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【実践メモ】コンデンサって色々あるよね

2024/02/19に公開

コンデンサの種類

コンデンサといえども実際は色々な種類がありますね。特にパワエレの分野である程度の電力(100W~)をでは,次のコンデンサがよく使われています。

  1. 電解コンデンサ      直流部の平滑用
  2. フィルムコンデンサ    直流部の平滑,ACフィルタ,EMC対策
  3. セラミックコンデンサ   スナバキャパシタ,共振回路
  4. etc(タンタルコンデンサ,薄膜シリコンなど)

それぞれのコンデンサの機能的な違いは各メーカさんで説明があるのでそれを参考に。
同じアプリケーションでコンデンサを選定してみて結果を比較してみましょう。

アプリケーション例
 48Vout,1kWの位相シフトDCDCコンバータの入力側コンデンサ
 出力電流はざっくり23A(1000W / 48Vout )
 スイッチング周波数50kHzならリプル電流は2倍の100kHzが主(実際には高次高調波を含む)

選定条件

  • 直流電圧からマージン20%をとって耐圧60Vから選定
  • 出力電流リプルは直流電流の±25%とすれば10App(2.8Arms,三角波と仮定)
  • 出力電圧変動を±0.5%とすればキャパシタンスが決定 → 50uF

デジキーを使って部品検索
受動部品→コンデンサ→アルミ電解コンデンサ

検索条件
 製品ステータス:アクティブ
静電容量:50-70uF
電圧定格:60V,63V
在庫状況:あり
https://www.digikey.jp/ja/products/detail/chemi-con/EKZN630ELL680MHB5D/4843894

ケミコンの「EKZN630ELL680MHB5D」,63V,68uF,720mA@100kHz
単価:104円(2024/02/19時点),高さ13mm,Φ8mm
→ リプル電流容量が不足しているので多並列化=4並列必要

受動部品→コンデンサ→セラミックコンデンサ
 製品ステータス:アクティブ
静電容量:-100uF
電圧定格:60V-80V
在庫状況:あり

TDKの「C3225X7R1N106K250AC」,75V,10uF,リプル電流2A(100kHz,Δt=5℃)
単価:150円(2024/02/19時点),高さ2.8mm,3.2mm×2.5mm
注意:DCバイアス特性を考慮するとDC48Vでは約2uFまで低下

静電容量が不足しているため多並列化:25並列必要

比較結果

種類 型番 静電容量 リプル電流 並列数 単価 合計 体積
電解コンデンサ EKZN630ELL680MHB5D 272uF 2.8A 4 104円 416円 2613mm^3
セラミックコンデンサ C3225X7R1N106K250AC 50uF@48V 100A 25 150円 3750円 560mm^3

電解コンデンサはリプル電流が制約となって並列数が増加
 → 結果的に静電容量が必要量の4倍,低価格

セラミックコンデンサはキャパシタンスが制約となって並列数が増加
 → 結果的にリプル電流が必要量の36倍,体積小

今回の選定結果はあくまでも一例かつ,設計の最初のフローになります。
ここから回路定数(例えばインダクタ,スイッチング周波数,etc)を変更したり,
過渡現象の制約条件を追加したり,故障モードを考慮して直列数を増やしたりと
設計変数がまだまだ存在します。。。
が,小さく作ろうとするとセラミックコンデンサ,安く作ろうとすると電解コンデンサのようなイメージになりそうですね。

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