ガンマ関数の積分公式
∫0∞⋯∫0∞x1α1−1⋯xnαn−1dx1⋯dxn−1=Γ(∑i=1nαi)∏i=1nΓ(αi)
ただし、左辺の定積分の範囲は xi≥0(i=1,...,n) および ∑i=1nxi=1とする。
注意:
∑i=1nxi=1 の制約によってxn=1−∑i=1n−1xi となるので独立な変数はx1,...,xn−1
そのため積分変数もxn−1までとなっている。
証明
ガンマ関数
α>0 に対して、ガンマ関数 Γ(α) は次のように定義されます。
Γ(α)=∫0∞xα−1e−xdx
ガンマ関数の定義より、
i=1∏nΓ(αi)=∫0∞⋯∫0∞e−∑i=1ntit1α1−1⋯tnαn−1dt1⋯dtn
ここで、変数変換
ti=xiz,xi≥0(i=1,...,n),i=1∑nxi=1
とする。
ヤコビアンを考える。
J=∂t1/∂x1∂tn−1/∂x1∂tn/∂x1⋯⋮⋯⋯∂t1/∂xn−1∂tn−1/∂xn−1∂tn/∂xn−1∂t1/∂z∂tn−1/∂z∂tn/∂z=z−z ⋱0⋯ 0⋱⋯z−zx1⋮xn−1xn=z0⋱00⋱⋯z0x1⋮xn−11=zn−1
ヤコビアンは zn−1 であることが分かる。
したがって
i=1∏nΓ(αi)=∫0∞e−z∑i=1nxiz∑i=1nαi−nzn−1dz×∫0∞⋯∫0∞x1α1−1⋯xn−1αn−1−1xnαn−1dx1⋯dxn−1
1つ目の積分は∑i=1nxi=1とガンマ関数の定義より
∫0∞e−z∑i=1nxiz∑i=1nαi−nzn−1dz=∫0∞e−zz∑i=1nαi−1dz=Γ(i=1∑nαi)
2つ目の積分は「積分公式」の左辺と等しい。
以上より
∫0∞⋯∫0∞x1α1−1⋯xnαn−1dx1⋯dxn−1=Γ(∑i=1nαi)∏i=1nΓ(αi)
となる。
まとめ
ディリクレ分布の期待値や分散を求めるのに必要な公式を導出しました。
結構複雑で、大変でした。
ディリクレ分布の期待値や分散の導出はこちら
https://zenn.dev/totopironote/articles/b819785d547d14
最後に、どなたかMarkdownで枠を作ったりする方法ご存知でしたら、ご教示いただけると幸いです。Notionでいうコールアウトみたいにして定義などをみやすくしたいです。
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