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自作キーボードに乗り換えたら幸せになりました

2024/12/04に公開

こんにちは、ツクリンクでエンジニアやっております、てつです。

最近キーボードを自作キーボードに買い替えたのですが、思った以上にキーボードについての価値観が変わったので、今回買ったキーボードについて気づいたことやおすすめの点について書いていきたいと思います。

以前はHHKBのキーボード「HHKB Professional HYBRID Type-S」を使っていました。

しかし、自作キーボードを使っている人間が身内におり、先日なかなかの勢いで見せびらかされました。
当時の私もどうかしてたのだと思いますが、気づけば遊舎工房で気になるキーボードをポチってしまっていました。
正直タイピングの感触はいまでもHHKB、というか静電容量無接点方式がベストだと思っています。
しかし、ベストだと思っていたHHKBのキーボードについて、じつは不満に思っていた点や、不満だと思いながらも諦めていた点があることを実感しました。
この記事では、乗り換えて気づいた良いところ悪いとこについて紹介します。また、使ってみて自作キーボードに乗り換えたら得する人、損する人がどのような人かを私なりに考えて紹介します。

購入したキーボード

Corne v4 Cherry」(以下、Corne Cherry)を購入しました。自作キーボードに分類されますが、私が購入したのはハンダ付けが不要なほぼ完成品のものでした。
追加でキースイッチとキートップ、ケーブル類を購入すればそのまま使えてなにも躓くところはありませんでした。なので、「自作キーボード始めたいけどはんだ付けとか怖い」という方にはちょうど良いと思います。

値段はキーボード本体とキートップ、キースイッチ、ケーブル類で3万円超えるくらいでした。HHKB Professional HYBRIDと同じくらいでしょうか。

カスタム性によるメリット

Corne Cherryだけでなく、多くの自作キーボードはQMKというファームウェアが使用されています。
キーボードを接続して、QMKのサイト Remap にアクセスすればWEB上で簡単にキー配置を変更することができます。
また、Corne Cherryはキー数が46個と少ないのですが、レイヤー機能を使えば通常のキーボード以上のキー数を設定することができます。
例として、「BS」キーを押している間はLayer1のキー配置になり、「DEL」キーを押している間はLayer2のキー配置に切り替わる、といった使い方です。
最初はこのキー配置を考えるのが楽しくて色々ためすのですが、1週間ほどである程度安定してきます。

※ このキーボード配置図は、Remap(https://remap-keys.app)を使用して生成されました。

この少ないキー数やカスタム性で得られるメリットは思った以上に多かったです。

カラムスタッガード配列によるタッチタイピングの矯正

通常のキーボードは行ごとに横にずれているロウスタッガードと呼ばれる配列です。
最初に載せたHHKBのキーボードもそうですね。

対してCorne Cherryはカラムスタッガード配列です。

これがただの配列の好みと感じる方もいるかとは思いますが、私の場合は自分のタッチタイピングの矯正をすることに繋がりました。
例えば、ロウスタッガードの場合、同じ「R」と打つときに人差し指で打つときもあれば中指で打つこともあり、その不安定さにつられて、「Q」「W」「E」もギャンブルでタイピングするようになっていました。対してカラムスタッガード配列になると「R」キーを中指でタイプしようとするとすこぶる気持ち悪く、同じキーは同じ指でないと非常に打ちづらくなります。自動的に安定した運指でタイピングするようになりました。

少ないキー数のため、キーボードを見る必要がない

簡単な質問ですが、今使っているキーボードは全く見ないでタイピングできますか?私は無理です。
自信を持ってタイピングできるのはホームポジション(赤枠)+1個隣(青枠)までです。それ以外のキーは雰囲気で打っていました。

比較的キー数の少ないHHKBでもこれだけ自信のないキーがあるのにこれに矢印キーやFunction
キーなどが加わるともうキーボードから目が離せません。無理です。
それに対して、Corne Cherryはホームポジション+1個隣まででキーが完結しています。(そのため真ん中4つのキーについては正直不満です)
キーボードを見る必要が無い、というよりキーボードを見ても意味がないです。なのでキートップは文字に囚われず好きにデザインすることができます。

接続する機器を選ばない

先に書いた通り、キー配置はRemapで自由にカスタムできます。キーのカスタムといえば、Windowsでは「Microsoft PowerToys」、MacOSでは「Karabiner-Elements」があります。
しかしいずれにしても完全ではなく、あくまでキーボードから受け付けたキーコードをOSのレイヤーで書き換えるというプロセスを経ています。また、他の機器ではその設定は使えません。そのため、「ソフトウェアによっては変換したキー配置が適用されない」「違うPCに乗り換えたときにせっかく設定したキー配置が使えない」などのデメリットがあります。
対して、Remapを使って設定したキー配置はキーボード自身に記録されるので接続する先の機器の事情を考える必要がありません。

これが個人的にとても大きいです。
私はMacOSを使っていますが、Macの機器は値段が高く、以前使っていた安価に買えるWindowsに乗り換えたいと思っていました。
しかし私の体はMacOSデフォルトで使えるEmacsのキーバインドに慣れてしまい、Windowsに乗り換えた際にストレスが溜まりまくりでした。例えば、Windowsのブラウザで文字を削除しようとしてCtrl+hを押して履歴を開いてしまってキーボードをひっぱたく、のような事が頻繁に発生し、Macにおめおめと逃げ帰ってくることを何度か繰り返しました。
しかしこれからは違います。Windowsでも使えるキーボードを手に入れたことで私は自信を持ってWindowsマシンを迎え入れる準備が整いました。

分割キーボードになって肩こりが解消

されているかはまだわからないです。少なくとも猫背は元気に活躍中ですが、楽な姿勢でタイピングできることは確実です。

不満な点

まだ良いところしか見えていないので十分にかけるかわかりませんが、思いつくだけ書いてみます。

慣れるまで時間がかかる

やはり通常のキーボードと異なる特殊な使い方なので、慣れるまで時間がかかります。JIS配列からUS配列に乗り換えたときも記号の配置の違いやIMEの切り替えについて大変な期間がありましたが、今回はそれよりもちょっと慣れるまでのコストが高かった気がします。今思うとJIS配列からUS配列に乗り換えたときはそんなに大変じゃなかったな、と今では思っています。

カスタム性があるだけに自分にとってのベストを探し続けることになります。これが一番いい配置だと思っても数日経つともっといい配置が思いついて試して脳汁を出す。さらに数日後新しい配置を思いつき...といった幸せな悪循環に陥ることになります。

適応力が低下する可能性

自分用にカスタムしたキー配置に慣れてしまうと、通常のキーボードのキー配置では仕事にならずフラストレーションが溜まることになると思います。
現在私はMacBook付属のキーボードが非常に使いづらく感じるようになります。そのため持ち運びの際にも忘れずにキーボードも携帯するようにしています。

キーボードに求めていたもの

生産性はあまり変わらない

さて、おそらく一番気にされることが「生産性は変化したか」だと思います。「沼」と言われるほど熱中する人が多いキーボード界隈なのだから、さぞかし生産性が向上するのかと私は思っていましたが、結論としてそんなに変化はないです。まだ慣れていないだけなのかもしれないですが...

生産性 < 快適さ、ストレスの少なさ

こうやってキーボードを乗り換えてみて、私がキーボードに求めていた要素のうち、生産性よりも、心身への負担の少なさや快適さだと自覚しました。

JIS配列のキーボードを使っていたときは、ローマ字入力では全く使わない「ひらがな」がキートップの半分を占めていることにストレスを感じてUS配列のキーボードに乗り換えました。
しかしUS配列でも、全く使用しないCAPSLOCKやINSERTキー、ScrollLock、Pauseキーなどの存在に怒りを覚えていました。他に類を見ない器の小ささです。
それを経て比較的不要なキーの無い(それでもCAPSLOCKは付きまとってきましたが)HHKBのキーボードに乗り換えたのですが、先に書いたようなEmacsキーバインドに調教されてWindowsに乗り換えられない体になってしまった自分にストレスを感じていました。
それがCorne Cherryに乗り換えてキレイに解決することができました。

最近の気づきとして、Corne Cherryに乗り換えて思いつくだけのストレスの要因は排除できたかと思いましたが、次はマウスに手を伸ばすためにホームポジションから指を離さなければならないことにストレスを感じ始めてしまっていますがなるべく気にしないようにしています。

自作キーボードに乗り換えて得する・損する人

以上、私がキーボードを変えた感想をつらつらと書いていきましたが、最後に私なりに自作キーボードに乗り換えて得する人、損する人を公平に紹介して締めさせていただきます。

得する人

カスタムを楽しめる

スイッチ、キーキャップ、基板の選定など、製作過程そのものを楽しめます。
完成後のメンテナンスや改造を趣味として楽しむ人には最適だと思います。
電子工作の知見がある方は追加のカスタムも可能だそうです。(わたしは勉強中でまだできていないです。)

デザインや個性を重視する

キー配置やキースイッチ、キートップの種類など通常のキーボードよりもカスタムの幅が広く、自分なりのデザインを重視したい方にとっては最適な環境だと思います。やろうと思えば基盤の形からデザインできるので個性的なデザインの幅は無制限です。

自分が使う道具にこだわりたい

配列やキー配置をカスタマイズすることで、自分に最適なタイピング環境を作れます。
特に分割キーボード、かつエルゴノミクスデザインのキーボードは、手首や指の負担を軽減し、長時間のタイピングが快適になります。自作キーボードはそのようなこだわりにしっかり応えてくれます。

損する人

業務上、使用するキーボードは制限されている

先にも書いた通り、職場に自分のキーボードを持ち込めないなどの事情がある方は、個人で使うキーボードと業務で使うキーボードが全く異なる環境になるので、業務におけるフラストレーションが大きくなります。
好きなキーボードを使える職場に転職すればこのデメリットは無くなります。

自分が使う道具を最適化することに金・時間を使う余裕がない

カスタムを楽しむために時間と金を使う必要があります。他の趣味に夢中な人やキーボードに2〜3000円以上払いたくない人は得られるメリットよりもお財布と心の負担が大きいかもしれないです。
趣味を減らせば時間は作れます。また、私も最初は高い値段に後悔しましたが、買ってみると安いと感じたので実質このデメリットはなくなります。

タイピングにまったく不満がない

既製品で十分に満足している人や、配列やキーボードの形状が変わることで、慣れるまでのペインに耐えられない人は新しく得られるメリットが少ないかもしれません。
私と同じタイプの人です。不満がないのではなく、不満を自覚できていない人です。不満を自覚すれば慣れるまでのペインにも耐えられるはずなので、このデメリットはなくなります。

つまり、圧倒的にデメリットよりもメリットのほうが大きいため、みなさんも是非とも自作キーボードを試してみましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

こちらはツクリンク株式会社のアドベントカレンダーの記事でした。
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