Azure VM のRI割引の考え方
はじめに
AzureのVM利用料を前払い(利用量をコミット)することで割引を受けられる、Azure Reserved VM Instances (RI) という機能があります。
このRIですが、思ってた額にならないとか、どういう考え方になってるかわからないとか、相談/質問を受けることが多々ありますので、考え方を残しておきます。(これ見てね、で良くなるように…)
RIで割引される費用は何の費用?
下記のサポートブログにも記載があるので見ればわかるのですが、「HWの利用料」を割り引きする仕組みであると明記されています。
AzureVMの利用料は下記のサイトにメニューが載っています。しかしこの「HWの利用料」というのはVM利用料のうちのどの部分なのでしょうか?
VMの利用料の内訳(OS vs HW)
ものすごくザックリ分けると、AzureのVMにはWindowsとLinuxあります。これらの価格を比較すると↓のような価格構成になっています。
※標準的ということで、汎用のDシリーズ4vCPUのD4v5インスタンスの1月あたりの利用料で比較します。
Azureには、WindowsのOSライセンスを持ち込める「Azure Hybrid Benefit(AHB)」というオプションがあり、これを有効にしたWindows VMと、Linux VMが同額になっています。
Linux VMはOS部分が無償なもの(CentOSなど)になっていますので、この価格が純粋なHW代で、AHBなしのWindows VMとの差額がOS代と考えられます。
RIの割引の効き方
さて、このHW代に対して、RIでどれくらい割引が効くのでしょうか?
AHBの有無、RI(予約)の有無で価格を比較すると下記のようになります。
D4v5インスタンスの場合、RI(1年)による割引率は41%と言えます。大きいですね。
3年予約にすると、もちろんもう少し割引率がよくなります。
VMサイズによる違い
では次に、VMのサイズによる違いがあるのでしょうか?確認してました。
Dシリーズのv5で、サイズを変えながら価格を比較してみると下記の表になりました。
モデル | D2v5 | D4v5 | D8v5 | D16v6 | D32v5 | 1vCPUあたり |
---|---|---|---|---|---|---|
従量課金[$/月] | 137.2400 | 274.4800 | 548.4800 | 1,097.9200 | 2,195.8400 | 68.6200 |
OS代[$/月] | 67.1600 | 134.3200 | 268.1600 | 537.2800 | 1,074.5600 | 33.5800 |
HW代[$/月] | 70.0800 | 140.1600 | 280.3200 | 560.6400 | 1,121.2800 | 35.0400 |
RI1年[$/月]AHBあり | 41.3326 | 82.6652 | 165.4180 | 330.7484 | 661.5844 | 20.6663 |
RI1年HW割引率[%] | 41 | 41 | 41 | 41 | 41 | ― |
OS代・HW代ともに「1vCPUあたりの価格」×「サイズ」で決められているようで、ほぼ比例構成になっています。(小数点以下を丸めるところがあるのか、誤差はありました)
おわりに
VMの利用料の内訳、RIの効き方を確認してまとめました。もっとも代表的と思われるDシリーズの最新世代v5ではこのようになっています。
VMのシリーズや世代によって考え方が違うものもあるかもしれませんので、原則的な考え方ととらえていただければと思います。
たどり着いた方の参考になれば幸いです。
Discussion