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Azure VMのシリーズ・サイズの表記方法

2023/09/25に公開

はじめに

はじめてAzureを触りだすときに、オンプレミスからのLift & Shift先として(IaaSとして)使う方は多いと思います。
そのような中で、「AzureのVMのシリーズやサイズ名称、どう読み取るの」「AWSでいうインスタンスファミリーMに相当するのはどれ?」みたいな質問をよくもらいます。

Microsoftのドキュメントの中でも1ページにまとまってないので、参考リンクをまとめる意味で記事化したいと思います。

命名規則

命名規則としては下記のドキュメントに記載があります。
https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/virtual-machines/vm-naming-conventions

ルールは下記のとおりです。
[ファミリ] + [サブファミリ] + [vCPU の数] + [制約付き vCPU] + [追加機能] + [アクセラレータの種類] + [バージョン]

よくあるのは下のようなパターンのVM名です。

①ファミリ(必須)

ファミリーは下記のサイトで見るのがわかりやすいですが、ここでは「シリーズ」と呼ばれています。同じと思って良いかと思います。
https://azure.microsoft.com/ja-jp/pricing/details/virtual-machines/series/

シリーズ 概要 補足 最大vCPU 最大メモリ(GiB)
A 開発、テスト向け 2024/8/31廃止予定。 8 64
B バースト可能 AWSでいうtシリーズ 32 128
D 汎用 メモリとCPUのバランスが平均的。AWSでいうmシリーズ 96 384
E メモリ最適化 メモリ比率高め。AWSでいうrシリーズ 104 672
F コンピューティング最適化 CPU比率高め。AWSでいうcシリーズ 72 144
G メモリ最適化 大規模データベースや高負荷アプリ向け。ローカルストレージ。 - -
H ハイパフォーマンスコンピューティング ストレージIO性能高め。 96 1300
M メモリ最適化 最大メモリ容量が特大 192 4096
N GPU付き 機械学習やグラフィック処理向け 112 700

最大vCPU、メモリは最新世代のものを前提に記載しています。また、サブファミリ次第のものは代表例を載せていますので、あくまで傾向を見るものと思ってください。

②サブファミリ(一部)

サブファミリがあるVMは一部です。意味は下記のようです。
※記事記載時点の、各ファミリーの最新世代を前提に記載しています。

ファミリ+サブファミリ 概要
DC Intel SGXテクノロジーを使ったAzure コンフィデンシャル コンピューティングに対応
EC AMD SEV-SNP テクノロジを使ったAzure コンフィデンシャル コンピューティングに対応
FX Fsv2とCPUモデルが別
HB CPUモデルによる違い
HC HBよりもさらに高性能
HX HCよりもさらに高性能
NC NVIDIA Tesla V100 GPU採用
ND NVIDIA V100 Tensor Core GPU採用
NV AMD Radeon Instinct MI25 GPU採用

単純な世代では測れない範囲で、CPUやGPUのモデルが別の場合に使われており、ファミリ識別子と合わせて2文字で表現しているようです。
こんなの正直覚えてられません!使うことになったら都度調べて比較するんだろうと思います。

③vCPUの数(必須)

古い世代のVMだとルールに当てはまらないものもありますが、基本的にvCPUの数が記載されます。
おそらく一番vCPU数が多いVMは
M416ms v2
です。416個。とんでもないですね。

④制約付き vCPU(一部)

CPU数に比例してライセンスがかかるようなソフトウェアを使うときに使うVMです。
下記のように表記されます。
M8-2ms_v2
この例の場合、「M8ms相当のVMだけど、vCPUの数だけ2個に制限されている」という解釈です。

⑤追加機能(必須)

下記の文字を付与し、未記載のものとの差異を表します。複数の文字が付与されることもあります。冒頭に記載した「命名規則」のページに一覧があるのですが、わかりにくいものもあるので少し書き替えています。

追加機能 意味
a (無印がintelのCPUに対し、)AMD ベースのプロセッサ
d ローカル一時ディスクが付与されている
l 低メモリ。メモリ集中型のサイズよりも少ないメモリ量
m メモリ集中型。特定のサイズの最大メモリ容量
p (無印がintelのCPUに対し、)ARM Cpu
s Premium Storage 対応。Ultra SSD を使用できることも含まれる

下記の「追加機能」は、先ほどのページに記載があるのですが、作成できるVMの一覧に見当たらず、現在は存在しないようです。

追加機能 意味
i 分離サイズ
t 最少メモリ。特定のサイズの最小メモリ容量
b ブロック ストレージのパフォーマンス
C 機密
NP ノード パッキング

⑥アクセラレータの種類(一部)

一部のGPUを使うVMでは、GPUのモデルを示す文字列が付与されています。
NDm A100 v4
のA100などがそれにあたります。

⑦バージョン(必須)

同じシリーズや同じ条件のVMの中で、世代を表すのに使います。例えばDシリーズであれば、"Dv3"や"Dv5"といった形でバージョンが記載されます。
バージョンは数字が大きい方が新しく、だんだん新しいバージョンが発表されていきます。一般的に新しいもののほうが、同等のスペックでも安く提供されることが多い一方で、登場したての時はHWリソースが少ないようで、リソース不足で作成できなかったりクォータが低く設定されていたりします。

存在するVM一覧

下記のドキュメントに記載のあるVMが、実際に存在する選択肢のようです。文字の表記上ありうるからと言って、全パターン・全組み合わせ存在するわけではありません。
https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/virtual-machines/sizes?source=recommendations

まとめ

2023/9時点の情報でまとめてみました。バージョンなどどんどん増えて行く・変わっていくと思われますが、「読み取り方」という観点では大きくは変わらないと思いますので、見た方の参考になれば幸いです。

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