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生成AI(Gemini API)を活用した収入印紙管理業務の効率化

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TRUSTART株式会社のプロダクトオペレーション部の神野です。
弊社では、不動産登記受付帳のデータを毎月法務局に対して開示請求しており、収入印紙を使用して手数料を支払う必要があります。

その管理業務は購入、利用、棚卸、そして帳簿への記録と、多くの人による業務を伴いがちです。特に、印紙の種類や枚数の確認・記録は煩雑で、ヒューマンエラーが発生しやすいボトルネックの1つでした。また、在庫状況をリアルタイムに把握することも容易ではありませんでした。(しかも紙なのですべてデジタルで管理しにくいという問題も・・)

そこで、Google Workspace環境と生成AI(Gemini)を活用して収入印紙管理システムを構築しました。本記事では、その具体的なアプローチと実現した機能、そして得られた効果についてご紹介します。


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従来の収入印紙管理における課題

収入印紙管理において、主に以下の課題がありました。

  • 目視と手入力による非効率性: 開示請求書などに貼られた収入印紙の種類(額面)と枚数を一つずつ目視で確認し、エクセルに手入力する必要がありました。
  • 棚卸業務の負荷: 収入印紙は"金銭そのもの"ということで週次で棚卸を行なっていました。現物の確認とエクセルの管理台帳との照合が必要となります。また、期中の使用や追加の記録が正確に行われていない場合は差異が発生し、過去の記録していた画像を確認して履歴を追う必要がありました。
  • リアルタイムな在庫把握の困難さ:最新の収入印紙の在庫状況は、棚卸を実施しない限り正確に把握することが難しく、収入印紙を新たに追加するときは担当者の感覚で行う必要がありました。

システム概要

AIを活用しながら効率よく実装するために、Google Workspaceの各サービス(スプレッドシート, Google Drive)を基盤とし、GASによる自動化、そして生成AIであるGemini APIを活用したシステムを構築しました。(実際に1日でシステムの構築ができました)

なお、モーダルのデザイン設計〜コーディングまで全てV0 by Vercelで実装しました✨
https://v0.dev/


V0で生成したモーダル入力画面

詳細フロー

  • 収入印紙が貼られた書類のアップロード機能
    モーダルダイアログから、収入印紙が貼られた開示請求書の画像をアップロードします。アップロードした画像ファイルはGoogle Driveに保存され、アップロードと同時に実行者のメールアドレス、使用日、使用区分(期中追加/使用)、開示請求書に関する情報(登録年月、都道府県、メモなど)が自動で記録されます。

  • Geminiを活用した収入印紙の自動認識
    アップロードした開示請求のデータを生成AI(Gemini API)に送信します。Geminiは画像に写っている収入印紙の種類(額面金額)と枚数、および開示手数料の金額を認識し、その結果をJSON形式で返却します。なお、10円の収入印紙は文字が白であることから画像認識ができなかったので、開示請求金額 - 他の収入印紙金額の計算を行い、枚数カウントを行いました。

  • 認識結果のスプレッドシートへの自動反映と在庫計算
    Geminiからの認識結果JSONを解析し、収入印紙の種類ごとの枚数と開示手数料の金額をスプレッドシート(システム操作シート)に反映します。収入印紙の枚数は正確に記録する必要があるため、人(実行者)の目で実際の枚数と開示請求金額があっているかどうかをこの時点で確認するフローを入れています。

  • 収入印紙の使用・追加記録
    先ほど確認した収入印紙の利用枚数を、スプレッドシート(管理台帳)の使用記録行に転記・記録されます。これにより、収入印紙の利用実績が正確に記録されます。また、期中に追加購入した収入印紙の枚数をスプレッドシート(管理台帳)に「追加」として記録する機能も実装しています。

  • 定期的な棚卸処理と在庫更新:
    週次で管理台帳における収入印紙の「使用」「期中追加」「追加」数を集計し、在庫・棚卸結果から取得した直近の在庫数を基に棚卸を行います。計算された新しい在庫数は、在庫・棚卸結果シートに日付とともに新しい行として記録されます。現物の収入印紙の枚数をカウントし、自動で集計した棚卸枚数をあっているかどうかをチェックします。

  • Slackへの自動通知:
    週次の棚卸処理結果(収入印紙の在庫内訳)を、スプレッドシートから計算された結果を含めて、Slackに自動通知します。これにより、関係者が必要な在庫情報を迅速に確認し、棚卸業務の漏れを防ぎます。

導入効果

  • 業務効率の大幅な向上:完全目視による開示請求書からの収入印紙の枚数確認と手入力が不要になり、業務時間の削減につながりました。
  • 正確性の向上: 生成AI(Gemini API)を用いた画像認識と記録の自動化により、手入力に伴うヒューマンエラーのリスクを軽減しました。また、従来は全ての工程で人によるダブルチェックを行っていましたが、システムによるチェックと人による確認を組み合わせた効率的な体制が実現したため、ダブルチェックのコストを削減できました。
  • リアルタイムな在庫把握:定期的な自動棚卸とSlack通知により、週次で最新の収入印紙在庫を把握できるようになったことと、棚卸業務の漏れを防ぐことにつながりました。

まとめ

既存のGoogle Workspace環境にGASと生成AI(Gemini)を組み合わせることで、これまで完全人による業務になっていた収入印紙管理業務を効率化・自動化することができました。今後も、他のアナログ業務の効率化を実現し、業務の生産性を上げていきたいと考えています。🐈


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