AIエージェント開発は、特別なものじゃなかった
初めまして、プロダクト部開発部所属の池田です。
2025年10月5日開催の東京AI祭Day2で開催された、「AWSでAIエージェント構築に入門! StrandsをAgentCoreにデプロイしてみよう」というAIエージェントの入門のようなワークショップに参加してきました。

私は、2025年4月にプログラミング未経験の新卒として入社し、1ヶ月の全社研修を経たのち、現在はRuby on Railsや、Reactなどのフレームワークを研修や実務を通して学習している新米エンジニアです。なので私は普段、AIエージェントではない通常のソフトウェアの開発に従事しております。同期の未経験エンジニアの多くがAIエージェントの荒波に揉まれる中、着実な道に進み始めたのが私というわけです😄
会社としてはAIエージェント開発に注力しているため、社内での共有で見聞きする機会は多いのですが、実践的な開発に携わった経験はほとんどありませんでした。そんな僕が、実際に簡単なAIエージェントの作成からデプロイまでを教わるワークショップを経て感じたことをお伝えしようと思います。
ワークショップの内容をサクッと紹介
会場では実際にStrands と AgentCore というツールを使って、AWS上にAIエージェントを構築・デプロイする流れを体験しました。Strands は、PythonでAIエージェントの「行動や思考の流れ」を定義できるフレームワークです。「どんな目的を持って、どのツールをどう使うか」というAIの行動設計図をつくる部分。そして AgentCore は、その設計図を実際に動かすための実行環境のような存在です。
手順はこちら👇
- AWS環境を準備する(アカウントやアクセス設定)
- StrandsでAIの行動ロジックを定義(Pythonでツールやタスクを登録)
- それをAgentCoreにデプロイして実行
- MCPサーバー経由で、AIが外部ツールを呼び出せるように設定
- 最後に動作を確認して、AIが自動でタスクをこなす様子を見る
専門的な技術ではなく、簡単に作るならこれ!というハンズオンのようなワークショップでした。簡単な計算をお願いすれば、計算結果を5・7・5形式で答えるものや、日本語で質問すればウェブ検索して結果を教えてくれるものなど、賑やかに楽しく体験できました。
当日利用した記事はこちら↓
AIを“使う”から“動かす”へ
参加してみてまず感じたのは、「AIエージェント開発」は見聞きしていたものとはまったく違うということでした。これまで「AIエージェントを作る」と聞くと、AIのチューニングや特殊なフレームワークの理解や学習など、ビギナーの自分には到底わかることのない領域だと思っていました。でも実際に触ってみると、Strands や AgentCore といったツールを使いながらも、書いているコードは自分でも理解できるようなシンプルなものでした。MCPサーバーの設定も、考えてみれば、AIを動かす環境を整え、その順番に動作させるかを指定するということなんだなと感じました。
普段の業務ではGeminiやChatGPT、Claude Code、Codexなどをたくさん使用して、AIを “使う” という体験には慣れてきました。むしろ頼りっきりです。でも今回のワークショップでは、AIを “動かす” 体験をすることができました。
目的や方針を決め、最低限の環境を整え、実際の動作はAIに任せる。通常のソフトウェアの開発のように人間がコードを書いて一つの動作を指定するのではなく、基本的に動作の内容はAIに任せるというスタイルには、面白さと同時に難しさも感じました。完全にコントロールすることができないAIと協働する感覚。このバランスこそが醍醐味なのだろうと思いました。
“積み上げる”よりも“つなげる”
難しい数式やAIの理論を知らなくても、StrandsやAgentCoreといったツールを組み合わせれば、AIが順番にタスクを処理するアプリを構築し、デプロイまで持っていけます。それは、コードを書くというより、仕組みを設計していく感覚でした。通常のソフトウェアの開発でも、フロント、バック、データベース間を効率よく繋げられた時の、面白さにも少し似ているのではと感じました。
不思議だったのは、PythonもAWSも初めてだったのに、全体の流れや構造はすんなり理解できたこと。たぶんこれは、日常的にChatGPTやClaude CodeのようなAIツールを使っているからだと思います。コードを「文法」で理解するというより、「意図」や「構造」で捉える感覚が自然と育っていて、そのおかげで、知らないツールでも抵抗なく触れられたのかと思います。
こうした “抽象的に理解する力”は、AIエージェント開発ととても相性がいい のではないでしょうか。一意に決まった動きをするというわけではないAIツールを、抽象的に理解し、それを正しくつなぐことで実際に動き出す。その感覚は、AIが作ったコードを抽象的ながらも正しく読み解き、つないで一つのものを作っている今のビギナーエンジニアが持ち合わせている感覚なのかもしれません。
「知識」よりも「つなぐ力」、そして“構えすぎない勇気”
AIエージェントの開発を始めるにあたって重要なのは、“知識量”よりも“構えすぎない勇気”かもしれないと、感じました。AIエージェントの開発を実際に触ってみると、開発の入口は思っていたよりも“普通”だったなと感じます。
Railsのソフトウェアでも新しいツールやgemを導入してみて、より便利なものにするのと同じような感覚で、エージェント開発も“ツールをつないで動かしてみる”ことから始まります。入門程度であれば、何も知らない初心者でも手を動かせば理解に近づけるし、むしろ、初心者だからこそ「AIとはこうあるべき」という先入観もなく、素直に「とりあえず触って動かしてみよう」と思えるのかもしれません。
どんな開発にしろ、触ったことない言語やジャンルならば、わからないことに囲まれながら始めるはずです。そう思えばエージェント開発自体も他のソフトウェア開発と大差ないものであり、始めてみることに身構える必要はないのではないでしょうか。
まとめ:AIエージェント開発は、特別なものじゃない
参加前は、「AIエージェント開発」という言葉に少し身構えていました。けれど実際にやってみると、AIエージェントも通常のソフトウェア開発も、“最初の一歩”が重く感じるかもしれませんが、そこまで身構える必要はないのだと感じました。
どちらも、最初はわからないことだらけで、少しずつ調べて、とりあえず動かしてみて、時には教えてもらう(教えてもらう相手はAIでもOK!)。そのサイクルの中で「あ、こうなってるのか」と理解していく。AIエージェントだからといって特別ではなく、とりあえずやってみることの大切さは変わらないのでしょう。
もちろん、実際にプロダクトとして運用されるエージェントは、設計も非常に高度で、ツールやモデルへの理解や知見も、高いレベルで要求されるのかもしれません。でもプロダクションならではの難しさは、通常のソフトウェア開発と同じように存在します。だからこそ、最初の一歩としては、「AIエージェント開発は特別なものではない」という意識で入るのが良いのかもしれません。
最後になりますが、AIエージェント開発というホットな題材において、こんなにもわかりやすいワークショップの開催に加え、記事までまとめてくださった、みのるんさんに心より感謝申し上げます。会場ではシンプルに動くものを作れた喜びを感じましたし、新米エンジニアの私にとってはいろんなジャンルの開発を知ることの楽しさや、面白さを知ることができました。ありがとうございました。
Discussion