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理解度90%未満なら「すれ違い防止即効フレーズ」を使おう

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英語が僕よりも堪能なはずの人が相手の意思を汲み取れかねている場面を見ることがたまにあり、不思議に思っていました。
よくよく考えると、日本語でも同じように食い違いを見ることもあります。(難しい専門用語が出てくる場合はさておき、)簡単な会話のはずなのに意思疎通がきちんとできていないことって結構ありますよね。今回はそんなすれ違いを防ぐアイディアを紹介します。

すれ違いを防ぐ即効英語フレーズ

僕や、コミュニケーションがものすごく上手い同僚のインド人は、以下のような確認フレーズを都度都度挟むようにしています。

  • I understood that (相手の言ったことを、自分なりの英語に置き換えて復唱). Are we on the same page?
  • Sorry, what does xx mean? Could you elaborate a bit more?
  • Sorry, I didn't get the point. Could you repeat?

ざっくりとした指標として、僕は自分の中での理解度が90%未満だと思ったらとりあえず確認か聞き返しをするようにしています。

1つ目のフレーズで「80%ぐらいわかったぜ、こうだろ」と思い込んでしゃべってみると、意外と相手から「違うそうじゃない」って反応が返ってきたりします。些細でも確認をしておくと齟齬を防げてお互いの信頼関係にもつながります。

2つ目や3つ目のフレーズで聞き返すと、相手も伝わっていないことを理解してくれます。すると、違う言い回しや表現、詳細化した説明をしてくれるようになるため少し聞き取りやすくなります。

すれ違い頻出ケース

聞き手が正しくメッセージを受け取れない場面は以下が多いと思います。
1.技術用語や専門用語がわからない
2.相手の立場や体制、取り組みなど背景をよく理解できていない
3.わからないことを積極的に聞き返さない

1や2についてはよくあることで、知識をつけることで軽減はできるものの無くすのは無理です。職務経験の浅い人はもちろん、どれだけ技術に長けていてもわからないことはあります。
僕も、いきなり知らない固有名詞や略語が飛び出してきた時は結構ドキッとします。実態としては例えばAzureやServiceNowのようなプラットフォームを使っていても、サービス名として話者が「ホグワーツ」「グリフィンドール」みたいな名前で呼び始めたら、さすがに理解できません。

一番の問題点:察する力が裏目に出る

問題なのは、3つ目の”わからないことを積極的に聞き返さない”ケースです。

当たり前のことですが、わからないことをそのままにしておくとわからないままです。推測でしか話ができなくなります。
「意思がズレる瞬間」によく起きがちなのは、相手の意図が汲み取れてるか自信がない時に相手に確認せずに察してしまうことだと思います。

これは日本人の「空気読み」能力の高さによるものである意味素晴らしいと僕は思うのですが、ビジネスという場ではマイナスに働くことの方が多いです。

よくあるすれ違いパターン

日本語同士の会話でありがちなパターン

日本語は主語や目的語を省略しても成り立つ言語で、はっきり言い切らないことに美徳があります。
それゆえに、ビジネスの場ではコミュニケーションの齟齬を生みやすい文化ともいえます。

僕の以前の上司はよく「アレ」「あの件」「いい感じにしておいて」という言葉をよく使う人で、指示の内容がハッキリとわからないことが日常的にありました。
そのたびに僕は「どれの、どの件ですか」「誰にどうしてほしいんですか」と聞き返していたものです。

対応

日本語では主語・目的語がボケやすいのを話者も聞き手も自覚するのが大事です。
話者は仕事の時はややくどく感じるぐらいになぜ、いつ、誰に、何を、どうしてほしいを発信するように心がけると、すれ違いを減らせます。

聞き手は聞き手でわからないことを率直に「聞き返す」ことが大事です。

英会話でありがちなパターン

相手が話したことに対して、バッチリとはわかっていないものの、聞き返さずに「わかった」と言ってその場を納める、というシーンはよく見かけます。
ただ、実際にはわかってなくて後になって聞き返す/(嫌な場合だと)致命的なズレになって後で相手と喧嘩になる…というのがよくあるパターンです。

対応

このパターン自体は率直に聞き返すことができればだいたい防げます。
まずは即効フレーズを覚えて、「型にハメて意見を言える」ように練習しておくと助けになるはずです。

文化的背景:日本人にとってのハードル

さて「率直に聞き返せばいいじゃん」と書いたものの、これが意外と難しいものです。

日本の文化や教育だと「率直に自分の意見を即座にアウトプットする訓練」よりも「空気を読んで波風を立てずに済ませる習慣」の方が色濃いため、(「わからない」という)自分の本音をその場では自覚・言語化できないこともあります。

こればかりは「率直に思いを述べる瞬発力」「間違っても恥ずがらない度胸」を練習してつけて、本人が慣れてもらうしかありません。
この訓練を積むためには、組織やチームとして「(コンプラ的にまずいことを除いて)何を言っても許せる空気作り」という環境整備が重要な後押しになります。

30代半ばでいわば中堅層の僕は、チーム内で自分の失敗談や感想を積極的に共有するようにしています。誰かが最初に心を開いてしゃべれば、周りも率直な意見を少しは言いやすくなってくると信じているからです。

英語の場合に加算されるハードルと対処

英語の場合に特徴的なのは、これに加えて「自分の英語力(聴く・話す)そのものの自信のなさ」が加算されることです。
もう一度聞き返したところで、相手が話したことが理解できる自信がなければそこで諦めてしまいがちです。

英語の苦手意識をちょっと緩和する小技

英語話者となる日本人が自信を持てない時ほど、図や文字での情報を頼りするのが解決の糸口になることがあります。
多くの人は、(翻訳ツールなども活用しながら)読み書きをする方が得意だと思います。
会議の発言をAIなどの文字起こしツールを活用するのも一つですし、それでもわからなさそうだったら相手に直接「一回文字にして書いてくれ」「図で示してくれ」とお願いするのもいいかもしれません。

(例文)

I'm not confident in my English listening skills, and not sure I got it correctly. Could you write down the statement to me later please?
(英語のリスニングに自信がなくて、正しく受け取れたかわからない。後で文章に起こしていただけませんか?)

これを言われてNoという人を、少なくとも僕は見たことはありません。(今忙しいから2週間後でもいい?と言われることはありますが。)
勇気を持って言ってみると、ズレを少なく抑えられるはずです。

おわりに

当たり前ですが、会話は双方のキャッチボールです。捕球できなかった時のために、即効フレーズを参考に「すまん捕れなかった」と素直に言える練習をしておきましょう。
捕球できたふりをすると、相手は自分の投球はちゃんと届いていると思って、より鋭い変化球や豪速球を投げてくることもあります。変に見栄を張ると後々自分の首を絞めるのです。

自分の本音を曝け出すのはなかなか慣れないことですが、お互いのためにも素直に表現できる練習をしましょう。
間違えたら相手からの信頼を失う、と怖がる人がいますが、決してそんなことはありません。むしろ逆で、聞き返すことは「ちゃんと理解しようとしてる」姿勢の表れで、相手との信頼を築く大事なアクションです。一度素直に聞き返した経験を積めれば、それ以降はグッと楽になります。

明日から実践するために

自信のある人は、即効フレーズを覚えて早速会議で使ってみましょう。都度都度の会議時間は多少伸びるかもしれませんが、齟齬による手戻りはグッと減り、トータルで見ると会議時間を短縮できるはずです。

自信のない方は、まずは日本語の会議で「こう理解したんですけど、合ってますか?」と聞いてみることから始めましょう。並行して英語に置き換えた場合の即効フレーズを覚えておくとハードル低く改善できるのでオススメです。

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