ペアプロはタスクの属人化を防ぐ最良の策なのか
はじめに
現在、私が所属する開発チームでは、長らく属人化が課題として挙げられています。
先日チームで話し合いが行われ、その解決策としてペアプログラミング(ペアプロ)を導入し、知識のギャップを埋めていく方針が決定しました。(私はその話し合いには別のタスクで参加できませんでした。)
この決定に対し、個人的に少し違和感を覚えています。
というのも、チーム内で「属人化している」と認識されているタスクの多くは、私自身が深く関わっているもの、かつペアプロが本当にその最適解となり得るのかという点に関してかなり疑問が湧くからです。
この違和感をAIにも頼りながら少し深掘りしてみたいと思います。
1. 開発チームにおいてそもそも「属人化」は問題なのか
1.1. そもそも属人化とは?
ここでは特定の業務や知識が、特定の個人に集中し、その人以外では対処が困難な状態とします。
1.2. 属人化がもたらす具体的リスク
とりあえずリスクをAIに聞いてみました。
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プロジェクトの停滞と遅延: 担当者の不在時(休暇、退職、異動など)にタスクが止まり、全体のスケジュールに影響が出る。
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品質の低下とバグの増加: 知識が共有されていないため、引き継ぎや改修時に誤った理解で作業が進み、不具合が発生しやすくなる。
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チームの生産性低下と負荷集中: 特定のメンバーへの依存度が高まり、そのメンバーの負荷が過大になることで、チーム全体のパフォーマンスが低下する。
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新メンバーのオンボーディングコスト増: 新規加入者が業務を覚えるのに時間がかかり、チームへの貢献まで時間がかかる。
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有事の際の対応困難: 緊急トラブル発生時に、担当者以外では原因特定や解決が困難になる。
個人としては特に最後の有事の際の対応において、かなり深刻な問題になりかねないことを懸念していました。
総じて、属人化が進み、その知識を持つ人間が少なければ少ないほど、組織としてのリスクは飛躍的に増大すると痛感しました。
2. 属人化解消策としての「ペアプログラミング」
2.1. ペアプロの基本的な進め方(私のチームは)
一人がコードを書く「ドライバー」、もう一人が全体を俯瞰しアドバイスする「ナビゲーター」となり、定期的に役割を交代する。
2.2. ペアプロが属人化解消に期待できること
これもAIに聞いてみました。
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実践的な知識の即時共有: ドキュメントだけでは伝わりにくい暗黙知(設計意図、考慮事項、なぜそのように書いたか、など)が、その場で言語化され共有される。
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コード品質の向上と相互チェック: 2つの視点が入ることで、潜在的なバグや設計ミスを早期に発見し、より堅牢なコードが生まれる。
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スキルアップと相互理解の促進: 経験の浅いメンバーは実践を通じて学び、経験豊富なメンバーも自分の知識を再確認・体系化する機会となる。お互いの思考プロセスを理解し、チームワークが向上する。
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心理的安全性の確保: 一人で悩む時間が減り、質問しやすい、間違いを指摘しやすい環境が生まれやすい。
個人的には、ペアプロ一番の旨みは、仮にスキルレベルが近しいエンジニア同士でペアを組んだ場合、さらなる相乗効果が期待できる点にあると感じています。
自分一人では気づかない観点からのアイデアが生まれ、結果としてより高い生産性を実現できることに大きなメリットがあると考えます。
しかし、これはペアを組む相手との背景知識やスキルレベルが、ある程度合致していることが前提となり、現状、私たちのチームではこのレベル感を合わせるのが難しく、このメリットを十分に享受しにくい点が課題ではあります。
3. 「属人化している当事者」から見たペアプロの違和感と課題
チーム内で属人化していると認識されているタスクを担当する私自身の視点から、ペアプロ導入に対して感じる違和感や課題について深掘りします。
3.1. 私がペアプロに感じる「違和感」
実際にペアプロを経験した上で、私が率直に感じたのは以下の点です。
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背景知識のギャップが埋まらないリスク:
ペアを組んでも、相手にそもそもの背景知識や前提が不足している場合、会話は一方通行になりがちです。私からすると「一から説明しているだけ」に感じられ、結局一人で作業するのと何ら変わらない、むしろ説明コストが増える分、生産性が落ちると感じてしまうこともありました。 -
時間とリソースの制約:
ペアプロは単純に2人分の工数がかかります。
「本当にこのコストに見合う効果があるのか?」という疑問は常に頭をよぎります。
特に、背景知識を持つ側からすると、それを共有するのもかなりの負担です。
相手にわかってもらえない、あるいは理解してもらえるまで先に進めないというのは、圧倒的に生産性を下げてしまいます。「一人ならもっと早く進むのになぁ」と思いながら取り組むのは、個人的には少しストレスに感じてしまうのが実情です。 -
相性やスキルの偏りによる効果のばらつき:
ペアを組む相手との性格面での相性や、スキルレベルの偏りによって、ペアプロの効果は大きく変動します。
人は選べないため、もし苦手な人と組む場合、その時間自体が大きなストレス要因になり得ます。
「せっかくの楽しい開発の時間がそうなるのはちょっと悲しい」というのが正直な気持ちです。
期待したような知識共有やスキルアップに繋がるのは、現状ではなかなか至難の業であると感じています。
4. ペアプロ以外の方法は何かないか
またAIに聞いてみました。。
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徹底したドキュメンテーション:
設計書、仕様書、運用手順書など、言語化できる知識は体系的にドキュメント化し、定期的に更新する。
ペアプロで得た学びや決定事項をドキュメントに落とし込む習慣付けが重要。 -
定期的・自発的なナレッジシェアリング:
担当者が自身の知見や経験をチーム全体に共有する場(勉強会、ライトニングトーク、モブプログラミングなど)を設ける。 -
厳格なコードレビュー:
ペアプロとは別に、Pull Requestベースのコードレビュープロセスを強化する。複数人がレビューすることで、知識の偏りを防ぎ、品質も担保する。 -
意図的なジョブローテーション:
計画的に担当タスクやプロジェクトを入れ替えることで、メンバーが複数の領域の知識を習得し、リスクを分散させる。
いろいろ回答してくれました。。
ただ個人的に感じるのは、結局のところ「個人の意識」に尽きるのではないか、という点です。
私自身は、もし業務でわからないことや、ついていけない部分があれば、業務内外を問わず時間を割き、キャッチアップできるまで主体的に動き続けるタイプです。
全てのメンバーが同じスタンスであるとは限りません。色々な人がいて、多様な働き方やスタンスが尊重されるべきであることも理解しています。
ただ、「そこ(主体性や自発的なキャッチアップ意欲)がないメンバーに対して、いくらアプローチをかけても根本的な解決にはつながらないのでは?」というモヤモヤが、正直なところ私の気持ちです。
もちろん、組織全体として属人化解消が必要なことは重々承知しており、ペアプロを導入する意義も理解しています。
しかし、その結果として自分の生産性や貴重な時間が奪われることに対し、それが本当にチーム全体の属人化解消に繋がるのか、という点については、まだ悶々とした気持ちがあるのは事実です。。
他人の行動は自分のコントロール外にあるからこそ、難しいなぁと改めて感じます。
5. まとめ
結局のところ、「最良の策」は、チームの状況や文化、そしてメンバー全員の意識と行動によって、継続的に創り上げていくものかなと。。
自分のモヤモヤはチームに適宜共有しつつ、自分たちにとっての最良策を引き続き模索していきたいと思います。
皆さんのチームでは、属人化にどのように対応していますか?
ペアプロを導入していますか?その効果はどう感じていますか?
何か経験談等あれば、ぜひ教えて欲しいです!
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