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【画像生成AI】ドット絵素材制作に適したツール比較と活用事例

2025/02/27に公開
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「AI × ドット絵」ゲーム開発はここまで進化した! 最新ツール&事例を総まとめ

ゲーム制作の現場にAIが浸透するスピードがすごい。特に、ピクセルアート――つまりドット絵の生成がどこまでできるのか、気になっている人も多いはず。

最近では「Stable Diffusion」「Midjourney」「DALL·E 3」といった汎用AIから、ドット絵特化の「Pixelfy」「Retro Diffusion」まで、多種多様なAIが登場。背景・キャラ・UIアイコンなどのグラフィック制作コストを大幅に削減できる可能性がある。

本記事では、2025年最新のAI画像生成ツールを徹底比較し、どのツールがドット絵素材に最適なのかを調査! さらに、実際にAIを活用してゲームを作った事例や、効率的な使い方についても掘り下げていく。


ゲーム開発向け AI画像生成ツール、どれが使える?

まずは、現時点でドット絵制作に活用できそうな主要AIツールをチェック!

ツール名 ピクセルアート対応 特長・ポイント
Stable Diffusion △(追加調整が必要) オープンソース。標準ではドット絵に向かないが、LoRAや拡張で対応可能。
Midjourney △(レトロ風ならOK) 高品質なイラスト生成が得意。ドット絵風の一枚絵なら作れるが、等倍ピクセル出力は苦手。
DALL·E 3 ○(高精度) 16×16や32×32などのピクセル単位で生成可能。スプライトはまだ難しいが、キャラ素材としては優秀。
Leonardo AI ◎(Pixel Artモデルあり) ドット絵向けの専用モデルを搭載。16-bit風の背景やスプライトが生成しやすい。
Scenario ○(学習機能あり) 自分のスタイルに特化したモデルを簡単に作れる。UI・背景・キャラを統一感あるアートに仕上げるのに便利。
Pixelfy ◎(ピクセル単位生成) 16×16~128×128のドットグリッドにスナップして生成。カラーパレット指定も可能。
Retro Diffusion ◎(Aseprite連携) Aseprite用のドット絵特化AI。キャラクターのスプライト生成に最適。

AIドット絵、ゲーム開発でどう使われてる? 最新事例を紹介!

生成AIで作られたドット絵素材が、どのようにゲーム開発現場で使われているのか、具体例を挙げます。まだ黎明期ではありますが、インディーゲーム開発者を中心に試験的な導入が進んでおり、成功例も出始めています。ここでは日本の開発者による事例を中心に、得られたメリットや課題についても紹介します。

事例1: Stable Diffusion+自動ドット化でゲーム素材制作(Qiita投稿例)

https://qiita.com/H20/items/81d58ccaef2febae0e3d

記事を投稿された@H20氏は、2023年末の試みとしてStable Diffusionを駆使し、スマホ向けパズルゲームの素材をほぼAIで作成するチャレンジを行いました。

具体的には以下のようなワークフローです。

•モデル選定:可愛らしくポップな質感を出すため、コミュニティ提供のカスタムモデル「Manmaru mix」を使用 。人以外のオブジェクトも綺麗に描ける点が選定理由とされています。

•ロゴ生成:ゲームタイトルのロゴをAIで作成。最終的にドット絵調のGIFアニメに仕上げていますが、Stable Diffusionで一旦高解像度のイラスト風ロゴを出力し、それを自動ドット化することでベースを作りました。
ドット化にはAutomatic1111 Web UIの拡張「haku-img」を用い、解像度やピクセルサイズを調整可能な状態で変換しています
出力後、不必要な背景を別ツールで透過処理し、フレームを重ねてアニメーション化しました。

•背景画像生成:ゲームのバック背景もStable Diffusionで作成。最初から高精細にすると時間がかかるため、低解像度設定で何度も試行して良さそうな構図を探し、決まったらシード値固定で高解像度版を出力するという手順で効率化しています。
できた画像はロゴ同様ドット化フィルタを適用し、全体のレトロ感を統一しました。

•アイテム・UIパーツ生成:ゲーム内で使用する小さなフルーツやお菓子のドット絵は、Stable Diffusionで個別に生成。
それぞれのオブジェクトに対して食品アイコン用LoRA(GameIconResearch_food)を適用し、ゲーム風のパキッとしたアイコンイラストを出力しています。

出力後、手動で一つ一つ切り抜いて透明化し(自動透過ツールを活用)、16×16~32×32程度のドットアイコンに落とし込んでいます。このLoRAのおかげで、サンドイッチやドーナツといったアイテムが一目で判別できるシンプルな形状で描かれており、AI生成の土台として十分機能しています。

@H20氏は、最終的にゲームを完成させ公開しています。AIで作った素材に若干の手直しを加える程度で済み、BGMや効果音までもAIで賄ったとのこと。
課題として「プレイヤーキャラだけは既存フリー素材で代用した」と述べており、人型キャラクターのドット絵はAIで理想通り得るのが難しかったようです。
しかし背景・アイテム・ロゴについては概ねAI生成物を活用でき、「細かな設定詰めは割愛したがAIによる素材作成の流れを示せた」と結んでいます。

事例2: ChatGPT(DALL-E3)でレトロゲーム画面を制作(個人開発イベント展示)

デザイナー/起業家でもあるハヤカワ五味氏は、2024年の「生成AIなんでも展示会」にて、AIとゲームの融合作品を発表しました。
この中で、ゲームのグラフィック部分をすべてドット絵で統一する方針を取り、イメージ作りに生成AIを活用したと報告しています。

https://note.com/hayakawagomi/n/n861140c2681b

記事によると、制作の流れは以下のように行なったそうです。

•イメージボード作成:複数の画像生成ツールを試した結果、ChatGPT経由のDALL-E3が修正指示を反映しやすく、前の出力との統一感も持たせやすいことから採用。
まず「退廃的でスモーキーな雰囲気」「ゲームボーイ感のあるピクセル調」「ピンク~紫の配色」など、いくつかテイストの異なる背景画像を次々と生成し、ゲーム全体のアート方向性を探りました。
その結果、夢の中のような独特の配色(全体に淡い彩度をかけつつ補色の黄色を一部差し込む)が見えてきたとのこと。

•ドット絵化とカラー調整:DALL-E生成の画像は一見レトロ風ですが「元のデータはドット絵ではなく、使用色数も多すぎてゲームボーイ感がない」状態でした。
そこで、Photoshopに取り込み、画像解像度を縮小した上で「インデックスカラー」モードに変換して、色数を意図的に制限する処理を行っています。
場合によってはポスタリゼーション(階調の間引き)で段階的に色を減らし、最終的に自分で決めたパレットに当てはめたとのこと。
この手作業により、アウトプットに統一感とレトロ機らしい制約美を持たせることに成功しました。

•仕上げ:できあがった画像群は、パッと見ただけではAIが作ったとは気づかれないクオリティとなり、展示会でもグラフィック面を評価する声があったようです。
同氏は「AIでそれっぽい素材を出して終わり」ではなく、必ず人間が最後にブラッシュアップする重要性を述べています。実際このプロジェクトでは、AI生成→人手修正→ゲーム実装という流れを短期間で回し、企画者自身がグラフィックを担当する形で成果を出しました。

この事例からは、AIは発想支援・叩き台として非常に有用である一方、最終的なクオリティコントロールは人間次第という教訓が得られます。色調やドットの整合性など、ゲーム全体での一貫性はAI任せにせず自分で調整することで、むしろ短時間で高品質な独自グラフィックが得られる好例と言えるでしょう。

事例3: ChatGPT+DALL-E3で2Dドットゲーム背景を自動生成(Qiita投稿例)

https://qiita.com/Miyakepp_098/items/e12da6125e295552e38c

もう一つ、背景特化の興味深い事例として、ChatGPT Plusの画像生成機能(DALL-E3)を使って2Dドットゲームの背景を作った開発者の報告があります。投稿者のミヤ氏は、ChatGPTの登場により画像生成AIが身近になったことに注目し、「その精度の高さに驚いた。これはゲーム背景やステージデザインに役立ちそう」と感じたとのこと。

  1. DALL-E3で背景画像を生成
    まずテキストプロンプトから広めのシーン画像を作成。
    出力された画像は一枚絵として完成度が高いが、そのままではゲーム内でスクロールしたりタイル化したりできないため、後からトリミングすることを考慮している。

2.画像編集ソフトで欲しい部分を切り抜き
大きな画像から、実際のゲームで使いたい部分(例えば地形パーツや建物だけ等)を手動でトリミングする。

3.ChatGPTのAdvanced Data Analysis機能でリサイズ
ChatGPT内でPythonコードを実行し、切り抜いたパーツ画像を指定の解像度に一括リサイズ。これによりドット絵サイズの画像群を得る。

4.Unityで配置しタイルマップ化
得られたパーツをUnity上に並べ、タイルマップとして再構成。結果としてAIが生み出したアートをベースにしつつ、ゲームエンジン内で使える背景タイルセットが完成した。

この方法では、AIの得意なイラスト生成と人間のレベルデザイン能力を組み合わせており、広大な背景を1から描く手間を省きつつ、ゲーム用素材として破綻なく落とし込んでいる点が注目できます。
同氏は記事にて、DALL-E3の出力クオリティが高いため切り出した部分も美麗で、「精細な背景が簡単に手に入った」と述べています。
一方で「AIに全部おまかせ」ではなく要所で自分の判断を入れているため、オリジナリティやデザイン意図も確保できています。

その他の事例・声

•SilverSecond開発者の見解
老舗インディーゲーム開発者であるSmokingWOLF氏は、画像生成AIのゲーム利用について「背景画像作りに使うのが一番多くなりそう。アイテムやモンスター画像もAI単体でもかなり使えるかも」と述べています。

https://sils.fc2.net/blog-entry-769.html#:~:text=match at L628 今のところ、画像生成AIをゲーム開発に使う際は

2022年時点の所感ですが、その後のモデル進歩もあり、この予想は現実味を増しているように思われます。
実際、モンスター1枚絵などはNovelAIやMidjourneyで生成→ドットリサイズしてゲームに組み込むケースも海外インディーで報告されています。また同氏は「服装差分や表情差分をAIで作るのは地獄」とも言及 しており、ドット絵への言及ではありませんが、キャラクターのバリエーション展開には苦労が伴う点を示唆しています。
これはドット絵キャラにも通じる課題で、AI生成のキャラ絵をいかに他ポーズや他表情へ展開するかは今後の大きなテーマでしょう。

商用ゲームでの活用

現時点で「AIドット絵を前面に押し出した商用タイトル」は多くありませんが、いくつか関連する動きがあります。
イナズマイレブン、妖怪ウォッチなどで有名な、レベルファイブは自社タイトルのキービジュアル制作に生成AIを試用したと明かしており(「メガトン級ムサシW」のタイトル画面など)、「ルーチンワークの短縮につながる」と評価しています。
ドット絵ではないものの大手がAI活用を模索している例で、将来的に例えばリメイク作品のドット素材補完などにAIを使う可能性も考えられます。
またNFTゲーム「アルケモン」では、ドット絵のキャラNFTからプロンプトを生成し、AIアートを背景に表示するというユニークな試みがされています。
これはAIがゲーム内グラフィックそのものを作るわけではありませんが、「ドット絵⇔AIイラスト」の融合した活用例として興味深いものです。

海外コミュニティの状況

海外の大手SNSである、Redditのr/aipixelartでは日々ユーザがAI生成したピクセルアート作品を共有しています。
まだ試行錯誤段階ですが、「AIに8x8のマリオ風キャラを描かせてみた」「AIのドット出力をドット絵エディタで清書してみた」など、実験的な投稿が目立ちます。
海外インディーでもゲームジャムでAI画像を使う例が出始めており、「AIが吐いた大量の敵ドット絵を素材集として組み込んだ」といった報告もあります。
ただし品質や一貫性の面から、完成度の高い商業ゲームに直結した話題はまだ少なく、「萌芽段階の面白いオプション」という捉えられ方が多い印象です。

以上の事例から、AI生成ドット絵のゲーム利用は背景・単発イラスト・アイデアスケッチに強みがあり、連続性のあるキャラ絵やアニメーションには課題が残るとまとめられます。
しかし人間のクリエイティビティと組み合わせることで、「AIでは難しい部分を人が補い、得意な部分は任せる」というハイブリッドな制作手法が確立されつつあります。次章では、そのようなベストプラクティスや実践的なワークフローを提案します。


AIでドット絵を作るベストプラクティスとは?

🛠 効率的なAIドット絵制作の流れ

  1. 適したAIツールを選ぶ(目的に応じてツールを使い分ける)。
  2. プロンプトを工夫する(「pixel art, 32x32 sprite」など細かく指定)。
  3. AI出力をそのまま使わず、リサイズ&カラーパレット調整
  4. ゲームエンジンに最適な形式で書き出す(透過PNG・タイルセット化)。
  5. 必要ならAsepriteなどで最終調整(ジャギー修正・アウトライン追加)。

この流れを意識すると、AIの得意な部分を活かしつつ、ゲーム向けに最適化できる


まとめ:「AI×ドット絵」はクリエイターの強力な相棒になる!

AIはアイデア出し&プロトタイピングに最適。背景・アイコン・単発イラストなら大いに活用できる!
キャラやアニメーションは手作業必須。AIが苦手な「一貫性」や「連続性」は人間の修正が必要。
最終調整は欠かせない。解像度・パレット・透過処理をしっかり行えば、実用レベルの素材になる!

AIの進化は止まらない。今後、より高精度なドット絵生成AIや、**「AIでゲームグラフィックを全部作れる時代」**が来る可能性もある。

ゲーム開発者なら、今のうちにAIとの上手な付き合い方を身につけておくのが正解だ!

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