【MCP】Playwright vs Chrome DevTools どっちを使う?実務経験から解説する使い分けガイド
こんにちは、とまだです。
フロントエンド開発でブラウザの動作確認、正直めんどくさいですよね。
コンソールエラーをコピーしたり、スクリーンショットを撮ってAIに渡したり。せっかくAIがコードを書いてくれても、最後の確認作業は相変わらず手動...という方も多いのではないでしょうか。
そんな悩みを解決してくれるのが、ブラウザを自動操作できる「MCP」です。
ただ、調べてみると Playwright MCP と Chrome DevTools MCP の2つがあって、「どっちを使えばいいの...?」と迷っている方もいるかもしれません。
この記事では、両方を実務で使ってきた経験から、それぞれの特徴と使い分けの基準を詳しく解説します!
実際の使い方については以下の動画で解説していますので、ぜひご覧ください!
忙しい人のために要約
この記事のポイントを4つにまとめました。
- Playwright MCPは Chrome、Firefox、Safariに対応したクロスブラウザ対応が強み
- Chrome DevTools MCPは Web Vitals分析などパフォーマンス分析も可能
- 通常の開発はChrome DevTools MCPで十分
- 他ブラウザ対応が必要な場合のみPlaywright MCPを使う
MCPの基本(初めての方向け)
MCP(Model Context Protocol) は、AIと外部ツールをつなぐための共通ルールです。
イメージとしては 通訳 に近いかもしれません。AIは賢いのですが、そのままではブラウザを操作したり、ファイルを読み書きしたりできません。MCPは「AIの言葉」を「ツールが理解できる命令」に変換してくれる存在です。
つまり、MCPを導入すると、AIに「このページを開いて」と言うだけで、実際にブラウザが動くようになるわけです。
導入も簡単で、Claude Codeならコマンド1つで使えるようになります。
# Chrome DevTools MCPの場合
claude mcp add chrome-devtools npx chrome-devtools-mcp@latest
# Playwright MCPの場合
claude mcp add playwright npx @playwright/mcp@latest
2つのMCPを簡単に紹介
それぞれのMCPの特徴も押さえておきましょう。
Playwright MCP(Microsoft公式)
Playwright MCPは、Microsoftが公式提供するブラウザ自動化ツールです。
もともとPlaywrightはE2Eテストで広く使われているライブラリで、そのMCP版という位置づけです。
最大の特徴は クロスブラウザ対応。Chrome、Firefox、Safari(WebKit)の3つのブラウザで動作確認ができます。
「Chromeで動いてたのに、Safariで崩れてる...」
こういった問題を、AIに指示するだけで検出できるわけです。
Chrome DevTools MCP(Google公式)
Chrome DevTools MCPは、Googleが公式提供するブラウザ自動化ツールです。
Chromeを作っているGoogle自身が提供しているため、DevToolsの全機能にアクセスできる深い統合が実現されています。
最大の特徴は パフォーマンス分析。Web Vitals(LCP、FID、CLS)の詳細な分析や、CPUやネットワークのエミュレーションなど、Playwright MCPにはない専用ツールが充実しています。
機能比較 - どこが違う?
では、両者の具体的な違いはどこにあるのでしょうか。基本機能はほぼ同じですが、「パフォーマンス分析」と「対応ブラウザ」の2点で大きく異なります。
ツール数と対応カテゴリ
現時点でのツール数は以下の通りです。
| MCP | ツール数 | 特徴的な機能 |
|---|---|---|
| Chrome DevTools MCP | 26個 | パフォーマンス分析系が充実 |
| Playwright MCP | 21個 | クロスブラウザ対応 |
正直なところ、多くの基本機能は同じです。具体的には、ブラウザを開いたり、中で操作をしたり、エラーメッセージを確認したり、スクリーンショットを撮ったりする機能があります。つまり、このあたりは共通しています。
そのため、違いが出るのは「パフォーマンス分析」と「対応ブラウザ」の2点に絞られます。
各カテゴリの詳細比較
具体的なカテゴリごとの機能を比較すると、以下のようになります。
| カテゴリ | Chrome DevTools MCP | Playwright MCP |
|---|---|---|
| 基本的なブラウザ操作 | ✅ 7ツール(click、fill、drag等) | ✅ 同等機能 |
| ページ移動・管理 | ✅ 7ツール | ✅ 5ツール |
| パフォーマンス分析 | ⭐ 3ツール(強み) | ❌ 標準機能にはなし |
| ネットワーク監視 | ✅ 2ツール | ✅ 1ツール |
| デバッグ機能 | ✅ 4ツール | ✅ 同等機能 |
| エミュレーション | ⭐ 3ツール(強み) | ✅ 1ツール(サイズ変更のみ) |
パフォーマンス分析の違い
Chrome DevTools MCPには、パフォーマンス分析に特化した専用ツールが3つ用意されています。
-
performance_start_trace:詳細なパフォーマンストレース -
performance_stop_trace:トレースの停止と分析 -
performance_analyze_insight:インサイトの自動生成
これらを組み合わせることで、Lighthouseよりもさらに詳細なボトルネック分析が可能になります。言い換えると、Webサイトの「健康診断」をAIが自動でしてくれるようなイメージですね。
たとえば、こんな感じで指示できます。
このページのパフォーマンスを測定して、
遅い原因を教えてください
Web開発を経験してきた私としては、パフォーマンス分析が一番面倒なところでした。そのため、ここをAIに任せられるのは非常に助かります。
さらに、エミュレーション機能も充実しています。
-
emulate:CPU速度やネットワーク速度の制限 -
resize_page:ビューポートサイズ変更
「3G回線でアクセスしたときにどうなるか」といった確認も、簡単に自動化できます。
クロスブラウザ対応
一方、Playwright MCPの強みはクロスブラウザ対応です。対応しているブラウザは以下の通りです。
- Chrome:フル対応
- Firefox:フル対応
- Safari:WebKit版で対応
- Edge:フル対応
私も個人開発で経験しましたが、CSSのflexboxがSafariだけで崩れるなど、ブラウザごとの互換性の問題があります。
こういった問題は Chrome DevTools MCPでは検出できないんですよね。
また、クライアントワークでは動作するブラウザの指定がある場合もあります。こういった場合は Playwright MCP を使うことになります。
トークン使用量の比較
機能面での違いを見てきましたが、もう一つ気になるのが「トークン消費量」ではないでしょうか。MCPを使うと、どれくらいトークンを消費するのか。実際に同じ操作を両方のMCPで実行し、比較してみました。
実験条件
実務に近いシナリオとして、ページ遷移3回、コンソールエラーの確認、スクリーンショット撮影を行うプロンプトを用意しました。
"https://school.learning-next.app/coupons" というサイトで、
もっとも割引率が高い講座を探し、そのページへ遷移。
その後「/docs」パスへ移動し、ドキュメントを確認。
各ページでコンソールエラー、meta description、デザインをチェック。
このプロンプトを、両方のMCPで実行しました。
結果
結果は以下の通りです。
| MCP | 初期コンテキスト | 実行後 | 増加分 |
|---|---|---|---|
| Chrome DevTools MCP | 54% | 68% | +14% |
| Playwright MCP | 52% | 64% | +12% |
Playwright MCPの方が若干少ないですが、ほぼ同等と考えて良いでしょう。
なお、MCP は使えるツールが多いと、それだけ読み込みに時間がかかるため、トークン消費量が増える可能性が高いです。
長期的に見れば Chrome DevTools MCP の方がトークン消費量が多くなる可能性がありますが、検証した限りでは大きな差はなかったため、便利な方を選ぶのが良いでしょう。
使い分けの判断基準
ここまでの内容を踏まえて、実際にどう使い分けるかをまとめましょう。
Chrome DevTools MCPを選ぶべき場面
通常のフロントエンド開発では、Chrome DevTools MCPで十分です。特に以下の場合は、Chrome DevTools MCPが適しています。
- パフォーマンス最適化が必要: Web Vitalsの詳細分析が可能
- Chromeのみで開発: 個人開発や、対象ブラウザがChromeのみのプロジェクト
- 詳細なエミュレーションが必要: CPU制限、ネットワーク制限のシミュレーション
また、Google公式なので、Chromeのアップデートにも即座に対応される安心感があります。
Playwright MCPを選ぶべき場面
一方、他ブラウザでの動作確認が必要な場合のみPlaywright MCPを使います。
- クロスブラウザテストが必要: Firefox、Safariでの動作確認
- クライアントワーク: 複数ブラウザ対応を求められる案件
- CSSの互換性チェック: Safari特有のレイアウト崩れなど
個人開発ではブラウザまで気にしないことが多いですが、企業向けシステムでは必須になることもあります。
基本的には両方に慣れておくのがベストです。
普段はChrome DevTools MCPを使い、リリース前の最終チェックでPlaywright MCPを使う、という流れがおすすめです。
Playwright MCP と Chrome DevTools MCP のセットアップ方法
最後に、セットアップ方法とよくある質問をまとめます。一緒に確認していきましょう。
セットアップ方法
主要なツールでの設定方法を簡潔に紹介します。
Claude Code での設定方法
コマンド1つで完了します。
# Chrome DevTools MCP
claude mcp add chrome-devtools npx chrome-devtools-mcp@latest
# Playwright MCP
claude mcp add playwright npx @playwright/mcp@latest
Cursor での設定方法
設定画面(Settings → MCP → New MCP Server)に以下のJSONを追加します。
{
"mcpServers": {
"chrome-devtools": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "chrome-devtools-mcp@latest"]
}
}
}
Playwright MCPも同様の形式で追加できます。
{
"mcpServers": {
"playwright": {
"command": "npx",
"args": [
"@playwright/mcp@latest"
]
}
}
}
VS Code(GitHub Copilot)
VS Codeの場合は、GitHub Copilotと連携してMCPを使用できます。まず、コマンドパレット(Ctrl+Shift+P)を開き、「MCP: Open User Configuration」を検索してください。
そこに、Cursorと同様のJSON形式で設定を追加します。設定の書き方は上記のCursorの例と同じ構造です。
なお、詳細は各MCPの公式リポジトリを参照してください。
MCP を使ったブラウザ操作でよくある質問
ここからは、よくある質問にお答えします。
Q: 開いていたChromeのタブを引き継げる?ログインは?
A: 残念ながら引き継げません。
どちらのMCPも、新しいブラウザインスタンスを起動します。既存のブラウザとは別のプロファイルになるため、ログイン状態は引き継がれません。
ただし、ログインフローをAIに指示すれば自動で実行してくれます。
本番環境のアカウントを使うことはおすすめしませんが、テスト用にだけ使うアカウントを用意しておけば、それなりに使えます。
サイトを開いて、ログインページへ移動して、
メールアドレスとパスワードを入力して、ログインボタンをクリックしてください
メールアドレスは「test@example.com」、パスワードは「password」としてください
私の場合、CLAUDE.mdにログイン手順を書いておき、毎回同じように実行しています。
ただし、2段階認証(2FA)が必要な場合は手動対応が必要です。
ログインシステムによっては突破できるかもしれませんが、うまくいかないことが多いのでおすすめしません。
また、ログインに使っている SaaS によっては、プログラム(MCP)でログインできない場合もあります。こういった場合は手動でログインを行う必要があります。
Q: ローカル開発環境でも使える?
A: もちろん使えます。
localhost:3000やlocalhost:8080など、ローカルサーバーに直接アクセスできます。そのため、開発中のアプリをすぐにAIでテストできます。
localhost:3000を開いて、
ホットリロード後の表示を確認して
このように、ローカル環境との連携も非常にスムーズです。
Q: 両方入れておいても問題ない?
A: 全く問題ありません。
両方をインストールしておき、用途に応じて使い分けることができます。それぞれ独立して動作するため、競合することはありません。
むしろ、両方入れておくと状況に応じて最適なMCPを選べるので便利です。私も普段から両方を入れて使い分けています。日常的な開発ではChrome DevTools MCP、リリース前の確認ではPlaywright MCPという使い方がおすすめです。
ただし、MCP は読み込むだけでトークンを消費(コンテキストを圧迫)するため、使わない場面ではオフにしておくと良いでしょう。
Claude Code の場合は /mcp コマンドから対象のMCPを選択し、Disable を選択することでオフにできます。
(有効化は Enable を選択)
╭──────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────╮
│ Chrome-devtools MCP Server │
│ │
│ Status: ✔ connected │
│ Command: npx │
│ Args: chrome-devtools-mcp@latest │
│ Config location: /Users/username/.claude.json [project: /Users/username/workspace/zenn-content] │
│ Capabilities: tools │
│ Tools: 26 tools │
│ │
│ 1. View tools │
│ 2. Reconnect │
│ ❯ 3. Disable │
╰────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────╯
Cursor の場合は、MCP の設定画面から対象のMCPを選択し、トグルをオフにすることで一時的に無効化できます。

まとめ
Playwright MCPとChrome DevTools MCPの使い分けについて解説しました。
似たようなMCPでしたが、その違いについて理解できたでしょうか?
色んな MCP が登場する中、この2つの MCP は特に開発でよく使われるため、使い分けを理解しておくと便利です。
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みなさんの AI 駆動開発のお役に立てれば嬉しいです。
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