ターミナル「Warp」のWindows版を触ってみた
このたび、Windows版のベータ版Warpを触る機会をいただいたため記事にしています。
(この記事はプロモーションを含みます)
Warpとは
Warpとはターミナル、コマンドライン(CLI)でコンピュータを制御するためのツールです。
Windowsですと「コマンドプロンプト」「PowerShell」を想像して頂くと良いでしょう。黒い画面のアレです。
この「ターミナル」にオシャレな見た目で、かつ作業をサポートする機能をたくさん詰め込んだのがWarpです。
今回初めてWarpを触ってみたのですが、「そうそう、これだよこれ!あって当たり前の機能が今までのターミナルに無かったんだな。」という感想になりました。
それくらい自然に、思った作業を思ったとおりにできたので感動してしまいました。
対応プラットフォーム
Warpは今までMacOSとLinuxが対象だったのですが、遂にWindows版にも対応することになりました。
そのため全プラットフォームで利用することができます。
料金体系
2025年2月現在、Warpは無料で使うことができます。ただし無料の場合はAI機能周りに制限があります。
Free | Pro | Team | Enterprise | |
---|---|---|---|---|
説明 | 個人やプロのエンジニア向けの生産性向上プラン | 高度なAI機能を活用したいプロフェッショナルエンジニア向け | チームや組織向けの共同作業と管理機能を備えたプラン | 大規模なエンジニアリング組織や高度なセキュリティ・コンプライアンスが必要な企業向け |
価格(1ユーザー/月) | 無料 | $15(年間契約) $18(月間契約) |
$22(年間契約) $25(月間契約) |
カスタム価格 |
主な機能 | - 最大100回/月のAIリクエスト -月間最大250件までのNext Command利用 - 個人用Warp Drive |
- Freeプランのすべての機能 - 最大1,000回/月のAIリクエスト - 無制限のNext Command利用 - 35Mトークンまで使用可能 - プライベートメールサポート |
- Proプランのすべての機能 - 共有Warp Drive - SSO/SAML - リアルタイムセッション共有 - 優先サポート |
- Teamプランのすべての機能 - 専任のアカウントマネージャー - 専用のオンボーディングサポート |
個人的な感想としては、無料プランでもbetterターミナルツールとしては全然使えるなといったところです。WarpDriveが結構便利で、定型作業が多いのであれば無料プランでも十分かなと思います。
逆に「調べながら作業する」といったケースが多い場合はProを契約してAIサポートを活用していくのも全然アリだと思います。
機能一覧
Warpは非常に機能が多いです。機能を網羅して把握するのであれば公式のドキュメントを読んで頂くのが良いでしょう。
その中でも、自分が良かったと感じた機能をいくつかピックアップします。
- AIによるサポート : コマンドのサジェスト、自然言語でAIと対話してコマンドの作成、音声入力
- Blocks : コマンド操作をブロックに区分して履歴へのアクセスや入力/出力のコピペの補助
- WarpDrive : ワークスペースにコマンド操作のドキュメントを保持、よく使うコマンドをショートカット化して保存、環境変数の保存
とくにAIによるサポートがWarp一番のウリみたいです。料金体系もこのAIの使用を中心に設計されています。
それぞれの機能紹介
AIサポート
Agent Mode & Active AI
Warpの目玉機能がAIによるサポートです。
「Agent Mode」は自然言語でAIに命令を出せる機能であり、「Active AI」はコマンド操作の文脈を把握して次のコマンドを提案する機能です。
ではAgent Modeという機能を用いて、「Dockerfileの作成」を実行してみました。
「create dockerfile
」と命令し、C#プロジェクト上でDockerfileの生成を実行してみます。
(「(このディレクトリのC#プロジェクト用の)Dockerfileを作って」と自然言語で依頼)
このタスクをAIが実行し、Dockerfile
の生成が行われました。
しかしそのDockerfileを用いてdocker build
を行ったところ、ビルドに失敗してしまいました。
失敗した理由は「C#プロジェクトとイメージの.NETバージョンが一致していないから」です。
(動かないDockerfileを生成してくるあたり、AIの生成結果を精査せずに使うのはよくない)
そしてここでActive AIが機能し、修正を提案してきています。
(使おうとしているイメージの.NETバージョンを.NET8に上げてはどうか、とAIが提案してきている)
この提案を受け入れたところ、無事に動作するDockerfileが生成されました。
(提案を受け入れてDockerfileを修正)
(無事にビルド成功)
といった具合に、現在のワークスペースに基づいた命令をAIに依頼したり、文脈を把握して次のコマンドを提示してくれる機能がWarpには備わっています。今回の操作も「create dockerfile
」と命令を出したあとはCtrlとEnterをぽちぽちしているだけでした。(AIが生成したものがミスってて、その修正もAIがやってるのはマッチポンプ感あるが)
そもそもAIが生成する結果を鵜呑みにするのは良くないです。成果物はちゃんと目を通し、AIがどういうコマンドを生成して操作を行っているのかを理解した上で使う分には非常に便利です。
プライバシーについて
WarpにはSecret Redactionという機密情報を秘匿化する機能が備わっています。Active AIを使用する場合は自動的にこの処理を適応した後にAIに命令を出しているそうです。
またAIにおける情報の取り扱いについてはprivacyにまとまっているため使用前に目を通しておきましょう。
Blocks
Blocks機能は、ターミナルの過去の入出力をブロック単位で区切って扱う機能です。
Ctrl + ↑/↓
で過去の入出力を追いかけ、そのログの入力コマンドや出力結果をコピーしたり「Workflow」として保存することができます。
WarpDrive
WarpDriveはWarpターミナル自体が保持するワークスペース機能です。個人だけでなくチームメンバと内容を共有することができます。
Notebooks
NotebooksはMarkdownで記述できるドキュメントファイルです。内部にコマンドをスニペットとして埋め込むことができNotebooks上からスニペットを実行することもできます。
(スニペットを選択して「Ctrl+Enter」でターミナル上で即座に実行が可能)
Workflow
Workflowはターミナル上のコマンドをテンプレートとして保存できる機能です。
実行時に都度指定したい要素を引数として切り分けることができ、引数に対するDescriptionを用意しておくこともできます。
(Workflowを実行し、プルリクエストの#2
にチェックアウトする例)
感想
よかった点
WarpのWindows版を触ってみましたが、ターミナルでの作業がかなり楽になる印象でした。
AIサポートも便利ですが、地味ながらも履歴を「ブロック」として追える機能がかなり感動しました。
また、Windowsの場合はWarp起動後にどのコマンドライン環境を開くかを選択することもできます。
これのおかげでWindows上のすべてのコマンドラインでの作業をWarpに集約することができてとてもありがたかったです。
まだ微妙だった点
ターミナル内でのフォントは変更できるのですが、WarpDriveやWarp本体のUI部分のフォントの種類変更やサイズ変更がまだ未対応とのことでした。とくにNotebookを使っているときは日本語フォントに違和感を覚えたため、ここが変更できるようになれば完璧なのになと思いました。
こちらは今後のアップデートに期待です。
最後に
Warp、中々に便利だと思います。
普段ターミナルを使った作業が多い方はぜひオススメします。
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