AZ-900試験の出題範囲(評価されるスキル)とMicrosoft認定試験
2023年7月31日更新版
2023年7月31日更新版のAZ-900 Study Guideの確認メモ
出題配分(2022年10月28日更新版から変更なし)
No | 評価されるスキル | 配分 |
---|---|---|
1 | Describe cloud concepts | 25-30% |
2 | Describe Azure architecture and services | 35-40% |
3 | Describe Azure management and governance | 30-35% |
出題範囲の主な変更点(2022年10月28日更新版との比較)
No | 変更点 | コメント |
---|---|---|
1 | Describe serverlessの追加 | 過去存在したDescribe serverless computingの復活だと思われる。Serverless (≒FaaS)は出題範囲から削除されている状態の方が変だと個人的には思う |
2 | Describe external identities in Azure, including business-to-business (B2B) and business-to-customer (B2C)に表現変更(変更前はDescribe external identities and guest access in Azureだった) | 問われる内容をより明確化しただけだと思われる。B2BとB2Cは以前からMS Learnの内容には含まれている |
3 | Describe the purpose of Microsoft Purview in Azureの追加 | Microsoft Purviewという名前が試験範囲に含まれるのは初だと思われる。コンプライアンスマネージャは出題範囲だったことはある |
4 | Describe the purpose of Azure Blueprintsの削除 | Blueprintsは長らくPublic Previewのままだったが、2026年7月11日に廃止予定とのこと。また、AZ-900で問われるほど使われてもいなかった模様 |
5 | Describe the purpose of the Service Trust Portalの削除 | Service Trust Portalが出題範囲から削除された意図は不明 |
6 | Describe infrastructure as code (IaC)の追加 | 元々出題範囲だったARM templatesはIaCの一種だが、それに加えて一般的にIaCとは何かを問うようにしたと思われる。もしかしたらAZ-104の出題範囲のDesired State Configuration (DSC)なども機能名の紹介レベルでは言及されるかもしれない |
その他
上記の出題範囲変更ではないが、2023年末に向けてAzure Active Directory (Azure AD)がMicrosoft Entra IDにブランド名変更をする(機能の変更はない)と発表されている。今後の学習では、Azure ADはMicrosoft Entra IDと同じだと読み替える必要がある。Azure Active DirectoryはActive Directory Domain Services(以前からあるActive Directory)と機能の異なる製品だったので、Azure ADを知らない人にとってはむしろ分かりやすくなったかもしれない。
2023年7月31日更新版の試験に対応させる形で、改訂第2版を出版します。
Microsoft Learn Open Book
AZ-900試験はFundamentalsレベルの試験なので関係ないのですが、Associate、Expert、Specialty試験において、試験を受けている際にMicrosoft Learnのサイトを開いて調べることができるMicrosoft Learn Open Bookという機能が実装されたそうです(英語試験では2023年8月22日に実装済み。他の言語は今後対応)。
例えばAssociateレベルの試験だと、「Azure App Serviceで、OSごとに対応しているプログラミング言語の違い」のようなサービスに関する知識を問う問題が出題される可能性は高そうですが、Microsoft LearnのDocumentationを検索すれば、覚えていなくてもすぐに調べて回答できそうです。
一方で、Microsoft Learnはどこに何が書いてあるかは把握するのが大変なので、試験勉強中から「どのあたりに何が書いてあるか」を確認しておくという準備は必要でしょう(必要な情報が見つけられずに焦る。試験時間の変更はないので時間が削られる)。
例えば、Certified Kubernetes Administrator試験のように、試験中に公式ドキュメント(kubernetes.io)を調べながらやる資格試験は他にもありますし、個人的には良い変更だと思います。
Open Book機能を試してみるために、Specialty試験を英語試験で受けてみました。テストセンターでの受験です。
試験中にMicrosoft Learnのドキュメントを確認できるので、正確なコマンド名やURLなどを覚えていなくても、その場で検索して必要な情報を見つけられるのは非常に便利です。また、試験時間が余った時に、記憶している内容に確信があっても、念のためドキュメントで裏付けが取れるのは安心感が増します。
一方で、テストセンターで使用するモニターはそんなに大きくないので、画面を左右に二分割して、問題文の記述を検索して、該当箇所を探すのは表示画面的な意味でつらかったです。試験画面の方も横幅が狭くなると横スクロールバーが出て、問題選択肢の文字が画面内に表示しきれないケースが多発しました。ウインドウ分割サイズ(分割割合)は調整できたり、一方をフルスクリーンにできたりもするのですが、Open Book前提なら試験環境のモニター表示エリアは横幅で二倍くらい欲しいです。オンライン受験だと環境を準備すれば、そういった問題はないのかもしれません(Azure資格をオンライン受験したことがないので不明です)。
たとえ英語試験であっても日本語ドキュメントも見られますし、日本語で検索することも可能でした(後者はテストセンターのコンピュータが日本語入力対応しているからだと思います)。なお、Ctrl + Fを押してもページ内検索の検索バーが表示されなかったので、ページ内検索は出来ないのかもしれません。
さすがに何も知らない状態で試験に挑んで、その場でドキュメント検索して全問回答するのは、ドキュメントの検索および読解に一定のスキルがいるので、時間制約的にも無理があると思います。事前準備として、検索で適切なページを探せること、そしてそのページの記述を読解して回答できる程度に関連概念を理解することは必須だと思います。そのため、単純暗記の手間だけ一部削減できる程度で、試験準備時間はそんなに変わらないかもしれません。
2024年1月23日更新版
2024年1月23日更新版のAZ-900 Study Guideの確認メモ
出題配分(2023年7月31日更新版から変更なし)
No | 評価されるスキル | 配分 |
---|---|---|
1 | Describe cloud concepts(クラウドの概念について説明する) | 25-30% |
2 | Describe Azure architecture and services(Azure のアーキテクチャとサービスについて説明する) | 35-40% |
3 | Describe Azure management and governance(Azure の管理とガバナンスについて説明する) | 30-35% |
出題範囲の主な変更点(2023年7月31日更新版との比較)
No | 変更点 | コメント |
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1 | Describe cloud service typesの微修正 | 項目レベルでは変更なしだが、中身に微修正(Minor change)がある模様。 |
2 | Describe Azure identity, access, and securityの微修正 | Azure AD関連がMicrosoft Entra IDにブランド名変更されたことへの対応。Azure Active Directory(Azure AD)→Microsoft Entra ID。Azure Active Directory Domain Services(Azure AD DS)→Microsoft Entra Domain Services。Azure ADでの条件付きアクセス(Conditional Access)→Microsoft Entra条件付きアクセス |
コメント
Azure Active DirectoryがMicrosoft Entra IDと同じものであるという理解ができていれば、2023年7月31日版の試験対策教材で問題ないレベルのマイナーな修正だと思います。なお、『Microsoft認定資格試験テキスト AZ-900:Microsoft Azure Fundamentals 改訂第2版』は、Azure Active DirectoryからMicrosoft Entra IDに名称変更が行われる予定があるため、資格試験勉強の際にはどちらの名前で出てきても対応できるようにした方が良い、と改訂第2版1刷の時点で記載しています。
Azureでは、「可用性ゾーンを越える外向きの通信(自分から相手に送信する通信)はデータ転送量に応じた課金対象となる」というのが原則だったのですが、可用性ゾーン間の通信については課金開始が繰り延べられてきました。
2024年5月21日に発表された以下の更新情報では、Azure will not charge for the data transfer across availability zones regardless of using private or public IPs on your Azure resources.
と明記され、可用性ゾーン間については課金しないことが恒久化したようです。
このため、可用性ゾーンを使ったゾーン冗長化構成が今後も安心して採用できるようになると思います。
AZ-900本の共著者の須谷さんがマイクロソフトの同僚の皆さんと執筆したAZ-104本が出版されるそうです。AZ-900の次にAZ-104を狙う際には是非どうぞ。私はこちらには関わっておらず、今時点で内容未読ですが、きっと良いものになっているはずです。