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ウィシャート分布の期待値の導出

2023/10/07に公開

はじめに

ウィシャート分布は、統計学および多変量解析の分野で使用される確率分布の一つです。具体的には、正定値対称行列に対する確率分布として知られています。

ウィシャート分布

定義

確率変数Wが自由度 \nuと共分散行列\Sigma を持つウィシャート分布に従うとき、

W \sim W_p(\nu, \Sigma)

ここで、\Sigmap \times p 正定値対称行列、\nu は自由度を表す実数です。

ウィシャート分布の確率密度関数は以下のように与えられます:

f(W|\nu, \Sigma) = \frac{|W|^{(\nu - p - 1)/2} e^{-\text{tr}(\Sigma^{-1}W)/2}}{2^{(\nu p)/2}|\Sigma|^{\nu/2}\Gamma_p(\nu/2)}

期待値

ウィシャート分布の期待値は、自由度と共分散行列の積で得られます。

E[W] = \nu \Sigma

分散:

ウィシャート分布の分散の導出はやや複雑です。特に、各要素の分散と共分散を考慮する必要があります。

\begin{align*} \text{Var}(W_{ij}) &= \nu(\sigma_{ij}^2 + \sigma_{ii}\sigma_{jj})\\ \text{Cov}(W_{ij}, W_{kl}) &= \nu(\sigma_{ik}\sigma_{jl} + \sigma_{il}\sigma_{jk}) \end{align*}

ここで、W_{ij} : Wij 列の要素、\sigma_{ij} : \Sigmaij 列の要素

期待値の導出

まず、 \bm x_1,...,\bm x_n \hspace{3pt}\text{i.i.d. }\hspace{2pt}N_p(0,\Sigma) を用いてW=\sum_{i=1}^n\bm x_i\bm x_i^T\sim W_p(n,\Sigma) とかける。

p次元ベクトル \bm x_i (i=1,...,n) は平均0なので、Wの自由度がnであることに注意。(平均≠0のとき自由度はn-1)

\begin{align*} E[W]&=E\left[\sum_{i=1}^n \bm x_i \bm x_i^T\right]\\ &=\sum_{i=1}^nE[\bm x_i \bm x_i^T]\\ &=\sum_{i=1}^nE\left[(\bm x_i-E[\bm x_i])(\bm x_i-E[\bm x_i])^T\right]\\ &=n\Sigma \end{align*}

さいごに

分散がいまいち理解できていないので、わかり次第更新したいと思います。

参考文献

wikipedia “Wishart distribution” https://en.wikipedia.org/wiki/Wishart_distribution

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