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【技術メモ】スイッチドリラクタンスモータ(SRM)用回路トポロジーの比較

2024/02/16に公開

比較検討の背景

レアメタル不要なモータとしてスイッチドリラクタンスモータ(SRM)の注目が集まっているがいくつかの課題が実用化への大きな障害となっている。

  1. トルク脈動が大きい
  2. 騒音・振動が大きい
  3. 磁化特製に強い非線形性(例えば時期飽和)を持つため最適制御が複雑

こういった課題に対してモータ設計や通電角や電流の最適制御による解決が試みられている。モータの駆動回路としては非対称ハーフブリッジ回路(Asymmetrical half-bridge topology:AHB)と呼ばられるスイッチング素子とダイオードを組み合わせた構成にて検討されることが多い。これは,各巻線に対して印加する電圧/電流波形の自由度が高いことにも起因すると思う。用途指向形モータとして検討されてきた背景もあるため,回路トポロジーもアプリケーションに応じて最適化することも考えられる。そこで,AHBを基準として機能や構成を比較してみた。

マルチレベル化

フライングキャパシタやT-typeインバータの構成とした回路とすることで低リップル,等価sw周波数の増加が達成できる。背反として追加のインダクタやコンデンサ,デバイスが必要となる。高速回転用途には適しているのか?

可変電圧機能

昇圧チョッパや昇降圧チョッパ,Zソースコンバータと組み合わせたり,一部のレグを共有することで巻線印加電圧をVdcからリニアに変化させることができる。低速時の振動を抑制できたり,バッテリの電圧低下を補償できるメリットがある。

SRM巻線の結線方法

制御の自由度を減らしてSRMの巻線をY結線やΔ結線[1]にすることで三相インバータを適用する事例もある。Y結線では巻線に負電流を重畳する必要があり,Δ結線では単方向とするために別途ダイオードが必要となる。

励磁/減磁用回路とセレクタ回路の組み合わせ

一対のフルブリッジと3組の双方向スイッチを組み合わせることで等価的にAHBと同じ機能を持ちながら素子数を低減する構成もある。フルブリッジ部はほぼスイッチングを行っているためゲートドライブ電源をブートストラップダイオードで構成し,双方向スイッチのソース電位をふるブリッジの各レグの中点とすることで絶縁電源不要となるメリットもある。ただし,フルブリッジ部の電流負担が大きいため大容量では素子数低減のメリットが得られない。

まとめ

低圧大電流用途や高速回転,振動低減要求の少ないアプリケーションなどそれぞれに応じた回路構成が望ましいがまだ定量的な評価はできていない。異なる回路トポロジーで比較する指標について今後勉強してみようかな。

脚注
  1. Inverter Topologies and Current Sensing Methods for Short Pitched and Fully
    Pitched Winding SR Motors ↩︎

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