MCプロトコルとSLMPの違い
はじめに
MCプロトコル(MELSEC Communication Protocol)とSLMP(Seamless Message Protocol)は、三菱電機のPLC(プログラマブルロジックコントローラ)と外部機器間の通信を行うためのプロトコルです。本記事では、それぞれの特徴や違いについて解説します。
MCプロトコルとは?
MCプロトコルは、三菱電機製MELSECシーケンサ用の通信プロトコルであり、シリアル通信やEthernet通信を介してデバイスデータやプログラムの読み出し・書き込みを行います。
MCプロトコルには、以下のようなフレームタイプが存在します。
- シリアル通信用: 1C、2C、3C、4Cフレーム
- Ethernet通信用: 1E、3E、4Eフレーム
SLMPとは?
SLMP(Seamless Message Protocol)は、CC-Link協会(CLPA)が策定したプロトコルであり、汎用Ethernet機器とCC-Link IE対応機器間で、ネットワークの違いを意識せずシームレスに通信することを目的としています。
SLMPは、MCプロトコルのQnA互換3Eフレームおよび4Eフレームと同じフォーマットを使用し、TCPやUDP上で動作します。そのため、SLMP対応機器であれば異なるメーカーの機器間でも通信が可能になります。
MCプロトコルとSLMPの違い
項目 | MCプロトコル | SLMP |
---|---|---|
開発元 | 三菱電機 | CC-Link協会(CLPA) |
対応機器 | 三菱電機のPLC専用 | 異なるメーカーの機器間でも通信可能 |
通信方式 | シリアル通信、Ethernet | Ethernet(TCP/UDP) |
互換性 | MELSECシーケンサ専用 | MCプロトコルを拡張・標準化 |
フレーム | 1C、2C、3C、4C、1E、3E、4E | QnA互換3Eフレーム、4Eフレーム |
要するに、MCプロトコルは三菱電機のPLC専用の通信プロトコルであり、SLMPは異なるメーカーの機器間でもシームレスな通信を可能にするために、MCプロトコルを拡張・標準化したものと言えます。
MCプロトコルのQnA互換3Eフレームおよび4Eフレーム
MCプロトコルのQnA互換3Eフレームと4Eフレームは、三菱電機のPLCと外部機器間の通信に使用される伝文フォーマットです。主にEthernet通信で利用され、デバイスデータの読み出しや書き込みなどの操作を可能にします。
3Eフレームの構造
- サブヘッダ: 通信の開始を示す固定値(例:5000)
- ネットワーク番号: 対象ネットワークを指定
- PC番号: 対象PC(PLC)を指定
- 要求先ユニットI/O番号: 対象ユニットのI/O番号を指定
- 要求先ユニット局番号: 対象ユニットの局番号を指定
- 要求データ長: 後続のデータ長を示す
- CPU監視タイマ: 通信のタイムアウト時間を設定
- コマンド: 実行する操作を指定(例:デバイス読み出し、書き込み)
- サブコマンド: コマンドの詳細を指定
- 要求データ部: 操作対象のデバイス情報やデータ
4Eフレームとの違い
4Eフレームは、3Eフレームの構造に加えて伝文識別用のシリアル番号フィールドが追加されています。これにより、複数のコマンド伝文に対する応答を識別しやすくなり、通信の信頼性が向上します。
SLMPでもこれらのフレームフォーマットが使用されており、異なる機器間でのシームレスな通信を実現しています。
4Eフレームが必要な状況
MCプロトコルの4Eフレームは、3Eフレームに比べてシリアル番号フィールドが追加されており、以下のような状況での使用に適しています。
- 複数の同時通信を管理する場合: シリアル番号により各通信セッションを識別できるため、同時に複数の通信を行うシステムでの混乱を防ぎます。
- 通信の追跡やデバッグが必要な場合: シリアル番号を用いることで、特定の通信履歴を追跡しやすくなり、デバッグやトラブルシューティングの際に役立ちます。
ただし、4Eフレームはすべての機器でサポートされているわけではありません。特に、最近のCPUでEthernet内蔵タイプの場合、4Eフレームが使用できない場合があります。
そのため、4Eフレームの使用を検討する際は、対象機器の仕様や対応状況を事前に確認することが重要です。
まとめ
MCプロトコルは三菱電機のPLC専用の通信プロトコルであり、SLMPは異なるメーカーの機器間でもシームレスに通信できるように拡張されたプロトコルです。また、MCプロトコルの3Eフレームと4EフレームはEthernet通信で利用され、4Eフレームはシリアル番号の追加による識別性の向上が特徴です。
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