図解で一発理解!AIの「賢くさせ方」3つの違い:ファインチューニング、プロンプトチューニング、RAG入門
はじめに
最近、人と話していると、AI関連の用語がバンバン出てくるようになりました。「ChatGPTがすごい」から一歩進んで、「RAG(ラグ)を導入した」とか「GPTをファインチューニングした」とか、「プロンプトチューニングが大事」とか。
正直、AIの挙動をなんとか制御したいマン(自称)としては全部気になるんですが、AIの用語を知らない人からすると「全部『AIを賢くする』って意味でしょ?何が違うの?」って感じみたいです。
この辺の違いをサクッと教えたい、あるいは自分がざっくり理解したい、という場面がめちゃくちゃ増えてきました。
そこで今回は、この1枚のイラスト(Geminiさん作成)を使って、初心者の方にも一発で分かるように、この3つの「AIを賢くする方法」の違いを解説してみようと思います。

1. プロンプトチューニング(Prompt Tuning / Prompt Engineering)
まずは、イラストの左側。「プロンプトチューニング」です。

これは、右の人に向かって、左の人が何か話しかけていますよね。
これが「プロンプトチューニング」のイメージです。(厳密には「プロンプトエンジニアリング」の方が近いかもですが、ここでは「AIへの指示の仕方を工夫すること」と捉えてください)
AIの脳みそ(大規模言語モデル、LLM)自体は一切いじりません。
AIに対する「話し方」や「質問の仕方」、「指示の出し方」を工夫することで、AIから望んだ答えを引き出す技術です。
例
- 「あなたはプロの編集者です。以下の文章を校正してください。」(役割を与える)
- 「小学生にも分かるように説明して。」(制約を与える)
- 「ステップ・バイ・ステップで考えてください。」(考え方を誘導する)
こんな感じで、AIの能力を最大限に引き出す「呪文(プロンプト)」をアップデートするのがこれです。
一番手軽に始められますが、AIが元々知らない情報(例えば、あなたの会社の社内ルール)は、これだけでは答えさせられません。
2. ファインチューニング (Fine-tuning)
次に、イラストの上側。「ファインチューニング」です。

これは、AIの頭の蓋をパカっと開けて、中に直接何か(新しい知識やデータ)を注入しています。まさに人間でいうところの「学習」しているイメージですね。
ファインチューニングは、既存のAIモデル(脳みそ)に対して、追加で専門データ(例えば、特定の業界用語集や、自社の過去のサポート対応履歴など)を学習させることです。
これを行うと、AIの「知識」そのものが変わります。
一般的なAIが知らない、業界の専門用語を理解して使えるようになる。
一般的なAIでは精度の出ない、特殊な文字の読み取りを正確に読み取れるようなる。
AIの脳みそ自体を改造するので、かなり強力ですが、それなりにコスト(学習データ準備、計算リソース、時間)がかかります。
3. RAG (Retrieval-Augmented Generation)
最後は、イラストの右下。「RAG」です。

これは、AI(脳みそ)が、横に置かれた「本(Q&A集)」を参照しながら答えようとしているイメージです。
RAGは、AIの脳みそ自体は一切いじりません。
AIが質問に答える「その瞬間」に、関連する外部の資料(社内マニュアル、最新のニュース記事、DBのデータなど)を検索して、それを「カンニングペーパー」としてAIに渡します。
AIは、その渡されたカンペ(参考資料)を「元にして」答えを生成します。
「今日の最新の株価を教えて」(最新情報を参照)
「社内の経費精算ルールについて教えて」(社内DBを参照)
ファインチューニングと違って、AIの脳みそは元のままなので、低コストです。
参照させるデータ(カンペ)を差し替えるだけで、AIが答える内容を最新に保てるのが最大の強みです。
最近の「社内データで使えるAIチャットボット」みたいなサービスの多くは、このRAGの仕組みを使っていると思います。
まとめ
簡単にまとめると、こんな感じです。
| 手法 | イラストのイメージ | やること | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|
| プロンプトチューニング | AIに「話しかける」 | 指示の仕方を工夫する | 超手軽、コストほぼゼロ | AIが知らないことは答えられない |
| ファインチューニング | AIの「脳みそを学習」 | 専門データを追加学習させる | AIの性格や知識自体を変えられる | 高コスト、データの準備が大変 |
| RAG | AIに「カンペを渡す」 | 答える瞬間に外部資料を参照させる | 最新情報や社内情報が扱える | 参照データの整備・検索の仕組みが必要 |
これで、3つの違いがだいぶスッキリしたんじゃないでしょうか?
AIに何かやらせたいと思った時、
- まず「話し方」を工夫してみる(プロンプト)
- それでもダメで、AIの振る舞い自体を変えたいなら「学習」させる(ファインチューニング)
- 最新情報や社内情報を元に答えさせたいなら「カンペ」を渡す(RAG)
という使い分けになります。
これで、誰かに「この辺の違いって何?」と聞かれても、この記事をスッと共有すれば「一発で分かる」ようになっていると嬉しいです!
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