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第3回全国医療AIコンテストを開催しました

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第3回全国医療AIコンテストとは

2019年から始まって第3回となった医療AIの講演会とコンペティションが一体となったイベントです.医療AIに興味のある学生・医師・社会人が集まって,AIを応用した医療・介護・ヘルスケアの最先端についての講演会と医療データ解析コンペティションを行いました.

今回は第2回までと変わり、東京医科歯科大学の団体が主催を担当させていただきました。

主催:
東京医科歯科大学 医療IT・数学同好会 T/T (ティーパーティー)
東京医科歯科大学 M&Dデータ科学センター

また、第85回日本循環器学会学術集会の中の1企画として会場を用意していただき、会場とオンラインのハイブリッド開催となりました。結果、参加者は200名を超え、中には中高生もいらっしゃる大規模なイベントとなりました。

なお、今回のイベントは,以下の団体・企業様にご支援いただきました. この場をお借りしてお礼申し上げます.

共催(敬称略):
大阪大学AI & Machine learning Society/AI Medical Society (AIMS)
大阪大学医学部Python会
一般社団法人日本循環器学会
一般社団法人臨床医工情報学コンソーシアム関西

協賛(敬称略):
日本ユニシス

特別協力(敬称略):
ナレッジキャピタル

講演

「AIでがんのゲノム医療はどこまで的確にかつ効率的になるのか」

東京医科歯科大学M&Dデータ科学センター長 宮野 悟 先生

2020年4月に設置された東京医科歯科大学M&Dデータ科学センターのセンター長、宮野悟先生によるご講演。受精卵時代や死後まで含んだユニークな自己紹介から始まり、ゲノム医療の近年の変化、特に加速度的に増えていくゲノム医療に関する論文数、そこでAIがどのような役割を果たすのかという大変興味深い内容でした。

「プログラミング初心者が医療AI研究を始めるためには」

東京大学医学部附属病院循環器内科 小寺 聡 先生

循環器内科医の立場から医療AI研究に入門していく過程のリアリティが凄まじく、自分がプログラミングを始めたときのことを思い出しながら聞き入っていました。できることとやりたいことのギャップを認識し、小さく始めて徐々に力を付けていけばいいというのは、医療AIだけでなく多くの分野に当てはまるのではないかと思います。

"Healthcare's Prescription for Transformation: AI and Machine Learning"

アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 遠山 仁啓 様

AWSのサービスの活用例を中心に、医療AI研究・社会実装のインフラについてお話しくださいました。音声・動画解析分野でも実用化が進んできています。Data Lakeアーキテクチャの医療情報版であるAmazon HealthLakeには注目ですね。

「NVIDIAのCOVID-19に関する研究と連合学習プロジェクトの紹介」

NVIDIA合同会社 阮 佩穎 様

COVID-19の研究におけるNVIDIAの貢献と、多数の医療機関のデータからの学習結果を機密性を保ちながら合わせる連合学習(フェデレーテッド・ラーニング)についてお話しいただきました。連合学習の例として、covid-19罹患患者の胸部X線画像を学習する際に、世界中の病院がデータをやり取りをすることなく、モデルの重みの更新情報(Δw)のみをやりとりして、一つのモデルを学習するという事例が紹介されました。

「医療データ解析の課題と展望」

株式会社Preferred Networks 菅原 洋平 様

Chainer, Oputunaなどで有名なPFN様による医療データ解析の課題のお話です。アノテーションコストや性能と解釈性のトレードオフ、解析対象データのばらつきなど。Pseudo Labeling, Meata Pseudo Labelingの有効性も指摘されており、質疑応答ではKaggler同士のトークが盛り上がりました。

「Pythonプログラミングチュートリアル」

東京医科歯科大学5年生 原田 大輝

T/Tのメンバーで医療AI情報プラットフォームApollonの代表でもある原田によるPythonの入門講座です。心音の解析をテーマに、Google Colabを用いて参加者がその場でコードを実行できる形式でした。Comment Screenを用いオンラインでもインタラクティブな講座を実現できていました。

「医療データを用いたAIコンテストの課題とルール説明」

大阪大学医学部附属病院 秋山 理 先生

Kaggle Masterでコンテストの作問者である大阪大学医学部附属病院の秋山理先生によるコンテスト課題とルールの解説です。課題は心電図による心筋梗塞の診断でした。お手本としてご自身の分析を詳細に解説してくださり、心電図の知識のない参加者でもスムーズに取り組めるようになっていました。

医療データ解析コンペティション

概要

第3回の課題は「心電図による心筋梗塞の診断予測」でした。
詳しいルール、データの説明は下記のページをご確認ください。
コンテストページ
参加者にはKaggle Masterの方やドメイン知識を豊富に持つ医師の方がいらして例年にも増してハイレベルな戦いでした。そのハイレベルな戦いを制したのは中高生のチームとあって、大いに注目を集めました。

解法

1位のチームと2位の方が解法を共有してくださっています。前回の1位解法でも用いられ、PFN菅原様の講演でも言及されたPseudo Labelingが有効な手法として挙げられています。
1位チームの参加記は必読です。

第1位

参加記
コード

第2位

コード
解説

第3位

解説

イベント運営の反省点

イベントそのものが破綻するようなものはなかったですが何個か反省点があります。
特に大きなものは誤ったコンペティション終了時刻が伝わってしまったことです。運営ではイベント進行を行うチームと問題の作成・Kaggleの設定をするチームで分かれておりまして、イベント進行チームと問題作成チームで終了時刻の確認が行われていなかったことが誤りの原因でした。次回開催時には起こらないようにしていきたいと思います。
その他の反省点を箇条書きで述べます。

  • ハイブリッド開催という複雑な開催形態にもかかわらずconnpassページの案内が不親切だった。
  • ZoomのURLなど、参加に必要な情報がいつ送られてくるのかが明記されておらず、参加者に余計な不安を与えた。
  • 参加者交流の機会が例年より少なくなってしまった。

反応

循環器学会の中で行ったことで、イベントの知名度が随分と上がったのではないかと思います。SNSで多くの反応があり、Clubhouseで感想を話してくださった循環器内科の先生もいらっしゃいました。

また、日本循環器学会を振り返ったm3の記事でも取り上げていただきました。

全体を通して

主催の変更、初のハイブリッド開催、それも循環器学会の中で!という新しい挑戦でしたが、多くの方に助けられひとまずはやり通すことができました。
循環器学会自体も入り口に案内ロボットがあったりオンラインVR会場があったり、医療の"NEXT STAGE"を感じさせる内容になっていました。その中で医療AIの可能性、またコンテストに参加する面白さが多くの方に伝わっていれば幸いです。
運営メンバーの皆様、M&Dデータ科学センターの宮野先生、坂内先生。大阪大学の新岡先生はじめAIMSの方々、登壇者の皆様、共催・協賛の団体・企業の皆様のご協力あってのことです。この度は誠にありがとうございました。