[2020年版] MarkdownをCircleCI上でPDFに変換してGoogleドライブにデプロイする
以前、以下のような記事を書きました。
MarkdownをCircleCI上でPDFに変換してGoogleドライブにデプロイする
https://tech.quartetcom.co.jp/2018/05/14/markdown-pdf-circleci-googledrive-deployment/
時代が変わってちょっと内容のアップデートもあるので改めて2020年版として記事にまとめます。
使う道具
- CirleCI 2.0
-
markdown-pdf
- MarkdownをPDFに変換するためのCLIツール
- npmでインストール
-
gdrive
- Googleドライブを操作するためのCLIクライアント
- PDFのアップロードに使う
- バイナリをダウンロードしてインストール
具体的な方法
事前準備(サービスアカウント)
CircleCIからGoogleドライブにファイルをアップロードするためには、サービスアカウント での認証が必要なので、以下の手順で準備しておきます。
- Google API Console でサービスアカウントを作って、秘密鍵をJSON形式で生成する
- デプロイ先にしたいGoogleドライブ上のフォルダを、サービスアカウントに共有する
- CircleCIのプロジェクト設定で、サービスアカウントの秘密鍵のJSON文字列から改行を削除して、環境変数として登録する
markdown-pdf
インストール方法
npmで https://www.npmjs.com/package/markdown-pdf をインストールするだけです。
npm i -S markdown-pdf
使い方
例えば、 src/
配下にMarkdownファイル群が階層構造で格納されているとして、それらを同じ階層構造で build/
配下に拡張子だけを .pdf
に変えて出力したい場合、以下のようなシェルスクリプトで実現できます。
for file in `find src -type f` ; do
name=`echo $file | sed -r 's/src\\/(.*)\\.md/\\1/'` # src/<ファイル名>.md から <ファイル名> を取り出す
npx markdown-pdf -s css/style.css -o build/$name.pdf $file
done
-s css/style.css
でレンダリングに使用するCSSファイルを指定しています。これは本来は必須ではありませんが、こちらで指摘されているとおり、デフォルトのCSSだと [text](url)
というMarkdownが text (url)
という表記に変換されてしまうため、これを回避するために最低限以下のCSSを当てる必要があります。
abbr[title]:after,
a[href]:after {
content: "";
}
GitHub風のCSSを適用
markdown-pdfはMarkdownパーサーとして remarkable を使っており、remarkableはデフォルトで GFM(GitHub Flavored Markdown)をコンパイルできるようです。
せっかくなのでGitHub風のCSSを適用して、それらしい見た目でPDFが生成されるようにしておきましょう。
とりあえず今回は泥臭く、github-markdown-cssのcss をコピペして .markdown-body
を body
に置換しました。フォントサイズも必要に応じて変更するとよいでしょう。
body
に置換すればいいと判断したのは、markdown-pdfのデフォルトのcss がそうなっていたからです。
ワンライナー化してpackage.jsonにscriptsとして追加
以下のようにワンライナー化して、npm scriptsから実行できるようにしておくと便利です。(ついでに、ビルド時に build/
配下を一旦全削除するようにしてあります)
{
"dependencies": {
"markdown-pdf": "^8.1.1"
},
"scripts": {
"build": "rm -rf build/* && for file in `find src -type f` ; do npx markdown-pdf -s css/style.css -o build/`echo $file | sed -r 's/src\\/(.*)\\.md/\\1/'`.pdf $file ; done"
}
}
gdrive
インストール方法
公式のREADME に書かれているダウンロードURLからバイナリをダウンロードして実行権限を付ければ使えます。
# 例えばMacなら
$ wget "https://github.com/gdrive-org/gdrive/releases/download/2.1.0/gdrive-osx-x64" -O gdrive
$ chmod +x gdrive
$ ./gdrive help
gdrive usage:
gdrive [global] list [options] List files
gdrive [global] download [options] <fileId> Download file or directory
gdrive [global] download query [options] <query> Download all files and directories matching query
:
:
使い方
gdriveコマンドで build/
ディレクトリを丸ごとGoogleドライブの特定のフォルダ配下にアップロードする方法は、以下のとおりです。
gdrive upload --config $(pwd) --service-account credential.json --parent <ここにデプロイ先フォルダのID> --recursive build
credential.json
が置かれている場所を --config
で指定する必要があります。--config
の値はデフォルトでは $HOME/.gdrive
になっています。ここでは、credential.json
がカレントディレクトリに置いてある想定で、 $(pwd)
としています。
CircleCIの設定ファイル
では、以上を踏まえて、CircleCIの設定ファイル .circleci/config.yml
を書いてみます。
キャッシングなどを省いて処理の要点だけを書くと、以下のような内容になります。(書式の詳細については 公式リファレンス をご参照ください)
version: 2
jobs:
build:
docker:
- image: circleci/node
working_directory: ~/wd
steps:
# 日本語のフォントがないと、PDF生成時に日本語部分がレンダリングされない
- run: sudo apt-get update && sudo apt-get install fonts-ipaexfont -y
# gdriveのバイナリをダウンロードして、チェックサムを確認して、実行パーミッションをつける
- run: |
wget "<ここにgdrive-linux-x64のダウンロードURL>" -O gdrive
[ `sha1sum gdrive | awk '{print $1}'` = '<ここにgdrive-linux-x64のshasum>' ]
chmod +x gdrive
- checkout
- run: npm i
- run: npm run build
- deploy:
command: |
# 環境変数から認証情報を取得してJSONファイルに出力
echo $GOOGLE_SERVICE_ACCOUNT_CREDENTIAL > credential.json
# 成果物のディレクトリ名を日時でリネーム
dirname=`date +%Y%m%d_%H%M%S` && mv build $dirname
# 成果物のディレクトリを丸ごとデプロイ
./gdrive upload --config $(pwd) --service-account credential.json --parent <ここにデプロイ先フォルダのID> --recursive $dirname
build_and_deploy
ジョブでPDFの生成とGoogleドライブへのデプロイを一気に行っています。
日本語フォントが何も入っていない環境だとPDFを生成するときに日本語部分がレンダリングされないので、 build_and_deploy
ジョブのはじめで fonts-ipaexfont
をインストールしています。インストールするフォントは何でもOKです。
deploy
ステップでは、CircleCIのコンテナにサービスアカウントの認証ファイルを設置するために、事前準備で登録しておいた環境変数の中身をJSONファイルに書き出しています。また、 build
というディレクトリ名のままだと分かりにくいので、日時の名前にリネームしてからデプロイするようにしています。
2.1.0
はバージョン番号の変更なしに中身の違ういくつかのパターンが配布されているので要注意
gdriveの 以前の記事を書いた2018年5月の時点で、すでにgdriveの最新バージョンは2020年4月現在の最新と同じ 2.1.0
だったのですが、そのときの状況として
- READMEで配布されていたバイナリがソースコードの
2.1.0
タグの内容と一致していない(古い) - なのにREADMEのダウンロードリンクには
2.1.0
と書かれている
という問題がありました。
2.1.0
より古いバージョンでは --service-account
オプショションが実装されていなかったため、 --service-account
オプションを使うためには、配布されているバイナリを使わずに自分でソースをコンパイルする必要がありました。
現在はソースコードの 2.1.0
タグの内容と一致しているバイナリが リリースされている ため、ダウンロードしたバイナリでも --service-account
オプションを使えるようになっています。
なお、こちらでも言及されていますが、Homebrewで配布されているgdriveは、2020年4月現在においても、バージョン表記は 2.1.0
にもかかわらず --service-account
オプションが実装されていない状態となっています。
要注意です😓
実装例
今回説明した手法を一通り実装した例を以下のGitHubリポジトリに上げてあります。よければ参考にしてみてください。
https://github.com/ttskch/markdown-pdf-googledrive-ci-sample
実際に動かすと、以下のように日時のフォルダ配下に成果物がデプロイされます👍
まとめ
需要なさそうな内容ですが、自分用のメモのために最新情報にアップデートしました。どこかの誰かのお役に立てば幸いです😇
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