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ネタTシャツを作る技術

2025/02/24に公開

経緯

2025年2月16日、京大を受験する友人から、DMがあった。(やり取りは要約しています。)

友人:「計算ミスをなくそう」みたいな、受験生向けの嘘sdgsTシャツとか作って
   入試に着てったら楽しそう
   今からじゃ間に合わなそうだけど
私 :今作れば国立前期には間に合うと思う
   やるか...
   何着ほしいの
   1着1000円以下で作れそう
   長袖だと高くなるかな
   試験会場寒いから長袖のほうがいいよね
友人:ないす
   Sustainable development GOALSのところのデザインを
   Gokaku is not GOALにしたい
私 :天才か
   了解した
   とりあえず作ってみる

こんな感じで会話がトントン拍子に進み、嘘SDGsTシャツを作ることになった。
やはり京大受験生は正気ではない。

ロゴデザイン

SDGsっぽいという枠組みが決まっていたのでデザイン自体は1時間程度で作り終わった。

初期案を作り終わったところで複数の同級生にレビューを依頼した。すると様々な指摘があった。

  • 理系ネタが多すぎる。文系にも配慮すべきだ。
  • 「135 合格はゴールではない」はタイトルにもあるから不要。
  • GOKAKU IS NOT GOALSの語呂が悪い。
  • 有効数字ネタなら
    1.26 \times10^{2}
    のほうが適切ではないか。
  • グラフネタが多い。
  • 334はTwitterでしか通じない。

妥当な指摘が多数寄せられたため、改善を試みた。

まず、文系クラスを訪ね、文系のネタを募集した。結果として下記の2つを追加した。

  • 「131 スペルミスに気を付けよう」
  • 「132 助動詞の「に」に気を付けよう」

次に、英語が堪能な生徒が多いクラスを訪ね「GOKAKU IS NOT GOALS」に代わるタイトルを考案してもらった。

  • 日本の受験生が理解することができる単語
  • 受験や進路を応援する意味がある
  • 可能な限り「SDGs」の発音に近い略称となる

上記の要件で絞り込んで行ってもらった結果、「SUCCESS DELIVERY GOALS」となった。直訳すると成功の実現の目標となり、意味が通る上、略して「SDGs」となるという妙案が上がった。

上記の改善点を採用し、最終的には下記のようなデザインとなった。

Tシャツデザイン

完成したデザインをTシャツに落とし込んでいく。
そこらへんにあった服とサイズ感を見て大体のサイズを確定させ、完成イメージを作成した。

生産に向けた動き

デザインが完成した段階で一度友人と話し、今後の動きを詰めた。(やり取りは要約しています。)

私 :とりあえず全部作りました。確認お願いします。
   今日中に数を確定させないと、国立前期に間に合わない。
友人:お疲れ様です。
私 :ありがとう。
   5分だけ電話できる?
   決めたい色々
友人:今入試終わったとこなんだよね
私 :お疲れ様
友人:帰路なう

電話の中で、下記の事項を共有した。

  • デザインはこれで行きたい。
  • 今日中に発注しないと国立前期には間に合わない。
  • 大量に発注したほうが安いのでもしほしい人がいれば今日中に連絡が欲しい。
  • 作成委託用のGoogle Formを作ったので、窓口はそこで一括管理で行きたい。

身内のコミュニティでFormのリンクが拡散され、その日のうちに7着の発注が来た。

大量生産

まともに印刷業者に発注すると1着4000円を超えそうだったので、全て手作業とアイロンプリントで作成した。

材料

https://www.amazon.co.jp/dp/B00HO9FE74
https://www.amazon.co.jp/dp/B00HO9FE74https://www.amazon.co.jp/dp/B08F25CBY4

道具

  • 自宅のインクジェットプリンター
  • 自宅のアイロン
  • ダイソーで買ったカッターマット
  • ダイソーで買った工作用紙
  • ダイソーで買ったペーパーカッター

生産手順

  1. プリンターにアイロンプリントシートをセットし、デザインを印刷する。


    この時、アイロンプリントシートを1枚入れるほうが失敗確率が低い。
    印刷が終了したら少しの間放置して乾燥させる。

  2. Tシャツにアイロンをかけ、位置を確定させる。

位置合わせを厳密に行うことは難しい。安物のTシャツは誤差が結構あるし、布は伸縮するためである。
工作用紙を用いて作った位置合わせ用の台紙を用いてある程度の位置を合わせたら、そこからは感覚で位置を合わせる。

  1. アイロンで固定する

    丁寧にアイロンで固定を行う。

  2. 残りの文字や背面も同じように固定する

  3. 梱包して完成

最初は1着作るのに30分程度の時間がかかっていたが、台紙の工夫やカット工程の簡略化により15分程度まで削減することができた。

まとめ

各種経費など

番号 購入品目名 単価 数量 金額
1 アイロンプリントシート 749 6 4494
2 Tシャツ Sサイズ 597 3 1791
3 Tシャツ Mサイズ 610 6 3660
4 Tシャツ Lサイズ 596 10 5960
5 ダイソー 型紙 330 1 330
6 ダイソー カッター 660 1 660
7 ダイソー カッターマット 330 1 330
8 インク代 200 4 800
合計 18025
受注数 15
1人当たりの価格 1201.666667

1人当たり1200円で現品交換としている。
人件費は計上されておらず、一切の利益は出ていない

国立大学前期入試へのデプロイ

初期ロットとして作成した3着に関しては国立大学前期入試にデプロイされる予定である。

  • 東京大学
  • 京都大学
  • 筑波大学

のどこかにこのTシャツを着用した人がいるはずである。
着用者を目撃した場合はぜひ、温かい目で見守っていただきたい。

今後の予定

現在、好評につき発注数は15着を超えている。手作業に限界を感じつつも、同級生からの依頼で利益を出すわけにもいかず、毎日アイロンがけをしている。今後は生産効率をさらに高めていきたい。

謝辞

  • 面白い企画を提案してくれた友人
  • このTシャツを入試に着て行ってくれた3名
  • ネタの提供に協力してくれた文系、理系クラスの皆様
  • SUCCESS DELIVERY GOALSを考案してくれた英語が堪能な皆様
  • その他、本企画の協力してくれた皆様

皆様のおかげて、無事にTシャツを完成させることができました。
ありがとうございました。

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