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[レポート] BIのルールを書き換える:Sigmaのロードマップとビジョン
最近(truestar)社内で注目しているBIサービス「Sigma」。
当エントリでは、Sigma社が2025年07月に配信していたウェビナー『Rewriting the Rules of BI: Sigma’s Roadmap & Vision』(BIのルールを書き換える:Sigmaのロードマップとビジョン)の内容を"視聴レポート"としてお届けしたいと思います。
セッション概要
次世代BIが到来し、Sigmaが先導しています。
SigmaがBIの風景を再定義する方法を、ガートナー® マジック・クアドラント™ アナリティクス&
ビジネスインテリジェンスプラットフォーム部門での注目すべきデビュー直後にご確認いただけます。
このセッションでは、以下の内容を詳しくご紹介します:
- 次世代BIの台頭:
- この新しいビジネスインテリジェンスの形態が、前世代のGen 1 BIとGen 2 BIを
基盤にどのように進化しているか。
- Sigmaのマジック・クアドラント初登場:
- その意味、重要性、そして市場未来を暗示するポイント。
- Sigmaの製品ビジョンとロードマップ:
- 次なる展開と、伝統的なBIを超える課題解決アプローチ。
セッションは、Sigmaの専門家であり業界ベテランのLuke Stock, Luke Stanke,
Tai Abukasisが進行します。
はじめに
- Sigmaについて
- 2025 年 Gartner® Magic Quadrant™ の分析およびビジネス インテリジェンス プラットフォーム部門でニッチ プレイヤーとして認定されたことを発表。
- この評価は、ガートナーのPeer Insights(顧客がSigmaについてレビューを投稿する場所)で裏付けられており、2020年の過去12ヶ月間でトップクラスのスコアを誇る、非常に高い評価を得ている。
- Sigma is on the Gartner® Magic Quadrant™ for Analytics and Business Intelligence | Sigma
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Siamaの高評価の理由は、Sigmaを構成する基本的なアーキテクチャにある。
- Sigmaはデータウェアハウスの上に構築されており、そのデータウェアハウスの能力を活用する形を採っている
- これにより、規模、セキュリティ、ガバナンス、そしてクラウドデータウェアハウスで発生するあらゆる革新を、ほぼ瞬時にSigmaに取り込むことができる
- クラウドへのライブ接続に注力することで、製品のスケールアップとイノベーションをさらに加速させている
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Sigmaは「BIのルールを書き換えている」とされており、本日の発表ではその具体的な状況や事例を共有する予定。
- Sigmaが単なる静的なダッシュボードを超えた存在。
- 他の多くのプラットフォームではダッシュボードが到達点となるのに対し、Sigmaではそれが始まりであり、ダッシュボードではできないことがはるかに多く実行できる。
- これにより、インサイトを加速させるだけでなく、組織全体でイノベーションを推進し、進捗に応じて変化をもたらすことが可能となる。
次世代生成BIの台頭
Sigmaは、BIを取り巻く環境のや状況の変化に対応し、その中で重要な役割を担っています。
1. BIにおける中間層(Middleman)の排除
- 従来のBIツールの課題:
- 従来のBIツールでは、中央データウェアハウスからデータをコピーし、BIツール専用の計算・ストレージ層(キューブ、抽出、SSAS表形式モデルなど)に格納するという、「ミドルレイヤー(中間層)」が必須とされていた。
- この中間層は多くの手間とコストを引き起こしていた。
- Sigmaのアプローチ:
- Sigmaは、この中間層を排除する「直接消費者モデル(direct-to-consumer model)」を採用。これにより、ユーザーはクラウドウェアハウスに直接アクセスでき、常にライブのデータを利用できる。
- 主なメリット:
- 規模、弾力性、セキュリティなど、クラウドウェアハウスの優れた利点を活用できる
- ガバナンスと「単一の真実(Single Version of Truth)」が実現され、データの断片化が解消される
- ダッシュボード作成者がデータのリフレッシュスケジューリングや、データウェアハウスとの連携を心配する必要がなくなる
- 管理者がリフレッシュのボトルネックや失敗、プロセス負荷を監視する手間が省ける
- エンドユーザーの「データの鮮度に関する懸念」が軽減される
- 大規模企業における「使われなくなった古い抽出データの管理とコスト(計算費)」の問題が解消される
- ライブ接続とパフォーマンス:
- Sigmaは、パフォーマンスのためにデータを事前に集約する必要がなく、ウェアハウスの能力を活用しつつ、最も効率的で合理化された接続を提供
- ユーザーはデータの粒度レベルから作業を開始でき、データの信頼性を高めることができる
- Sigmaの技術的優位性:
- SigmaはJDBC/ODBCコネクタを使用せず、最新のGoコネクタを採用
- Snowflake、Databricks、Google BigQuery、Redshiftなど、主要なクラウドウェアハウスごとに最適化されたSQLコンパイラを使用
- キャッシングレイヤー(ウェアハウス内、ブラウザ内)や、Alpha Queryという特許技術、UIでの要素のロード方法の最適化により、パフォーマンスが向上している
- これにより、ユーザーはデータウェアハウスに直接接続しても、何十億行のデータでも迅速に分析可能
2. ダッシュボード中毒からの脱却とスプレッドシートUIの重要性
- 従来のBIツールの問題点:
- 多くのBIチームは「ダッシュボード中毒」に陥っており、主要な利用法がデータをExcel/スプレッドシートにダウンロードすることになっている
- これにより、データの断片化や統治の欠如が生じ、レポートの作成が遅く、信頼性に欠ける結果となってしまっている
- Sigmaの「両方の長所」アプローチ:
- Sigmaは、ダッシュボード、レポート、スプレッドシート、Python、SQLなど「データと対話するあらゆるモダリティ(形式)」を提供
- 特に、スプレッドシートUIは、99.9%のユーザーが慣れ親しんだインターフェースであり、データ操作の「共通語」として機能
- これにより、視覚的に分かりやすいダッシュボードと、Excelのような詳細なスプレッドシートの両方の要件を満たし、すべてを一元的に管理できる
- Sigmaは非技術的なユーザー(スプレッドシートを好む)と技術的なユーザー(SQLやPythonを使う)が同じワークブックで共同作業することを可能とする
- 事例と課題:
- あるCPG企業は、P&L(損益計算書)レポート作成において、視覚的ではなくスプレッドシート中心のニーズを持っていましたが、Sigmaで要件をすべて満たし、データを一元化できた
- 以前はExcelでの複雑な財務レポート作成が「悪夢」であり、従来のBIツールでは対応が困難だった
- マーケティング、財務、会計、サプライチェーンなど、数字を扱う部門の担当者は、リアルなスプレッドシートレベルでのデータ利用や、計算、条件付き書式設定を望んでいた
- ピボットテーブルは、条件付き書式設定と組み合わせることで、非常に有効な可視化タイプであるにもかかわらず、従来のBIツールでは見過ごされていた
- BIの進化は、初期のテーブル形式から2010年頃に「情報の表示」よりも「データの視覚化」に重点が移った経緯があった。しかし、実際の業務の大部分(80%以上)は依然としてテーブル形式で行われていた
- Sigmaの入力テーブル(Input Tables)機能は、単なる表示だけでなく、計画の実行、シナリオ分析、データエンリッチメントなど、Excelで行われるような分析以上の作業を可能にし、本格的なアプリケーションを構築するための基盤となる
- あるCPG企業は、P&L(損益計算書)レポート作成において、視覚的ではなくスプレッドシート中心のニーズを持っていましたが、Sigmaで要件をすべて満たし、データを一元化できた
3. データ入力とデータアプリの構築
- 目的と背景:
- 企業は過去のデータを見るだけでなく、そのデータに基づいて行動を起こし、変化を推進し、市場機会を捉えるために報酬を得ている
- 将来計画や「もしも」のモデリングはスプレッドシートで行われることが多く、これには人間の入力が不可欠
- Sigmaの入力テーブル機能:
- Sigmaの入力テーブルは、エンドユーザーにはスプレッドシートのように感じられるが、裏側ではクラウドウェアハウスに直接書き戻しを行っている
- この際、本番データを上書きするのではなく、Sigma専用のスキーマにデータを書き込み、それを本番データとオンザフライで結合することで、計画や分析が可能になる
- これにより、これまでスプレッドシートや高価な部門別SAS計画ツールでしか行えなかった複雑な分析や計画立案が可能に
- データアプリのメリット:
- Sigmaのデータアプリは、アナリストがローコード・ノーコードでアプリケーションを構築することを可能にし、これまで必要とされた多くのソフトウェア開発者やエンジニアを不要にする
- BI層で直接、動的で書き戻し可能なワークフローアプリを作成できるという新しい概念を提供
- 従来のアプリケーション開発は、リソース、時間、コストがかかり、また、構築されたものがすぐに破綻するリスクがあった。
- Sigmaを利用することで、BIエンジニアや開発者を、内部・外部アプリケーションを開発する「実際の開発者」に変えることができ、開発速度の向上と大幅なコスト削減を実現できる
- 事例
- あるクライアントは、予測プロセスを合理化し、複数のExcelファイルをメールで共有していた手動で時間のかかるワークフローを、3つのSigmaデータアプリに移行した
- これにより、バージョン管理の問題が解消され、予測の精度が向上し、Databricksの実際のデータと統合することで、リアルタイムのパフォーマンスと比較できるようになった
- 企業が成長するにつれて、アナリストの増員に依存することなく、手動プロセスにかかる時間を大幅に削減し、ビジネスを効率的に運営できる
Sigmaのロードマップとビジョン
- 本ロードマップでは、作業中のすべての機能を強調するのではなく、ごく一部の機能のみを紹介
- これは、競合他社が参加している可能性があるため。詳細な情報は既存の顧客や見込み客向けに提供される
- このロードマップ情報はあくまでハイレベルなものであり、開発が保証されるものではない。購入を決定する際の判断材料としては使用しないでほしい
- タイミングは常に変更される可能性があり、Sigma社のロードマップ自体もリアルタイムで動的に変化する
- Sigmaの製品思考の4つの柱 - Sigmaは、製品を主に4つのカテゴリで考えている
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ビジネスインテリジェンス(BI):
- 現在のビジネスの核となる部分であり、スタックを近代化する方法、特にピボットテーブルについて、そしてAIを会話に取り入れて組織の生産性を高める方法について説明
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アプリケーション:
- BIを超えた拡張機能として位置付け
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組み込み分析(Embedded Analytics):
- これは製品としても考えられるが、組織内でSigmaの利用をより多くのユーザーに拡大する方法(外部ユーザーまたは内部ユーザー)に関するものである
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AI:
- 情報の表面化と組織の生産性向上に役立つ手法としてAIが組み込まれる
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ビジネスインテリジェンス(BI):
次世代BI(Next Gen BI)
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第一世代のBIツールを使用している組織の近代化:
- 多くの第一世代BIプラットフォームは市場の革新についていけていないが、Sigmaはピクセルパーフェクトなレポート作成、事前定義されたセマンティックモデル、集計といった第一世代のBI機能と、アドホック分析(第二世代)の両方をサポートする数少ないプラットフォームである
- Sigmaは、既存のBIカテゴリ自体を革新し、ダッシュボードを超えたイノベーションを推進している
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組織の管理と統治のスケール化:
- データモデルやメトリクスの構築、組織的なバージョンタグ付けといった機能が含まれ、これらはすでに過去のリリースで共有されている
- 第一世代と第二世代のギャップを埋めるセルフサービスの実現を目指す
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スケーラビリティの向上:
- より多くのユーザーに対応するための機能として、OAuthのサポートや、より多くの地域でのサポートが挙げられる。これらは管理者にとって重要な小さな改善点
- メトリクスを整理するためのフォルダー機能や、階層を実際のカラムタイプとして活用する機能が近日中に導入予定
- 運用レポートの分野では、ピクセルパーフェクトなレポート作成とエクスポート機能に加えて、ピボットテーブルに直接行を追加して集計を実行できる機能が約1四半期後に導入される予定で、P&L(損益計算書)の作成などがより簡単になる
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データ発見の新しいUI:
- Sigmaはデータを誰にとってもアクセス可能にすることを目指しており、スプレッドシートUIとチャットのようなインターフェースに加えて、新しいデータ発見のUIを導入する予定
- これは、作業したいデータはわかるが、技術的な洞察が不足しているために発見できないユーザー向けとなる
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技術的な機能強化:
- より技術的なユーザー向けには、コンテンツ検証とセマンティック集計が重要なロードマップ機能として挙げられる
- ワークブック内に組み込まれた「Ask Sigma」機能、検証済みメトリクス、大規模なエンタープライズ向けのエクスポートバージョン管理などがある
- ピボットテーブルに行と列を追加する機能のバージョンは既にSigmaに存在
Agentic & Generative AI
- Sigmaは、既存のデータインフラを活用してAI戦略を構築し、投資を最大化することを目指している
- 組織は、AI戦略をデータ戦略と統合し、セキュリティ、ガバナンス、信頼性を重視することを推奨
- Databricks、Snowflake、GCP、AWSなどのデータウェアハウスからのモデルを利用してAI機能を強化
- 主要なデータプラットフォームにホストされている最新のLLMを使用してAI統合を効率化
- 必要に応じてモデルを表面化し、AI展開における柔軟性と適応性を可能にしていく
Ask Sigma
- Ask Sigmaプラットフォームは、技術者と非技術者の両方がデータ発見を効果的に行えるように設計されている
- ユーザーはAsk Sigmaを使って質問することで、適切なデータセットを特定し、関連するデータを引き出すことが出来る
- Sigmaは社内での業務プロセスを強化するために使用され、データ発見を活用している
- データウェアハウスから利用されるデータはごく一部だが、Ask Sigmaはデータの利用拡大を支援
- プラットフォームは、チームのためにキュレーションされた追加のデータソースを発見することを可能にする
生産性の向上を促す各種機能
- AIの主な目的は生産性の向上であり、データ分析を簡素化するための機能を提供
- 「このチャートを説明(Explain This Chart)」や「フォーミュラアシスタント(Formula Assistant)」などの機能がデータ分析を支援
- 「AIクエリ(AI Query)」を使用することで、スプレッドシート内でLLMを直接活用可能
- データウェアハウスの構造化データとLLMの非構造化データを組み合わせることで、より強力な分析が可能に
- この統合により、データ分析がより包括的かつ詳細に
Data Apps
- Sigmaは、信頼できる環境で簡単に数式を作成し、チャートを要約する機能を提供し、データとの対話を簡素化
- Ask Sigmaの提供を拡大し、ユーザー体験を向上させることを目指している
- データを活用したAIパワードアプリの作成が可能で、データアプリとの統合が進んでいる
- テキストを通じてアプリケーションを作成し、データウェアハウスを活用する機能を開発中
- ユーザーがすべての作業を一つのプラットフォームで行えるようにし、効率とデータ活用を向上させることを目指している
- 組織はデータ管理の課題に直面しており、ビジネスインテリジェンスの限界により煩雑なスプレッドシートを扱うことが多い
- 組織が成熟するにつれて、データニーズを処理するためにソフトウェアを購入し、時間とコストを削減するが、ワークフローの統合が必要となる
- 中央集約型プラットフォームの必要性が生じ、さまざまなSaaSプラットフォームを統合し、ワークフローを効率化
- 特定の組織ニーズに合わせた独自のソリューション開発が必要になるが、それを維持するにはリソースと専門知識が求められる
- Sigmaは既存のプラットフォームを活用して時間とコストを削減し、組織が効率的にスケールするのを支援
- データ管理に必要な人員を最小限に抑えることが、組織の発展段階に応じて重要
- ビジネスインテリジェンス(BI)プラットフォームは、アプリケーションのような体験を提供するべき
- 現在のBIツールは、アプリケーションのように感じられないことが課題
- ユーザー体験を向上させるために、プラットフォームの外観と操作性を強化することが重要
- 管理者に対して、入力テーブルの編集やセキュリティの制御を強化する機能を提供
- ファイルを統合し、その情報と対話することができる機能が求められている
- AIを活用してファイル情報を処理することが可能に
- Snowflake、Databricks、Redshift、BigQueryなどのシステムとのデータワークフローの接続を促進
- 様々なファイルタイプのサポートとライトバック機能の強化を開発の重点としている
- データ入力用のフォームを構築し、データを行レベルで表示することに注力
- マルチセレクトやマルチタイプのカラム機能を導入し、データ管理を強化
- アプリケーションのような機能をBI製品に取り入れることが戦略的目標
- これらの取り組みは、BIプラットフォームをより直感的で使いやすいものにすることを目指している
Embedded Analytics
- Sigmaは、0人から100万人の従業員までスケール可能なプラットフォームを構築
- JWT埋め込みを使用することで、開発チームを大幅に削減し、迅速な価値提供を実現
- APIの更新により、セキュリティとスケーラビリティが向上し、複数のテナントを作成可能
- 「Ask Sigma」を埋め込み機能として導入し、カスタマイズ可能なメニューを提供
- データモデル管理をAPIで強化し、バックエンド管理者向けにスケーラビリティを重視
- API機能の拡張を計画し、管理者からの要望に応えていく
- 新機能の製品ローンチでは、孤立した環境管理を中心に紹介
- Sigmaは、スケーラビリティとカスタマイズ性を強化することで、ユーザーのニーズに応えていく
- 今後の開発では、APIを通じたさらなる機能拡張を期待して欲しい
まとめ
という訳で、2025年07月に公開されたウェビナー『Rewriting the Rules of BI: Sigma’s Roadmap & Vision』の視聴レポートでした。様々な方面で新機能を展開していくSigmaの動向には要注目ですね。
近いところだと2025年09月10日(日本時間2025年09月11日AM01:00 - 01:30)にSigmaにおける新機能、新しい情報が公開されるイベント『Sigma's Product Launch』が開催される予定です。このイベントについても時間の都合を付けてキャッチアップしておこうと思います。