Webサイト分析を始めよう。GA4,BigQueryなどのツールの役割
はじめに(記事の位置づけ)
前回のガイド記事では、本記事群が「Web アナリティクス初心者が GA4・Search Console データを BigQuery で活用し、Looker Studio で可視化・分析できるようになる」までをカバーする学習カリキュラムであることをお伝えしました。
本記事は、そのガイド記事で示したカリキュラムの中で「Web アナリティクスにおける主要ツールの役割」を理解する初期ステップにあたります。
概要
ウェブサイト分析(Web アナリティクス)にはさまざまなツールが関わります。
GA4 (Google Analytics 4)、Search Console、BigQuery、そして Looker Studio を組み合わせることで、標準レポートを超えた柔軟なデータ活用が可能になります。
この記事では、各ツールがどのような役割を担い、全体としてどのように連携することで
サイト改善やビジネス成果向上につなげられるのかを、弊社での運用例を交えながら解説します。
全体像を示すイメージ図
ウェブサイト分析の最終的な目的は「売上」や「成約数」の向上です。
下の図は、「検索」から「売上」に至るまでのデータフローや、どのツールがどのデータを扱うのかを簡略化したものです。
※弊社では CV(コンバージョン)の計測や顧客データ管理に Kintone を活用しており、そのため図中にも Kintone が登場しています。
ウェブアナリティクス全体像
この図は、検索エンジン経由でユーザーがサイトに訪れるところから、実際の売上発生までを示しています。
以下、図中に登場する主要ツールの役割を順に説明します。
Search Console: 検索パフォーマンスの可視化
Search Consoleは、検索クエリやランディングページが検索結果でどのように表示され、
どの程度クリックされているか(表示回数、クリック数、CTR など)を把握するためのツールです。
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クエリ × ページ品質 → 表示回数(インプレッション)
ユーザーが入力する検索クエリに対して、どれくらい自社サイトが検索結果に表示されているかを計測できます。
※当社では、「1 クエリにつき 1 ページ」を基本方針としており、狙うクエリ数がおおむねページ数に対応する、と考えています。
また、Search Console は API 連携を活用することで、新規ページが Google にインデックス登録されているかを確認することも可能です。
さらに、インデックス登録状況やページごとのクローラビリティ(クローラーがページを巡回する状況)を把握・最適化することは、SEO において重要な課題の一つです。
クローラビリティの詳細については、別の記事で解説する予定です。
GA4: ユーザー行動分析
GA4は、ユーザーがサイトに訪れてからコンバージョン(CV)に至るまでの行動を可視化できます。
- どの流入経路から訪問したのか
- どのページを閲覧したのか
- どのようなアクション・行動を経て CV へ至ったのか
このような情報を把握できるため、サイト改善や施策の効果検証において、GA4 はメインとなる分析ツールとなります。
Kintone など業務データ
GA4 だけでも CV の設定ができるので、ユーザー行動からチーム、事業の成果を分析することはある程度可能です。しかし、イベントは設定したタイミングでしか計測できないので、GA4 だけでは限界があります。
弊社では、サイトからの問い合わせなどの CV のデータは Kintone で管理しています。
そのデータを BigQuery に転送することで、Search Console や GA4 のデータを統合しています。
BigQuery: 大規模データの活用基盤
Search Console や GA4 はブラウザ上で基本的な分析が可能ですが、
行なっている施策、現状の課題に合わせてより自由な分析がしたい場合や、他のデータとも掛け合わせたい場合、BigQueryの活用が必要です。ブラウザ上で問題なく分析できていると考えているのであれば BigQuery は不要です。
BigQuery は大量のデータを一つに統合することができる、データウェアハウス(DWH)として機能します。これにより、データの一元管理や BI ツールとの連携がスムーズに行えます。
複数データソースを BigQuery で統合し、Looker Studio へ
Looker Studio: 可視化・レポート化
Looker Studioは、BigQuery で分析した結果をわかりやすく可視化し、
社内メンバー、クライアントへのレポートとして共有、また日々見るダッシュボードを作成するのに役立ちます。
- 指標をグラフや表で分かりやすく表示
- フィルタや期間選択でインタラクティブな閲覧が可能
- 時系列分析やセグメント別比較で複雑な状況を直感的に把握
これにより、データが単なる数字の羅列ではなく、意思決定を助ける「ストーリー」として機能します。
レポート、ダッシュボードを作成する際は「どんなことがわかるのか」「わかってほしいのか」を明確にして作成しましょう。
まとめ
- Search Console:検索クエリや表示・クリック状況を把握する
- GA4:サイト内行動やコンバージョンを分析する
- Kintone(業務データなど):ウェブサイトのデータとビジネスデータと結合してより深いインサイトを得る
- BigQuery:データを統合・加工し、高度な分析を可能にする土台
- Looker Studio:分析結果を可視化・共有する
以上が、今回の記事で紹介したツールの役割と連携の全体像です。
前回のガイド記事で示したように、これらのツール理解は、Web データアナリストとして自走するための土台となります。
次回は分析をする上での基本的な用語の説明をします。
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