることが出来る分野は
数多く存在すると思いますので、
人間の目で客観的に状況を把握し、
適切なシステムを導入することが大切なのだと、
改めて感じました。
最後に
本著は「AIって本当に良いものなのかな…」と
日頃もやもやされている方には良書かと思います。
経営者の方も、現状の経営に関して、
改めて新しい目をもって考えるための、
良いきっかけづくりとなる本になる
かと思いますのでお勧めです。
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