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JDLA E資格 合格体験記【2023 #1】(AVILEN 全人類がわかるE資格講座を受講)

2023/09/10に公開

2023年2月19日に受験した日本ディープラーニング協会(JDLA)の主催するE資格の試験に合格しましたので、その体験記を残します。

E資格の概要についてはこちら

これから受験される方に少しでも役に立つ情報を提供できれば幸いです。

自分の経歴

  • 大学時代にPythonを独学で習得し、skleranを使った簡単なモデル開発くらいまでは経験あり(Pytorchは存在は知ってたけど使ったことなかった)

  • その後、新卒で入社した大手IT企業で何故か携帯電話の基地局を作ることになり、1年半で転職

  • AI系ベンチャー企業にデータサイエンティストとして採用され入社

  • E資格受験時に持っていた資格

    • Pythonエンジニア認定 基礎試験 & データ分析試験
    • 統計検定2級
    • G検定
    • 普通自動車免許

受験までの経緯

まず受験動機は、業務でAI開発を行うにあたり、今一度腰を据えてこの分野を体系的に学んでおきたかったからです。
受験を決意したのはデータサイエンティストとして現職に就いてからだいたい半年くらいだったと思います。それまでは上に記したようなPythonの認定試験や統計検定の勉強をしていました。

また、E資格の受験には認定プログラムの修了が必須であり、弊社ではその受講費用が会社から自己研鑽費用として支給されます(合格した場合に限る)。
認定プログラムの受講費用は安いもので6万円前後、高いものは50万円以上するものまで幅広く、E資格の試験そのものの受験料も3万3千円します。
これらの負担が会社持ちになるという状況も受験に踏み出す後押しになったのは言うまでもないです。

選んだ認定プログラムとその理由

自分が受講したのはAVILENの「全人類がわかるE資格講座」です。

社内ですでにE資格を取得した複数人にどのプログラムを受講したか聞き取りをしたところ、AVILENとAI研究所の名前がよく上がったので、候補をその2つに絞りました。

AVILENのプログラムの特徴として述べられていたのが、コーディング演習があること、演習問題が本番の試験より難しい(=プログラムの修了が難しい)ことなどがあげられており、受験後もこの業界で戦っていく以上は難しい方を受講しておいたほうが良いかと思いこちらを選びました。
実際、自分が受験した2023 #1の試験の合格者の中ではAVILENのプログラムを受講した人の割合が最も高かったそうです。

合格後の目線ではありますが、自分が感じたAVILENの良いところとちょっと微妙だなと感じたところを記します。他社のプログラムは受講していないので比較はできないです。

  • 良いところ

    • 資料が詳細で、めちゃくちゃ広いE資格の試験範囲をしっかり網羅している。
    • 前提知識が乏しい状態で受講することが想定されており、かなり初歩的なところから解説してくれる。
    • コーディング演習があり、コーディングベースで自分の理解度を確認する機会がある。間違ってると指摘してもらえる。
    • 講師陣に質問できるプラットフォームが用意されており、他の人が投稿した質問も検索して閲覧できる。
    • 演習問題が難しい(本番の試験と同程度かそれ以上という感覚。少なくとも本番より簡単な問題はほとんどなかった)。これが自力で解けるなら本番でも戦えるという自信がつく。
  • 微妙だなと感じたとこ

    • 追加オプションがやや割高なこと(修了期限の延長、修了試験の追試など。詳しくは後述)。他のプログラムでの価格がわからないので業界水準では割安かもしれないです。
    • 資料に誤植が多い。質問フォームから指摘すれば修正版を共有してもらえますが、かなり高頻度でアップデートされており、その都度手元の資料を入れ替えるのは面倒だった。

自分が受講したときの受験費用は17万8千円で、おそらく業界的にも価格は普通くらいです(だから追加オプションが高い?)。
受験する目的や予算などで受講するプログラムもいろいろ変わると思うので、判断材料の1つとして参考になれば幸いです。

認定プログラム受講開始

プログラムの受講を開始したのは2022年の5月末でした。
E資格の試験は毎年2月と8月に実施されていますが、2022年8月には間に合わないと思ったので翌年の2023年2月開催の試験に狙いを定めました。

AVILEN社のプログラムは主に動画教材を視聴する形でインプットを進め、各単元ごとにコーディング演習が課せられ(PytorchかTensorflowを選択できます)、そこで書いたコードを提出し承認されることで各単元が修了します。単元は全部で14章まであります。

認定プログラムの進め方

最初の3か月くらいさぼる

5月に受講開始して試験が翌年の2月。およそ9か月近い期間があったことに油断し、最初の3か月くらいはほとんどプログラムを進めていませんでした。

しかし8月某日。少し気が向いて講座のサイトを開くと、修了期限なるものが存在していることに気づき、それが11月末となっていました。

AVILEN社のプログラムは受講開始から半年が修了期限として設けられており、この期間までに受講完了しなければ、追加料金を払い修了期限を延長する必要があります。

追加料金はおよそ7万。

さすがにここまでは会社からの自己研鑽費には認められない気がするので、この8月某日を境に急ピッチでプログラムを進める運びとなりました。

課題優先で進める

試験範囲は結構広めで、視聴する動画の時間も基礎講座含めトータルで70時間分くらいあったような気がします。
ひとまず各単元については課題のコーディング演習を終わらせることを最優先し、動画を見ながら該当箇所のコーディングを進めるという形を取りました。
自分は全部の動画を見ましたが、コースの修了条件は課題の提出と最後の修了試験の合格のみで判定されるので、わかる範囲の動画は飛ばしても問題ないです。

コーディング演習用の手解き動画(直接解答を教えてくれるわけではなく、こうやって解くといいですよ的な)もあり、ここはかなり進めやすかったです。
提出した内容が間違っていると申請が却下されて返却されますが、返却時に詳細なアドバイスももらえるので、課題ができなくて何日も悩むようなことはありませんでした。

プロダクト開発演習

8月から平日の夜や土日の遊んでいない時間を費やしまくったおかげで、各単元のコーディング演習の課題は10月の半ばにはすべて提出することができました。

次に修了条件として立ちはだかったのがプロダクト開発演習で、これまで学んだ技術を用いてAIプロダクトを作ってみようというものです。

「プロダクト」とは簡単に言えばAIを使って何らかの価値を生み出せるものです。その価値を自らの言葉で説明できればなんでもOK。パクリはNG。

自分はSR(super resolution) CNNを用いて解像度の低い画像を超解像度化するプロダクトを作成しました。
ここに至った経緯としては

  • GANをはじめ生成に関する分野が一番理解が弱いと感じていたので開発を通して理解を深めたかった
  • データセットがCifar10で完結できる
  • google colabの学習環境でもある程度目に見える結果が出る

などです。時間やマシンスペックが限られていたので、どうしても結果が出るのに学習に時間がかかるようなモノは作れず、提出最優先になってしまったのはもったいない機会の使い方だったなと感じています。

こちらも実行した証跡としてipynbファイルを提出し、無事クリア。

修了試験までの道のり

プロダクト開発演習を無事に終え、残る修了条件は修了試験に合格することのみになりました。
このときすでに11月に突入しており、残り時間は3週間弱になっていました。

修了試験はこれまで動画で学習した14単元すべての分野からランダムに100問が出題され、1問1点70点以上で合格になります。

AVILENの演習問題は本番の試験よりも難しいと専らの噂で(そもそもそれが目的でAVILENを選んだのですが)、講座内で用意されていた2回分の模擬試験はどちらも50点台で消化してしまいました。

明らかに演習不足を実感していたので、今唯一E資格の演習ができると言ってもいい市販の問題集の黒本を購入しました(6000円はお高い...)。

E資格に関する黒本は2023年9月現在、第2版まで出ていますが、E資格のシラバスは頻繁に更新されており第2版でも試験範囲が本番とずれている箇所が多々あります。実際に取り組む際はシラバスとの照らし合わせをかかさないようにしてください。

ちなみに超余談ですが、自分はこの2022年11月末にサッカーW杯の現地観戦のためカタールに渡航する予定があり、タイムリミットは11月30日ではなく1週間早い11月の24日でした。
こんなに追い詰められることがわかっていたら現地観戦を決行していたかわかりません。

試験は2回まで無料で受験できるので(3回目以降は11000円かかる)、1回目の受験日を11月19日に定め、それまでひたすら模擬試験2回分と黒本の問題を見直す日々を送りました。

修了試験本番

修了試験は自身のPCで好きなタイミングで受験できます。回線が安定する時間を選びましょう。
カンペを見ることもできますが、問題数100問に対し制限時間は120分なので、そこまで調べる時間はありません。ド忘れしてしまった内容を思い出す程度に使えるものと思っておくとよいです。

そんな満を持して臨んだ修了試験ですが、1回目は60点台で落ちてしまいました。

ただ1回目は実際の試験の肌感覚を知るのに本当にちょうど良く(意外と時間は余ることを知った)、また演習問題のサンプルも増えたことで、学び足りない範囲の復習材料にもとても良かったです。
後で講師の方に聞いたのですが、1回目の試験はこういうスタンスで受験する人が多いらしいです。あくまで本番は2回目からであると。

また、1回受験して必要だと感じたのが後で見返したい問題番号をメモっておくことです。
CBT方式のテストを受験したことのある方は経験があるかと思いますが、右上のチェックボックスをクリックすることで、後でそのチェックした問題だけを振り返れる機能があることが多いです。これは本当に重要な機能です。AVILENの修了試験にはこの機能はまだ実装されていないので、アナログで再現する必要があります。
「後で見返す」は本番の試験会場では実装されている機能なので、その練習も踏まえて、このタイミングから実践しておくことにはとても有意義だと思います。

2回目の試験は11月21日に受験しました。1回目の試験問題と重複が多かったことや、後で見返すメモのおかげもあって無事に合格することができました。
ちなみにこの翌日は自分の誕生日だったので、モヤモヤしながら誕生日を過ごすことにならなかったのも良かったです。

修了試験合格後

修了試験合格後、AVILENのマイページから修了申請を出し、それが承認されれば無事認定プログラムも修了になります。

修了後、このようなメールがAVILENから届きます。

勉強中はこんな難しい問題初見で解けるわけないだろと少し憎しみを抱きつつありましたが、スタッフ一同自分の修了を喜んでくれているらしく、すべて解消されました。
とても嬉しかったです。

このメールに記載されている修了者ナンバーが実際のE資格の受験を申し込む際に必要になります。

実際の試験まで3か月ほどあるので、一旦カタールで休んでからまた勉強を再開します。

試験本番まで

サッカーのカタールW杯が閉幕して2週間余り、年が明けた1月3日ころから勉強を再開しました。とは言っても新たにインプットするようなものはなく、もう試験までの1か月半ひたすら問題演習を繰り返していくのみです。

AVILENの認定プログラムでは修了者向けに限定コースを用意されており、800問くらい(ここちょっと記憶が曖昧)ある問題プールからランダムに100問出題される演習コースを無限に取り組むことができます。

また、修了試験のときには試験範囲になっていなかった基礎数学(線形代数や情報理論など)もこのタイミングでがっつり復習しました。
特異値分解の計算が本番でたら嫌だなと思ってめちゃくちゃ計算の練習をしたのですが、最新版シラバスでは特異値分解は試験範囲から外れていました。これは試験前日の2月18日のことです。シラバスは事前にしっかり確認しましょう。

試験本番

2023年2月19日(日)、秋葉原の試験センターにて受験しました。
試験開催媒体はPearsonVUEという外資系企業で、この企業が開催する受験ができる会場であればどこでもの試験センターでも受験できます。

PearsonVUE試験会場一覧

E資格の試験は、場所は自由に選べる一方で、受験日時は2月17日~2月19日の間に定められており、それぞれの試験センターにも席に限りがあるので、アクセスのいい場所で受験するために早めの申込を推奨します。
自分が申し込んだのは2月16日でしたが、家から近い秋葉原で受験できたのは運がよかったと思います。

試験は120分で100問。AVILENの修了試験と同じ形式です。
演習で出てきたような問題はすらすら解ける一方、癖の強い問題も結構多く(この頃流行りだした生成AIに関する問題など)、あまりそこに時間を使うわけにもいかないのでとにかく解ける問題を確実に回答することに注力しました。

E資格の合格ラインは公表されていませんが、おそらく6.5割くらいの正解率と言われています。そのため、定番的な問題さえ正答できれば十分合格ラインには到達できます。

100問一通り回答を終えるころには試験時間は残り30分くらいになっていました。
残り時間で「後で見返す」でチェックボタンをつけた箇所は振り返ることができましたが、それ以外を見る余裕はなかったので「後で見返す」機能は本当に偉大です。

試験結果

試験からおよそ3週間後の3月10日に受験結果をお知らせしてくれるメールが届きます。

無事に合格していました。

メールには合否結果と一緒に、応用数学、機械学習、深層学習、開発環境の4分野ごとの得点率も掲載されています。

自分は最初3つの分野の得点率はまぁまぁ良かったのですが、開発環境の正答率が4割を下回っていました。
開発環境はDockerやGPUなどに関する問題が出される分野です。現場では割とクリティカルになりそうな分野なのでしっかり復習しようと思います。

後日譚と総括

E資格の取得から半年ほどたった状態で本記事を書いていますが、E資格を取ったことで何か大きく変わったことがあるかと言われればNoです。お給料も特に変わっていません。

ただ、やはり受験前と後で議論の意図をくみ取れるようになったり、課題に対するアイディアの引き出しが増えたのは間違いなく、キャリアにプラスに働いていることに疑いの余地はありません。

また、多岐に渡るAI・機械学習の分野を学習するうえで、このような資格取得という明確なゴールがあることは、勉強を進める上で計画も立てやすく非常に取り組みやすかったです。
「AIについて学ぶには何から始めたらいい?」と聞かれたらG検定やE資格の取得を勧めるのは今後の定石になっていくになっていく気がします(予算次第ですが)。

拙い文章でしたがここまで読んでいただきありがとうございます。
この記事が1人でも多くの学習の足掛かりになることを祈っています。

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