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戦略的に勉強して応用情報技術者試験に合格した話

2023/01/03に公開

こんにちは。とあるフロントエンドエンジニアです。

令和4年度秋期の応用情報技術者試験に合格したので、私がそれまでにどんな勉強計画を立て、どんな勉強方法で合格ラインまで持っていったかを紹介します。

私はすでに基本情報技術者を保持しているため、今回私が紹介する勉強方法は基本情報技術者の合格レベルの知見がある前提での勉強計画の立て方、勉強の仕方、考え方を反映した内容になっています。

もし同じ境遇で、基本情報技術者はすでに持っていて、今度応用情報技術者に挑戦してみたい!という方などはぜひ参考にしていただけたら嬉しいです。

勉強の仕方などは応用情報技術者に限らず、他の資格などの勉強にも役に立つと思います!

https://zenn.dev/toaru_fe/articles/65de82a7d238b1

スケジュール

8月頭から試験日の10月9日までの約2ヶ月で合格するスケジュールを組みました。

そしてその2ヶ月間を、以下のスケジュール間と目標で勉強する計画を立てました。

主な勉強内容 学習到達目標
8月 - 参考書を使用して試験に頻出の知識を抑える
- 午前:午後 = 9:1 ぐらいで過去問を解きまくる
午前試験の正答率6割以上
9月 午前:午後 = 2:8 ぐらいで過去問を解きまくる - 午前試験の正答率7割以上
- 午後試験の正答率6.5割以上

ちなみに応用情報技術者の合格正答率は午前・午後共に6割以上です。

基本情報技術者での反省を活かして

基本情報技術者の学習時、合格したからいいものの、午後試験の対策を1週間ちょっとしかやっておらず、自分的には不安が残った思い出がありました。

今回は応用情報ということで午後試験の難易度も上がることも考慮すると、演習量不足で不合格になるのはとても避けたい状態だったため、9月の1ヶ月間は午後試験にウエイトを置いて空いた時間に午前試験を解くという方針で勉強を進めることにしました。

1日の勉強時間

私は1日3hを試験の学習時間に当てる方針で計画を立てました。土日も同様ぐらいの時間勉強できればいいなと思っていました。

計画学習時間 実際
8月 3h/日 - 平日 2h/日
- 土日 2h/日
9月 3h/日 - 平日(終業後) 2h/日
- 平日(始業前) 1h/日
- 土日 2h/日

が、実際やってみるとそう理想通りとはいかず、平均して大体2h/日ぐらいに落ち着きました笑

勉強方法 (午前対策)

使用テキスト

使用したテキストは、キタミ式イラストIT塾 応用情報技術者 令和04年」の1冊のみを使用しました。すでに合格した友人からこの本だけでいいとアドバイスをもらっていたので、それを信じてこの1冊のみで戦うことにしました笑
https://gihyo.jp/book/2021/978-4-297-12453-3

令和5年度用のテキストもすでに出版されているので、今後受験される方はそちらを使用することをおすすめします。
https://gihyo.jp/book/2022/978-4-297-13188-3

キタミ式イラスト塾の本はネットの評判では「この参考書ではダメだ」というネガティブな声も私が勉強を始める前に少し聞いていましたが、正直使い方次第だと思います。

私個人としては、あまり業務で扱わない分野や全く分からない分野の用語や仕組みをポップなイラストで描かれているのはとてもわかりやすいな〜と感じましたね。(理解するまでのハードルが下がる✨)

基本的な勉強の進め方

午前試験の学習方針としては基本情報技術者の時とあまり変わらず、「テキストを早めに一周終わらせ、過去問をガンガン解く」です。この軸は忘れないようにしていました。

8月

先ほどご紹介したテキストが全19章あるため、1日1章読めればいいなと思い、単純計算19日でテキストを読み終え、残り10日ほどを午前の過去問演習に当てる方針で計画しました。ペースを崩さないために、その日の1章を早く読み終えたらその日は次の章には進まず、学習した単元の過去問を解いたりしていました。

2ヶ月間のモチベーションを保つには細かいペース配分も大事だと思っています。

ここで大事なのは、テキストの内容は理解までしないことだと思っています。内容を理解するよりはざっくりとしたイメージや、試験でこんな知識が出るんだー程度に留めておくことです。なので気持ちは楽にただ本を読んでいる感覚で勉強します。

「使用テキスト」の項目で軽く記載した、ネットの「この参考書ではダメだ」などの評判については、「この参考書を頼みに合格しようというマインドだったから不合格した」のだと思っています。

あくまでこの書籍の用途は試験範囲のざっくりとしたイメージをつけること、応用情報技術者の世界を知る、程度のものという認識を持っておくといいでしょう。(そもそも応用情報技術者はとんでもなく試験範囲が広いため、書籍で知識を全て網羅することは不可能だと思っていました)

自信の実力を引き上げ、合格レベルに持っていくのは過去問の演習量が鍵を握ると思っています。

過去問は基本情報技術者でもお馴染みの過去問道場を利用しました。

8月はこのようにテキスト中心で隙間時間やテキストを終えた後に狂ったように過去問を解くことによって、月末には通しで午前試験を何年度か解いたところ、目標正答率6割を超えて7割は安定して取れるようになりました。

当初計画していた通りに進んでいたので、学習計画の修正は行わず、9月の学習に入りました。

9月

9月はメインは午後試験の対策を行う方針であるため、午前の過去問は始業前の1時間、頭のアップがてら解いていました。(始業前に午後試験をやると疲れてしまう。。。)

またテキパキ解いて数をこなしたかったため、時間のかかる計算問題は始業前の勉強時間ではあまり解きませんでした。(計算系は終業後、計算問題のみでまとめて演習していました)

その他やったこと

ここでは、午前試験合格に向けて「テキストを読む」「過去問を解く」以外にやったことを紹介します。

嫌でも視界に入るところに付箋を貼る

人間やはり苦手はあるものです。。。何度過去問を解いても、ノートにまとめても覚えられないものは覚えられないものです。。

そこで私が取ったのは、日常的に視界の入るところに自分の覚えられない用語などを付箋に書いて貼っておくことです。
付箋を壁に貼った実際の写真
実際に貼っていた付箋たち

これは一例ですが、こんな感じで貼っておくと、トイレに行く時や寝る前の歯を磨く時に自然と目に入ります。そこで暗示的に復唱することによって嫌でも覚えられました。(なぜか音のサンプリングプロセスは基本情報の頃から全然覚えられなかった。。。お恥ずかしい><)

付箋を貼る場所のポイントとしては、普段の自分の目の高さと同じところに貼ることです。首を動かさないと見えない場所に貼ってしまうと、後々面倒臭くて見なくなる可能性があります。

自分的に昇華しづらい用語などはイラストなどを書いて、自分なりに覚えやすいようにメモをしました。大事なのは、自分の言葉で書くことであって、テキストやネットで調べた文章をそのまま書いても効果は薄いと思っています。(頭を使っていないから)

馴染みのない技術・モノ・コトは応用されているところを調査

テキストの説明文や過去問の解説を見ても「へ〜」程度で「じゃあこれって実際どこで使われてるんや。。分からん。。」ってなることもあると思います。

特に私の場合、ハードウェアなどの分野はあまり知見がないため、実世界のどこで使われているのかイメージがしづらいものがありました。

そんな時はすぐにネットで調査しました。ここで大事なのは、可能な限り現場で使われている写真を見て実物のイメージをつけることです。

こうすることで机上感が抜け、より理解しやすくなります。

勉強方法 (午後対策)

選択問題で何を選ぶかを決定する

午後試験は必須の大問1の情報セキュリティを除いて、複数の分野から4つ選択して解くことになります。
対策時も、全ての分野の対策をしていると到底カバーしきれないため、早めに自分が何を選択するのかを決めて対策する必要があります。そこで私は以下のプロセスを辿って、試験当日選択する分野を固めました。

1. ネットのおすすめ度をまとめる

ネットやYoutubeをみて、とりあえずどの大問がおすすめかを参考がてら調べて、それぞれA~Cの3段階でまとめました。
これはあくまで参考レベルです。

2. 全分野の過去問を数年度分解く

まずは敵を知らないことには話にならないので、自分が苦手かどうかは関係なく、全ての分野の問題を1~3年度分解き、その正答率や解いた感想などをスプレッドシートにまとめました。

スプレッドシートにまとめたやつ(一部)

2. 3段階評価でネットの評価と照らし合わせる

ネットの評価はあくまでその人のスキルセットで問題を解いた感想に過ぎないので、自分と同じとは限りません。
なので、自分が解いた分野の正答率や解いた肌感を同様にA~Cの3段階で評価し、それらを照らし合わせて、対策する分野を決定しました。

まとめた結果、以下のようになりました。

分野 評判 肌感 解く
情報セキュリティ 必須 必須
組み込みシステム開発 A A
プロジェクトマネジメント A B
プログラミング C A
ネットワーク C B
データベース C C
情報システム開発 C A
システム監査 C C
経営戦略・情報戦略
戦略立案・コンサルティング技法
B B
システムアーキテクチャ B B
サービスマネジメント B A

ということで、ネットの評価は気にせず、解いた肌感の評価がAである「●」のある5つに対策を絞ることにしました。

この記事でも「おすすめの単元は〇〇だ」とはいいません。ここで大事なのは、ネットの評判は気にせず、あくまで現時点での自分のスキルセットと、自分で解いた肌感を一番頼りにするといいよ〜ということです。

基本的な勉強の進め方

午後試験の対策はやはり演習量を積んで、試験の形式に慣れる、時間内に解き終わるように力をつけることにあると思います。

私も基本情報の時の午後試験の演習不足を反省し、今回は時間の許す限りひたすら午後試験の問題を解き続けました。

自分が選択する単元の過去問は大体15年度分は解いていた気がします。ただ量をこなせば良いというわけではありませんが、私が解きまくったのは15年度分ぐらい解けば全体的な問題傾向が分かるだろうという意図で解いていました。

結果としては、各単元である程度の傾向を自分の中で掴んで昇華できたので、やり方に後悔はしていません。

その他やったこと

ここでは、午後試験合格に向けて「過去問を解く」以外にやったことを紹介します。

自分だけの単語帳を作る

午後試験対策として、スプレッドシートに各単元ごとに単語などをまとめた単語帳を作成しました。
スプレッドシートで作成した単語帳のキャプチャ
スプレッドシートで作成した単語帳

スプレッドシートで作成した理由としては、用語がわからなかった時や忘れてしまった時などにスピーディに検索できるからです。

午後試験では記述形式の問題が中心ですが、全てが「〇〇字以内で答えよ」タイプなわけではなく、「下線①の攻撃名を解答群の中から選び記号で答えよ。」のような用語の選択問題も出題されます。

下線①の攻撃名を解答群の中から選び記号で答えよ。 (令和4年度 秋期 情報セキュリティ)
ア:DNSリフレクション攻撃
イ:セッションハイジャック攻撃
ウ:メール不正中継攻撃

例えば「イ:セッションハイジャック攻撃」が何なのかが分からなかった場合、答え合わせを行う際にスピーディに検索して意味を理解したいという思いがありました。

この問題形式は午後試験で解答必須の大問である「情報セキュリティ」で多く、過去問を解いた後にすぐに用語の意味を調べられるようにするにはブラウザで都度検索するよりも、スプレッドシート内に書いたほうがすぐに単語と意味を照らし合わせることができるからです。(あとMacだったらcommand+Fで一発で調べられるから)

アナログで紙にまとめても良いのですが、その場合、調べたい用語のページを探す手間がかかってしまうため、効率を重視するとやはりデジタル環境にまとめておいたほうが楽だなと思い、この手段を取りました。

この単語帳は午前試験でも通用すると思います。(私は午後試験の目的で作っていましたが笑)

各単元の所感

ここでは、午後試験対策で私が対策することを選んだ単元の所感を記載します。

情報セキュリティ

「自分だけの単語帳を作る」の項で記載した通り、この単元では他の単元よりも「下線①の攻撃名を解答群の中から選び記号で答えよ。」のような用語の選択問題が多く出題される傾向にあります。

その多くは「セキュリティを高めるための技術やシステムの名称」や「サイバー犯罪の名称」です。

サイバー犯罪は多種多様ですが、覚えておいて損ではないので、私は自分の単語帳で徹底的にサイバー犯罪の種類、名称、その内容を洗い出して、覚えておくようにしていました。

情報セキュリティ10大脅威に目を通す

IPA(情報処理推進機構)は毎年その年に発生した件数の多かったサイバー犯罪や社会的に影響があった問題を「情報セキュリティ10大脅威」としてまとめて資料を出してくれています。

IPA(応用情報技術者試験の出題側)としてはトレンドはやっぱり理解しておいてほしいという意図で問題とか作りそうだなと思ったのでここらへんの資料をさらっと読んでいました。

https://www.ipa.go.jp/security/vuln/10threats2022.html

これが必ず試験に出るとは限りませんが、時間があるときに目を通しておくといいかもですね。

組み込みシステム開発

組み込みシステム(俗にいうIoT)の問題は、ビットの計算問題がよく出る単元です。なのでビット周りの計算問題を午前試験の過去問題で演習しておくと正答率が上がると思います。

その他にも、この単元は答えが文章中にそのまま書いてある問題が出題されることも多々あるので、運が良ければかなりの得点源になるような単元だと思います。

「こういうアーキテクチャでサーバとやり取りするんだぁ、おもろいなぁ」的なこともあって、問題を解いていて楽しいと感じた単元でもあります。これはただの感想。

プログラミング

「プログラミング」は多くの受験者に嫌厭されがちで、ネットでも「プログラミングは選択しないほうがいい」という声が多いですが、日々の業務でプログラムを組んでいるエンジニアやプログラマの方であればさほど難しくはないので、評判よりもやはり自分で解いて感じたものを信じるべきだと私は思います。

「プログラミング」分野に関していえば、基本情報技術者の「データ構造およびアルゴリズム」やJavaやPythonなどのプログラミング言語の問題とは異なり、ロジックをトレースして解く問題が応用情報技術者では少ないので、基本情報よりは解きやすいと感じています。

基本情報技術者試験でよくあるトレース問題を簡単にいうと

for x in listA:
  for y in listB:
    a = なんとか
    b = なんとかかんとか

# x = listA[3]のループが終わったときのbの値はどれ?的な問題のこと

このような問題はxやyの値、ロジックで出現する各変数の値を順に追っていく(トレースする)必要があるため、トレース問題と呼ばれ、基本情報技術者では頻出、というかマストな問題形式ではあります。

しかし応用情報技術者ではこのようなトレースの問題は少なく、プログラムの穴埋め的な問題がメインで、問題文を読んでそのロジックを実装するために必要なプログラムの穴埋めをするだけなので、日頃からプログラムを書いている方であればそこまで難しくは感じないという印象です。

ただこれは実際に過去問を解いたから分かることなので、この記事で何度も記載している通り、外部の評判は一回忘れて、自分のスキルセットや肌感に合わせて選択する大問を選びましょう!

情報システム開発

この単元は普段システム開発に携わっている方であれば聞き馴染みのある状況下の問題がいっぱい出るなぁと感じると思います。

「あーこういうときあるな笑」みたいな共感できることもありました。

また時々アジャイル開発の問題も出題されているので、アジャイル開発系のプロジェクト経験がない方は、一度アジャイル開発とはなんぞや?というところを勉強しておくといいかもしれません。過去問を見ていると特にスクラム関連の問題がよく出ているなぁという印象。

サービスマネジメント

サービスマネジメントで問われるのはITILに記載されているベースとなるプロセスの理解ができているかだと思います。

ITIL(Information Technology Infrastructure Library)とは、ITサービスマネジメントにおけるベストプラクティスをまとめたライブラリです。

この単元では、それに関連するプロセスや実世界での応用などが問題として出題されるので、まずはITILの大枠を掴まないとこの単元で安定して点数をとることは難しいのかなと思います。

結果

今回私が事前に立てた計画どおり勉強した結果が以下です。

カテゴリ 合格点 結果
午前試験 60点 75点
午後試験 60点 72点

可もなく不可もなくという感じでしたね笑
ただ合格点+10点以上で合格できたのはきちんと計画的に勉強できた成果だと思っています。🌸

おわりに

今回自分で立てた計画どおりに勉強できたのもあり、試験前日も特に徹夜することもなく、普段通りの就寝時間に寝ました。

計画はやっぱり大事ですね。

勉強してみての感想としては、情報技術全般の知識の幅が格段に広がったと感じます。
また、基本情報技術者とは違って、問題が実際に発生した時にどう対処するか、リスクを考慮してどう提案するか、などの応用的な思考も少しついたかなーという印象です。

この記事が今後応用情報技術者試験を受験する方の勉強の参考になれば幸いです。

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