Gemini 3.0 と Antigravity が来たので、いま触れるポイントだけサクッと整理してみた
はじめに
2025/11/19 時点で、Google から 次世代モデル Gemini 3 と、VS Code 派生の AI IDE Antigravity が一気に出てきました。
- 何が変わったのか?
- 開発者としてどこから触り始めると良さそうか?
- Claude / GPT 系とのポジション関係は?
あたりをまとめます。
Gemini 3 概要:モデルと提供形態
公式ブログでは、Gemini 3 は「これまでで最もインテリジェントなモデル」と位置づけられています。(blog.google)
主なポイントだけ抜き出すと:
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主力モデル:Gemini 3 Pro
- 推論・マルチモーダル・コーディングのベンチマークで 2.5 Pro を大きく上回る(blog.google)
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強化モード:Gemini 3 Deep Think
- 「長考モード」でさらに推論・マルチモーダル性能を底上げするオプション(blog.google)
提供チャネルはざっくりこんな感じです:(blog.google)
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個人向け
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Gemini アプリ(無料 / 有料プラン)
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検索の AI Mode(AI 検索)で Gemini 3 Pro
- 現状は主に 米国の Google AI Pro / Ultra ユーザーから展開開始
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開発者向け
- Google AI Studio(Playground / API)
- Gemini CLI
- 新 IDE の Google Antigravity
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企業向け
- Vertex AI
- Gemini Enterprise
何が強くなったのか?ベンチマークざっくり眺め

推論・事実精度
Google 公開のベンチマークを見ると、Gemini 3 Pro は
- Humanity’s Last Exam, GPQA Diamond, ARC-AGI-2 など高難度ベンチマークで SOTA クラス(blog.google)
- SimpleQA Verified(事実精度系)でも 72.1% と高スコア(blog.google)
「数学・論理寄りの推論タスクでかなり強くなった」という評価が多いです。(note(ノート))
コーディング(SWE-bench / LiveCodeBench など)
開発者的に一番気になるのはここだと思うので、少し具体的に:
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SWE-bench Verified(エージェント型コード修正)
- Gemini 3 Pro: 76.2%
- Claude Sonnet 4.5: 77.2%
- GPT-5.1: 76.3% (Simon Willison’s Weblog)
→ Claude Sonnet 4.5 がわずかにリード、Gemini 3 Pro はほぼ同等の水準
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LiveCodeBench Pro(競技プログラミング系)
- Gemini 3 Pro: 2439
- GPT-5.1: 2243
- Claude Sonnet 4.5: 1418(Simon Willison’s Weblog)
→ アルゴリズム/競プロよりのコーディングでは Gemini 3 Pro がかなり強い印象。
また、LMArena のような総合評価サイトでも Gemini 3 Pro は現時点でトップに来ていると報告されています。(The Verge)
まとめると:
- バグ修正・レガシー修正系なら依然 Claude Sonnet 4.5 も強い
- 新規実装・フロント寄り開発や競プロ系だと Gemini 3 Pro がかなりいい線
- いずれにせよ「トップ層の 1 モデル」になったのは間違いない
「短いプロンプトで空気を読んでくれる」感
Google 側の説明だと、Gemini 3 Pro は
- ゼロショット生成・シングルプロンプト生成の性能をかなり上げている
- 「vibe coding(ザックリ指示から UI をいい感じに作る)」に特化している(blog.google)
「短い指示から背後の文脈を推定してくれる」「空気を読むレベルまで来た」といったことが期待されます。(note(ノート))
Deep Think モード:長考+マルチモーダル強化
Gemini 3 Deep Think は、従来の「長考モード(ゆっくり考えてから答える)」をさらに強化したオプションです。(blog.google)
特徴:
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回答前に追加ステップで「思考」することで
- 難しい数学・科学問題
- 複雑なプログラミング課題
- 創造的なプランニング
をより高精度に解く
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Humanity’s Last Exam, GPQA Diamond, ARC-AGI-2 などで Pro 版をさらに上回るスコアを記録(blog.google)
提供形態:
- まずは Google AI Ultra サブスク向けに順次展開予定(当面はテスター中心)(ケータイ Watch)
開発者視点だと、
- 「ここ一発をしっかり考えてほしいテスト生成」
- 「重要な意思決定前の案出し」
みたいな場面で、コストをかけてでも使う「重めの推論モード」というポジションになりそうです。
いま試せる:Google AI Studio で Gemini 3 Pro に触る
1. セットアップ
- ブラウザで Google AI Studio にアクセス
- Google アカウントでログイン
- 新しい「チャット」または「Playground」を作成し、モデルとして Gemini 3 Pro を選択(Google DeepMind)
※無料枠でもある程度は試せますが、本格的に使う場合は有料プラン(Google AI Pro 等)が前提になります。
2. コーディングの試し方(ミニチュートリアル)
例えば、次のようなプロンプトを 1 発投げてみると挙動が分かりやすいです:
Next.js + TypeScript で、Github の Issue 一覧を表示するシンプルなダッシュボードを作りたいです。
- GitHub API v3 を使う
- リポジトリとステータス(open/closed)を指定できるフォームをつける
- ページネーション付きのテーブルで結果を描画する
必要なファイル構成と、各ファイルのコードを出してください。
出力:

ポイント:
- いきなり「要件+技術スタック」をまとめて投げても、かなりいい形でファイル分割まで提案してきます(vibe coding 的な使い方)。(blog.google)
Antigravity 概要:VS Code 派生の「エージェントファースト IDE」
Gemini 3 と同時に発表されたのが、Google 製の AI IDE Antigravity です。(blog.google)
ざっくり言うと:
- VS Code 派生のデスクトップ IDE
- エージェントがエディタ / ターミナル / ブラウザに直接アクセスしてタスクを自律的に実行
- その作業内容を Artifacts(タスクリスト・計画・スクリーンショット・ブラウザログなど) として残してくれる(The Verge)
また
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Gemini 3 Pro, Claude Sonnet 4.5, GPT-OSS(120B) などが無料で使えるようになってます
IDE の構成:
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Editor View
- 見た目はほぼ VS Code
- サイドパネルにエージェント、タブ補完、自然言語コマンドなど(Google Antigravity)
-
Manager View
- 複数エージェントを並列でオーケストレーションする「ミッションコントロール」的 UI(The Verge)
料金・利用条件:
- Windows / macOS / Linux 向けに パブリックプレビューで無償提供
- Gemini 3 Pro も「太っ腹なレートリミット」で無料利用可能(ハードに回すと制限に当たる)(The Verge)
まとめと今後のウォッチポイント
最後に、現時点での所感をざっくりまとめます。
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Gemini 3 Pro
- 推論・マルチモーダル・コーディングの総合力で「トップティアの 1 モデル」入り
- SWE-bench では Claude Sonnet 4.5 とほぼ同等、LiveCodeBench ではむしろリード(Simon Willison’s Weblog)
- 「短いプロンプトでも文脈を推定する」「vibe coding」が売りなので、フロント寄り開発やプロトタイピングと相性が良さそう
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Deep Think
- 重い推論・研究系タスク向けの「長考モード」
- まずは Ultra 向けの提供なので、日本からは少し遅れて触れるイメージ
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Antigravity
- VS Code 派生の「エージェントファースト IDE」
- Gemini 3 Pro / Claude Sonnet 4.5 / GPT-OSS をまとめて無料で試せるのがかなりおいしい
- エージェントが Editor / Terminal / Browser を横断して作業し、そのログを Artifacts として残すワークフローは、AI Agent 実務導入の良い実験場になりそう
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