AWS IoTボタンで陣痛のお知らせを手軽にできる陣痛Dashボタンを作ってみた
はじめに
この記事は、身の回りの困りごとを楽しく解決! by Works Human Intelligence Advent Calendar 2022 の25日目の記事です。
株式会社dottでバックエンドエンジニアをしているとみぎと申します。
この度、11月に第2子が産まれたのですが、第1子と同様にAWS IoTボタン(以降Dashボタン)を使って陣痛の発生を通知する仕組み、通称「陣痛Dashボタン」を作成し、実際に運用して便利だったので、この知見を残しておきたいと思い、こちらのAdvent Calendarに参加しました。
作ったもの
今回私が作成したものは、Dashボタンを押すとSlackの指定のチャンネルとLINEの通知グループに陣痛発生のメッセージを送信するというものです。
LINEのメッセージ画面
Slackのメッセージ画面
ソースコードは以下にあります
構成
- 利用サービス: AWS Lambda、AWS IoT 1-Click
- 言語: Go
- メッセージの受け取り: Slack, LINE
解説
イベントトリガーの設定
Dashボタンのイベントトリガーの取得はAWS IoT 1-Clickで設定をしています
設定はAWSのコンソールもしくはアプリから可能で、私はアプリから登録しました。
ここでリージョンの設定や、Dashボタンのデバイス情報の登録・Wi-Fiの設定を行ったり、ボタンを押したときのアクションを登録します。
今回、このアクションの部分を指定のLambda関数を呼び出すようにしています
設定した状態はこんな感じ
予めデプロイした関数
メッセージの送信
今回はGoを使って、SlackとLINEへ通知を飛ばすシンプルな処理を書きました
Slackは通知専用のチャンネルに対してWebhookを利用してメッセージを送信しています
LINEの送信先に関しては、なるべく実装を簡単にしたかったので個人宛てではなく、LINEのメッセージグループに対してLINE Notify経由でメッセージを送信する形を取りました
処理全体
package main
import (
"bytes"
"encoding/json"
"fmt"
"io/ioutil"
"net/http"
"strings"
"time"
"github.com/aws/aws-lambda-go/lambda"
)
type MyEvent struct {
Name string `json:"What is your name?"`
}
type DashEvent struct {
DeviceEvent struct {
ButtonClicked struct {
ClickType string
ReportedTime string
}
}
}
type MyResponse struct {
Message string `json:"Answer:"`
}
type SlackMessage struct {
Text string `json:"text"`
}
func main() {
lambda.Start(hello)
}
func hello(event DashEvent) (MyResponse, error) {
url := "INCOMING_WEBHOOK_URL"
SendSlackMessage(url, event.DeviceEvent.ButtonClicked.ClickType)
return MyResponse{Message: fmt.Sprintf("Hello %s!!", "event.Name")}, nil
}
func SendSlackMessage(url string, clickType string) error {
jstZone := time.FixedZone("Asia/Tokyo", 9*60*60)
jst := time.Now().UTC().In(jstZone)
timeFormat := "15時04分"
nowDateTimeString := fmt.Sprint(jst.Format(timeFormat))
msg := ""
if clickType == "SINGLE" {
msg = "前駆陣痛開始"
} else {
msg = "前駆陣痛終了"
}
message := SlackMessage{Text: fmt.Sprintf("*【%v】* `%v`", nowDateTimeString, msg)}
SendLine(fmt.Sprintf("*【%v】* `%v`", nowDateTimeString, msg))
requestParam, _ := json.Marshal(message)
req, err := http.NewRequest(
"POST",
url,
bytes.NewBuffer(requestParam),
)
if err != nil {
return err
}
req.Header.Set("Content-Type", "application/json")
client := &http.Client{}
resp, err := client.Do(req)
if err != nil {
return err
}
defer resp.Body.Close()
return nil
}
func SendLine(message string) {
url := "https://notify-api.line.me/api/notify"
method := "POST"
payload := strings.NewReader("message=" + message)
client := &http.Client{}
req, err := http.NewRequest(method, url, payload)
if err != nil {
fmt.Println(err)
return
}
req.Header.Add("Authorization", "Bearer {LINE_ACCESS_TOKEN}")
req.Header.Add("Content-Type", "application/x-www-form-urlencoded")
res, err := client.Do(req)
if err != nil {
fmt.Println(err)
return
}
defer res.Body.Close()
body, err := ioutil.ReadAll(res.Body)
if err != nil {
fmt.Println(err)
return
}
fmt.Println(string(body))
}
// build command
// GOOS=linux GOARCH=amd64 go build -o hello
// zip handler.zip ./hello
LINE Notifyの設定
LINEグループへの通知はLINE Notifyを利用します。
ログイン
まず、LINE Notifyに自分のLINEアカウントでログインします。
ログインすると「LINE Notify」というLINEアカウントが友達に追加されます。
通知用のLINEグループを作成
通知したい家族とLINE NotifyのLINEアカウントを入れたLINEグループを作成します。
アクセストークンを作成
LINE Notifyのサイトのマイページにアクセスし、「トークンを発行する」(Generate token)ボタンよりアクセストークンを発行します。
ここで設定するトークン名はLINE Notifyからの通知の際に表示されます
Slack(Incoming Webhooks)の設定
Slackのチャンネルの通知にはIncoming Webhooksを利用しました。
これを使うことで、0からSlackbotを登録する手間がなくなりますし、生成されたWebhookのURLに必要なリクエストを送るだけで、予め登録されていたチャンネルにメッセージを送信することができます。
実装方法
ここからは実装するために必要な手順やデプロイの方法などを紹介していきます
作業の流れ
1. Slack(Incoming Webhooks)の準備
作業内容
- Slackチャンネルを作成(既存のチャンネルでも可)
- Incoming Webhooksを登録し、Webhookイベントで受け取ったメッセージを送信するチャンネルを設定する
- Webhook URLをメモっておく
2. LINEグループの準備
作業内容
- 通知を受け取るためのLINEグループを作成する
- アクセストークンを発行する
- アクセストークンをメモっておく
3. Lambdaの関数を登録する
作業内容
- GoのテンプレートコードをDL
- テンプレートコード(hello.go)の一部を書き換え
- SlackのIncoming WebhooksのURL
- LINEのアクセストークン
- 書き換えたコードをzipにする
- Lambdaのコンソールにアクセスし、関数を作成
- 作成した関数に、2で書き出したhello.zipをアップロード
書き換え箇所
Slack
41行目 {INCOMING_WEBHOOK_URL}
の部分に、取得したIncoming WebhookのURLを上書きします
LINE
102行目 {LINE_ACCESS_TOKEN}
の部分に、LINE Notifyで発行したアクセストークンを上書きします
zipにする方法
カレントディレクトリを、今回のディレクトリにした状態で以下のコマンドを実行します
bash build.sh
これを実行すると、同階層に hello.zip
という名前のzipファイルが作成されます
もし、うまく行かなかった場合は以下のコマンドを1行ずつ実行してみてください
GOOS=linux GOARCH=amd64 go build -o hello
zip handler.zip ./hello
4. AWS IoT 1-Clickでデバイス・アクションの登録
作業内容
- アプリもしくはコンソールからデバイス情報を登録
- デバイス情報
- シリアルコード
- Wi-Fi接続設定
- ボタン押下時のアクション
- デプロイしたLambda関数の指定
- デバイス情報
あとがき
残念ながらAWS IoTボタンは販売終了してしまったため、同じデバイスを新しく手に入れることは難しくなってしまいましたが、コード自体はほかのIoTデバイスからイベントを受け取った後の処理に流用できるかと思い、今回紹介させていただきました。
サンプルコードはまだまだリファクタリングの余地はあるかとは思いますが、私自身、育休を取得して絶賛子育て中でなかなか時間がとれないため、よしなに書き換えて頂ければと思います。
この知識が少しでもお役に立てれば幸いです。
それでは、よいクリスマスを!
Discussion