Microsoft認定資格をUoPeopleに単位移行する
このエントリーでは、Microsoft認定資格をUoPeople(University of the People)に単位移行する方法を紹介します。
UoPeopleは米国のオンライン大学です。英語でコンピューターサイエンスについて学び、学位(学士や修士)を取得できます。UoPeopleのBachelor of Arts in Computer Scienceについては以下のZennのエントリーの執筆者のえんぴつさんのブログや、ぱんさんのブログなどを読まれると雰囲気がつかめると思います。
UoPeopleでの単位移行
UoPeopleは授業料不要の大学です(出願料は$60かかります)。その代わり、単位取得するには1科目あたり$120のアセスメント料金の支払いが必要ですし、プロクター(試験監督者)必須試験で外部のプロクターサービス会社に依頼をする場合、さらに追加の支払いが発生します。現地への留学に比べると学費は少なく済むのですが、安く済ませるに越したことはありません。また、学部の場合は120クレジット分の単位を取らないと卒業できませんが、時間効率的に興味のある授業以外は出来るだけ簡単に終わらせたいと考えることもあります。
授業を受ける以外にUoPeopleで単位を取得する方法として、単位移行があります。単位移行は1コース辺り$17の移行料金が発生しますが、上記のアセスメント料金に比べると費用を抑えることができます。卒業済みの日本の大学の単位を単位移行する方法がメジャーな方法ですが、それ以外にSophiaのようなオンラインe-learningサイトで受講したコースを単位移行する方法があります。
Microsoft認定資格のいくつかはACE(米国教育協議会)の単位として認定されています。そして、UoPeopleはACE Creditを単位移行対象として認めています。そこで、取得済みのMicrosoft認定資格の単位移行申請を行った結果、4資格(AZ-900, AZ-104, AZ-204, SC-900)が9クレジット分としてUoPeopleの単位認定されました。4コースなので$68を支払いました。UoPeopleには同等の科目がない単位移行ですので、Elective(選択科目)として認定されました。
ACE Credit認定されているMicrosoft認定資格
Microsoft認定資格のすべてが単位移行認定が可能なわけではありません。難易度的にはFundamentalsレベルとAssociateレベルの資格だけのようです。Microsoft認定資格はFundamentals(★)、Associate(★★)、Expert(★★★)という順番に難易度設定がされていて(★が多いほど難しい)、それとは別に特定専門分野の知識が問われるSpecialtyレベルがありますが、ACE Credit対象の認定資格は初学者向け(★)と、そこからさらに上を目指していこうとしている人向け(★★)の資格に絞られているようです。
それぞれの認定資格のデジタルバッジのページをCredlyで見て、「American Council on Education CREDIT」という表示の有無で対象かは確認できます。以下はAzure Fundamentalsのページのスクリーンショットですが、表示が確認できます。一方、Azure Solutions Architect Expertのページでは同様の表示はありません。
対象のMicrosoft認定資格は以下の表のとおりです(2022年4月7日現在。すでに試験が終了したものは削除)。Microsoft認定資格に慣れていない方は難易度が分かりにくいと思いますので難易度を追加し、試験ページへのリンクを張りました。今後も変更はあると思いますので、上記のMicrosoft Docsのリストを正式版として、こちらは参考程度で確認ください。
単位移行を目指してMicrosoft認定資格を目指す意義と考慮点
私は持っていたMicrosoft認定資格がACE Credit単位移行対象だったので単位移行をしてみただけです。UoPeopleへの単位移行を目指して資格を取得したわけではありません。しかし、UoPeopleへの単位移行を目指してMicrosoft認定資格を目指す意義は十分にあると思います。
一番の理由は世界2位のクラウドサービスであるMicrosoft Cloudに関する知識が身につく点です。ITシステムはクラウド上で作るというのがすでに当たり前になりつつある現在、AWSに次ぐ世界シェアが2位のMicrosoftのクラウドサービス、特にAzureについて学ぶことは、Computer Scienceを学んでいる学生にとって意味があると思います。漠然と学ぶよりは資格試験として体系だった内容を学ぶことは学習効率も良く、単位移行以上に先進クラウドテクノロジーに関する知識を得られるメリットがあります。
そこで資格取得を考えた時に気になるのが、やはり資格試験受験に要する費用と勉強時間の問題です。これに関しては、受験する対象をFundamentalsレベルの認定資格に絞るのであれば心配する必要はないと思います。
- 受験料
ITベンダー資格というのは1回あたりの受験料が1万円以上することが当たり前にあります。学費を減らしたいのに、試験の受験料にお金がかかるのでは意味がありません。Microsoft認定資格も通常料金は同様なのですが、無料のバーチャルトレーニングに参加すれば、受験料が無料になるバウチャーが必ずもらえる認定資格がいくつかあります(主にFundamentalsレベルの認定資格)。試験対策のオンライン研修を無料で受けられて、資格試験も無料で受験し合格することは可能です。
- 勉強方法
勉強方法としては、上記のオンライン研修受講の他に、Microsoftが提供している無料e-LearningサイトMicrosoft Learn(MS Learn)を使う方法があります。認定資格のページの下の方を見ると、MS Learnで提供されている学習モジュールへのリンクが張ってあります。これらの学習モジュールに取り組むことで、試験範囲の学習と知識確認チェックができ、試験の準備をすることができます。
- 勉強時間
勉強時間については、クラウドに関する前提知識の有無やITベンダー系試験という独特な試験に対する慣れなどによっても変わりますが、Fundamentals試験であれば1~2週間程度で合格圏内に到達することは難しくないと思います。UoPeopleの学生の場合は1週間15時間程度は勉強時間に確保できると思いますので、Term間の時間を使って認定資格を目指すというやり方もできると思います。上述したバーチャルトレーニングは開催日がある程度決まっていますが、認定資格の受験日はかなり柔軟に設定できますので、UoPeopleの授業や仕事の忙しくない時期などを狙って取り組むことができます。
単位移行の方法
Microsoft認定資格を取得したら、Credlyのアカウントにデジタルバッジを連携するようにします。その状態で、画面右上のプロファイルアイコンをクリックして表示されるメニューから「Send Transcript」をクリックします。
送付情報の入力フォームが表示されますので、The Transfer Credit OfficeのE-mail宛にメールを送付します。Custom Messageは形式の指定はありませんが、リクエストを受け取った側がどの学生か分かるようにStudent IDを記載するようにしました。
翌日にUoPeople Portalの「Admissions」→「Transfer Credits」のページを見るとステータスがProcessingに変わりました。
それからさらに6時間後ぐらいにEメールに処理が完了した、という連絡が来ました。同じページを開くと、単位移行可能な科目がリスト表示されますので、チェックをして料金支払ページに移動し、単位移行申請を行います。なお、料金支払ページに移動した際にチェックしなかった科目はこのタイミングでは単位移行できなくなるので、チェックし忘れは注意しましょう。特に移行対象が多いとスクロールが必要な下の方に表示されている科目を見落とすこともあると思います。
Discussion
最近のバーチャルトレーニングでは無料バウチャーが出ないようなので、この方法で無料バウチャーを手に入れるのは当面難しそうです。一方で、Microsoftのイベントの時期にはCloud Skills Challengeは現時点でも変わらずやっているので、この方法で無料バウチャーを手に入れられる場合があります。
現在のMicrosoft認定資格はCredlyではDigital badgeは発行されず、代わりにMicrosoft Learnのプロフィールで証明書を参照できるように変更になっています。したがってこのエントリーの後半のCredlyのサイトからSend Transcriptという方法は使えず、個別に資格のリンクをつけて申請する形式に変更になると思います。