Elixir で M5Stack CoreMP135 の液晶ディスプレイに図形を描く
本稿について
本稿では Elixir ライブラリ image を用いて M5Stack CoreMP135(以下、「CoreMP135」と呼ぶ)の液晶ディスプレイ(LCD)上に図形を描く方法について解説します。
拙稿 Elixir を M5Stack CoreMP135 上で動かす の内容に沿って Elixir を CoreMP135 にインストールしてあることが本稿の前提条件です。
Elixir スクリプト
次に示すのは、私が作成した Elixir スクリプト draw_circles.exs
です。
Mix.install([
{:image, "~> 0.54"}
])
import Bitwise
fb_width = 320
fb_height = 240
img = Image.new!(fb_width, fb_height)
img =
img
|> Image.Draw.circle!(160, 120, 50, color: "#0000ff")
|> Image.Draw.circle!(200, 160, 20, color: "#ff0000")
|> Image.Draw.circle!(120, 150, 30, color: "#00ff00")
{:ok, data} = Vix.Vips.Image.write_to_binary(img)
pixels =
for <<r::8, g::8, b::8 <- data>> do
r = r >>> 3
g = g >>> 3
b = b >>> 3
<<a, b>> = <<r::5, g::6, b::5>>
<<b, a>>
end
data = :erlang.list_to_bitstring(pixels)
File.open("/dev/fb1", [:binary, :write], fn file ->
IO.binwrite(file, data)
end)
このスクリプトを CoreMP135 内の適当なディレクトリにおいて elixir draw_circles.exs
コマンドで実行すると、LCD の表示が次のように変化します。
写真映りのせいで左下の円板が白く見えますが、実際には緑色です。
ソースコードの解説
5 行目をご覧ください。
import Bitwise
ビット操作演算子 >>>
を使用するために Bitwise
モジュールをインポートしています。
9 行目をご覧ください。
{:ok, img} = Image.new(fb_width, fb_height)
関数 Image.new!/3 を用いて、幅 320px、高さ 240px のキャンバスを作成しています。変数 img
には、構造体 %Vix.Vips.Image{}
がセットされます。
12-16 行をご覧ください。
img =
img
|> Image.Draw.circle!(160, 120, 50, color: "#0000ff")
|> Image.Draw.circle!(200, 160, 20, color: "#ff0000")
|> Image.Draw.circle!(120, 150, 30, color: "#00ff00")
関数 Image.Draw.circle!/5 を用いて、キャンバス上に 3 種類の円板を描いています。第 2 引数に中心の X 座標、第 3 引数に中心の Y 座標、第 4 引数に円の半径、第 5 引数は省略可能なオプションです。color
オプションには #rrggbb
形式で色を指定しています。
18 行目をご覧ください。
{:ok, data} = Vix.Vips.Image.write_to_binary(img)
関数 Vix.Vips.Image.write_to_binary/1 を用いて、構造体 %Vix.Vips.Image{}
をバイナリデータに変換しています。
このバイナリデータは、1 個のピクセルを 3 バイト(24 ビット)で表します。第 1 バイトが赤、第 2 バイトが緑、第 3 バイトが緑の値を表します。
20-27 行をご覧ください。
pixels =
for <<r::8, g::8, b::8 <- data>> do
r = r >>> 3
g = g >>> 3
b = b >>> 3
<<a, b>> = <<r::5, g::6, b::5>>
<<b, a>>
end
バイナリデータを CoreMP135 のフレームバッファに適合するピクセルデータのリストに変換しています。<<r::8, g::8, b::8 <- data>>
は、data
の先頭から 3 バイトずつを順に取り出して、1 バイトずつの 3 個の断片を変数 r
, g
, b
にセットしています。
23 行目の r = r >>> 3
はビット操作演算子 >>> を利用して 3 ビット右にシフトしています。これにより 24 ビットで表現されるフルカラーのピクセルデータが、16 ビットのピクセルデータに変換されます。例えば、ビットストリング 11001110
は 00011001
に変換されます。
25 行目以降のコードに関しては、Elixir で M5Stack CoreMP135 の液晶ディスプレイに色を塗る を参照してください。
備考
- 当初、本稿は「Elixir で CoreMP135 のフレームバッファを操作する②」というタイトルで公開されました。
参考文献
- Elixir Image で図形・文字描画 @RyoWakabayashi
- Elixir Comprehensions(内包表記) Bitstring generators @tbpgr
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