【Shopify】有料ブログ記事を月額サブスク化する方法
1. はじめに
デジタルコンテンツの需要が高まる中、ブログ記事やニュースレター、専門知識などの有料コンテンツを販売するビジネスモデルが注目されています。以前掲載した記事では、Shopifyを使用して有料コンテンツを効率的に管理・提供する方法を解説しました。
このシステムを導入することで、購入から権限付与まで完全に自動化された購入管理が可能になります。
このようにして構築したコンテンツ販売モデルに加えて、買い切り商品を月額サブスクリプション形式に移行することで、新たな可能性が広がります。月額サブスクリプション化は、以下のような利点があります。
- 安定した収益: 定期的な収入が得られることで、キャッシュフローが安定します。
- 顧客のロイヤリティ向上: 顧客が定期的にサービスを利用することで、長期的な関係を築くことが可能になります。
- 販売機会の増加: 新しいコンテンツを提供することで、顧客が離れにくくなります。
本記事では、これらのメリットを最大限に生かすために、買い切り商品を月額サブスクリプション形式に移行する方法について詳述します。この仕組みを利用することで、質の高いコンテンツを収益化し、顧客との長期的な関係構築が可能になります。
2. 構築方法
手順① Shopify Subscriptionsのインストール方法
商品のサブスク化にはShopifyが無料提供しているSubscriptionsアプリを利用します。
インストール方法は以下の通りです。
- Shopify アプリストアにアクセス: Shopify管理画面からアプリストアに移動します。
- "Shopify Subscriptions"を検索: 検索バーに「Shopify Subscriptions」と入力します。
- アプリを選択: 検索結果から「Shopify Subscriptions」を見つけてクリックします。
- インストール: 「インストール」ボタンをクリックし、インストールを完了させます。
手順② サブスクプランの作成と商品の購入オプション設定
サブスクプランの作成方法
- 管理画面にアクセス: Shopify管理画面にログインします。
- Subscriptionsアプリの選択: サイドバーから「アプリ」を選び、「Shopify Subscriptions」アプリを開きます。
- プラン作成へ: 「プラン」タブを選択し、右上の「+プラン」ボタンをクリックします。
- 基本情報の入力:
- タイトル: プランのタイトルを入力します(例: 月額ライセンス)。
- 内部説明: プランに関する詳細な説明を記入します。
- 商品の選択: 適用する商品を検索し、選択します。
- ディスカウントと配達設定:
- ディスカウントオプション: 必要に応じて、サブスクリプションに関連する割引を設定できます。
- 配送頻度: 毎週、毎月、毎年など、配送頻度を設定します。
- 配達間隔:
- 購入ごとの配送間隔を選択(例: 1週間ごと、1か月ごと)。
例: プランの設定内容
購入オプション設定
商品管理画面にてサブクス化したい商品(ここでは「有料記事購読」)を表示し、以下の設定を行います:
7. プラン: 有料記事購読月額ライセンスを選択します。
8. 「この商品を定期購入としてのみ販売する」にチェックを入れます。
9. 保存します。
手順③ テーマへのShopify Subscriptionsブロック導入
サブスク販売するために商品ページにShopify Subscriptionsブロックを下記の手順で配置します。
- テーマのカスタマイズ: Shopify管理画面で「オンラインストア」→「テーマ」を選択し、「カスタマイズ」ボタンをクリックします。
- アプリを組み込む: 「サブスクリプションウィジェット」にチェックを入れます。
- ブロックの追加: 商品ページに「Shopify Subscriptions」ブロックを追加します。
- 設定の保存: 設定が完了したら、変更を保存します。
手順④ サブスクリプション開始時および継続時の処理設定
この手順では、サブスクリプションが開始される際と、継続的に支払いされた際に必要な処理を設定します。具体的には、顧客に対して「購読者」タグを追加し、次回の支払い日を基準にして顧客メタフィールド(custom.subscription_expiry_date)を更新します。メタフィールドの設定方法については、下の記事を参考にしてください。 これにより、顧客へのサービス提供がスムーズに行われるようになります。この設定により、新たにサブスクリプションを開始した顧客や、サービスを継続する顧客に対して、適切に情報を管理し、権限を付与することができます。
メタフィールド設定
顧客メタフィールドは「設定 > メタフィールドおよびメタオブジェクト > お客様 > 定義を追加する」により設定してください。
Flow設定
Shopify Flowによりサブスクリプションの料金が支払われた際に、商品をチェックし有料記事購読商品が含まれている場合に顧客タグ「購読者」の付与および有料記事サブスクリプション期限切れ日メタフィールド (custom.subscription_expiry_date)を設定します。
- トリガー: Subscription billing attempt succeeded
- 条件:商品に「有料記事購読」が含まれている
- アクション1: 顧客タグ「購読者」を追加する(顧客がまだ「購読者」タグを持っていない場合)。
- アクション2: メタフィールド custom.subscription_expiry_date を設定
- Valueは以下としてください。Valueは次回支払日+1日(86400秒)を加えた日付となります。
{{subscriptionContract.nextBillingDate | date: "%s" | plus: 86400 | date: "%Y-%m-%d"}
手順⑤ 期限切れ処理
この手順では、まず「期限切れ購読者」セグメントを作成し、そのセグメントに基づいてFlowを設定します。これにより、購読者が期限切れになった際に自動で「購読者」タグの削除処理を行うことができます。
期限切れ購読者セグメントの作成
このセグメントを設定するためには、Shopify管理画面から「顧客管理 > 顧客セグメント > セグメントを作成」によりセグメントを作成してください。
セグメント名: 「期限切れ購読者」
条件1:
- フィールド: 「顧客タグ」を選択
- 条件: 「を含む」
- 値: 「購読者」
条件2:
- フィールド: 「カスタムフィールド」を選択
- カスタムフィールド: 「custom.subscription_expiry_date」を選択
- 条件: 「より前」を選択
- 値: 「今日」を選択
Flow設定
Shopify Flowによりサブスクリプション期限切れ顧客の対応処理を設定します。この設定では「期限切れ購読者」セグメントに顧客が追加された際に顧客タグ「購読者」の削除を設定します。
- トリガー: Customer joined segment
- 条件: 期限切れ購読者セグメントに加入した顧客。
- アクション: 顧客タグ「購読者」を削除します。
また、サブスクリプション解約時には料記事サブスクリプション期限切れ日メタフィールド値の更新が行われず、期限切れ日に顧客に対して自動的に期限切れ処理が行われます。
3. 動作確認
有料記事購読商品購入時および継続時の請求成功時のFlowの実行詳細は下図のようになります。
これにより「購読者」顧客タグの付与と期限切れ日メタフィールド値(実行日から1か月+1日後)の設定が行われていることがわかります。
また期限切れになった購読者は下記のFlow実行詳細のようになります。
以上にように、有料記事購読商品がサブスク化できました。
4. 注意事項
注意点としてサブスクリプション契約中に有料記事購読商品を再度購入できてしまうことがあります。これを防ぐために、RuffRuffの注文制限アプリを導入し、顧客ルールに基づいて購読者が再購入できないようにすることが推奨されます。
RuffRuff 注文制限の活用
RuffRuff 注文制限アプリを使用すると、特定の商品が特定の顧客タグを持つユーザーによって購入できないように制限できます。具体的な設定方法は以下の通りです。
- アプリのインストール: ShopifyアプリストアからRuffRuff 注文制限をインストールします。
- 設定のアクセス: インストール後、アプリの設定画面にアクセスします。
- 顧客ルールの追加: 「顧客制限」の設定を行い、「購読者」のタグを持つ顧客が「有料記事購読」商品を購入できないようにルールを追加します。
アプリの利用料金は、$9/月(2025年8月14日時点)です。この設定により、購読者は現在の契約を持っている限り、その商品を再購入できなくなります。これにより、よりスムーズでトラブルのないサブスクリプション体験を提供できます。
5. 終わりに
本記事では、Shopifyを利用して有料ブログ記事のサブスクリプション販売システムについて解説しました。このシステムを導入することで、購読者に対して高品質なコンテンツを提供しつつ、安定した収益源を確保することができます。
顧客が一定期間ごとに自動的に課金されることで、安定したキャッシュフローが見込めるうえ、定期的なコンテンツ更新により顧客の興味を引き続き高めることができます。そしてサブスクリプションビジネスを成功に導くためには、顧客との良好なコミュニケーションが不可欠です。顧客からのフィードバックを定期的に収集し、サービスやコンテンツの改善に役立てましょう。顧客が満足できる価値を提供し続けることで、長期的な関係を築き、ロイヤリティを高めることができます。顧客との対話を大切にし、フィードバックを反映しながらサービスを進化させることが成功への鍵です。これにより、より魅力的で収益性の高いビジネスを展開することができるでしょう。
株式会社Tsuzucleでは、Shopifyに関する技術サポートを提供しています。ご相談は、下記のリンクよりお気軽にお問い合わせください。
- お問い合わせ: https://tsuzucle.com/pages/contact
- メールアドレス: info@tsuzucle.com
- Xアカウント: https://x.com/tsuzucle
Discussion
弊社アプリ「RuffRuff 注文制限」をご紹介いただきありがとうございます。
本ページの読者のために、関連リンクを追記させていただきます。
RuffRuff 注文制限のサービスページ
RuffRuff 注文制限のアプリストアページ