TypescriptベースのECフレームワークMedusaがアツい
こんにちは、トラストハブのピロピロです。
トラストハブ社では先週、新たにトレーディングカードのECサービス「Cloveストア」をリリースしました。
このサービスではMedusaというTypescriptベースのコマースフレームワークをベースに開発しています。このMedusaが素晴らしいので紹介します。
Medusaとは
Medusaはコマースプラットフォームと銘打たれたOSSプロダクトです。Medusaの本体と呼べるのはコマースのためのAPIと管理画面で、いわゆるヘッドレス・コマースと呼ばれる領域のプロダクトです。これらはセルフホストすることで利用できます。
Medusaを使ってECサイトを作り始めるときは、APIを通じて自由なスタックでフロントエンドを作ることができますし、Next.jsで提供されているテンプレートを利用することもできます。
Medusaの基本機能
カート・支払い・カスタマー管理・注文管理・商品管理などの基本的な機能だけでなく、価格管理・セール・ギフトカード・消費税設定・在庫管理など、ECを始めるにあたり重要な機能をモジュールとして提供しています。
ユースケース
- D2C用途でのEC:商品を登録して販売、複数の決済方法をカスタマイズするのがすぐに実装できます
- B2B用途でのEC:B2B向けのストアは、顧客のタイプごとに価格や商品リスト、販売方法を分岐して販売するニーズがあります。Medusaはこれらのニーズに応じて、体験をカスタマイズできます
- OMS (注文管理システム):さまざまな販売チャネルからの注文を受け付け、在庫を管理するためのシステムを構築できます
- POSレジ:実店舗におけるレジシステムも、オンライン販売用のストア在庫情報と基盤を統合することで、データにまつわる課題を解決します
- サブスク:Stripeと組み合わせることで、カスタマイズされたサブスクプロダクトを作ることができます
プラグインで簡単に機能拡張
いくつかのプラグインが公開されており、欲しい機能に合わせて導入することができます
- Stripe や PayPal などの決済API
- メール送信API
- 品切れ商品の再入荷通知やウィッシュリスト機能
- Firebase AuthやAuth0のような認証プロバイダ
- などなど...
既存のEC SaaSとの比較
素早くECを立ち上げるときには、まずはShopifyのようなサービスが選択肢として挙げられます。
しかし、Shopifyは素晴らしいサービスではあるものの、基本プランのままだとカスタマイズ性に乏しいという欠点が挙げられます。決済システムを自社の他のサービスで利用しているものを導入するのが困難だったり、カスタマーのログインアカウントを自社のシステムと組み合わせるためにはShopify Plus(年額$30,000、ドル円レートが146円とすると440万円ほど)への加入が必要です。
その点Medusaは、ログインや決済をはじめとする各機能について拡張しやすいインターフェースが用意されているので、そのインターフェースを利用してカスタムできることが最大の利点だと考えています。
また、リリース時から数千種類を超えるような大量の商品を売り出すときにも、API経由で商品を管理するだけでなく、直接自社でホスティングしているDBにもアクセスできるので便利です。ShopifyのようなサービスはAPIのレート制限があるため、大量の商品や注文の管理をしようとすると、上位プランを検討する必要が出てきてしまいます。
まだまだな部分
ここまで褒めたMedusaですが、実際に使ってみるといくつかの欠点も見えてきました。代表的なものを紹介すると、以下のようなものが挙げられます
- ソート機能などのAPIが比較的弱いです
- 管理画面はぱっと見綺麗なのですが、使い込んでくるとちょっと使いづらい点が出てきます。機能を追加するのはWidget機能が用意されているので簡単なのですが、すでに作られている部分を変更することは難しいのが惜しいポイントです
- 日本語翻訳が少しおかしいところあります。とはいえ、OSSなので自分でPRを出せます
まとめ
MedusaはカスタマイズしたECを作りたくなった時に採用を検討すべきプロダクトだと思います。私たちのプロダクトも、Medusaのおかげでとても短期間の開発でリリースすることができました。
また、Medusa 2.0と呼ばれるアップデートが開発中で、現在previewでリリース中となっています。正式リリースされれば、より多くのユースケースをカバーできるようになります。正式リリースされるタイミングでまた紹介します
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