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【参加レポ】START UP EVERYTIME 1日目

2023/11/22に公開

はじめに

初めまして、ぬま です。
2023年11月21日、22日の2日間で開催されている START UP EVERYTIMEをオンライン視聴しています。
各セッションを視聴していて気になった点や学んだ点をまとめていきます。
本記事は1日目の参加レポートとなります。

想定読者

  • スタートアップのビジネスに関心がある人
  • アイデアの作り方に関心がある人

この記事で学べること

  • Think Biggerの手法によるアイデアの作り方
  • スタートアップビジネスの動向

本文

セッション1:世界を変える「ビッグアイデア」を生み出す方法──『Think Bigger』白熱講義 ビジネスリーダー編

登壇者

以下の4名

  • シーナ・アイエンガー (コロンビア大学 ビジネススクール教授)
  • 清水 正大(ZEALS 代表取締役CEO)
  • 渡辺 創太(Startale Labs CEO)
  • 三木 アリッサ(Cashi Cake,inc CEO)

セッション概要

本セッションは事前収録のコンテンツで、著者のシーナ・アイエンガーさんから著書の内容に関して説明があり、登壇者から質疑を行うような内容でした。

シーナ・アイエンガーさんの説明では具体的な事例をもとに、「ビッグアイデア」を誰がどのように生み出したのかを紹介されました。

『Think Bigger』の手法について

『Think Bigger』の手法では、

  1. 自分が解決するべき問いが何か
  2. 問いに対して他業界などで解決事例があるか
    を問うことで課題を解決するアイデアを生み出す手法のようです。(具体的には1,2の間に問いを分解するというステップがあります。)

20世紀を代表する経済学者のシュンペーターの言葉を引用しつつ、自由の女神、アイスクリーム製造機、フォードの自動車など様々な業界の「ビッグアイデア」が既存のアイデアの組み合わせであることが紹介されました。

例)アイスクリーム製造機
発明者
ナンシー・ジョンソン氏

解決する問い
「アイスクリームを安価で簡単に製造する方法は?」

分解した問い

  • 冷たい状態を保つには
  • かき混ぜる作業を早くするには
  • だまになるのを防ぐには

これらの問いに対して

  • 冷たい容器の中でかき混ぜる
  • ハンドルを付けてかき混ぜやすくする
  • ヘラに穴をあけてだまになるのを防ぐ
    のようにそれぞれの問いに対する解決策を組み合わせることで世界初のアイスクリーム製造機を発明しました。

『Think Bigger』とデザインシンキングとの違い

また、説明の中で『Think Bigger』の手法とデザインシンキングの手法との違いについても簡単に触れられていました。

『Think Bigger』は問いの分解と他業界の事例を応用することを前提としている手法に対して、デザインシンキングはブレストとプロトタイプのいてレーションを回す手法であるという点に違いがあると説明されていました。

予算が十分にあれば早い段階でプロトタイプを作るkとも良いが、『Think Bigger』の手法ではプロトタイプは後の工程でも良いと説明がありました。

質疑

登壇者からの質疑では、

  • 活用・実行するためのノウハウ
  • 日本のソフトウェア産業にどう活かせるか
    などが質疑されていました。

『Think Bigger』の手法は、アイデアの生成のためのフレームワークではあるが、アイデアの実行フェーズでも活用できると回答されていました。

また、日本のソフトウェア産業への活用としては、現代のソフトウェア産業においては知識の多様性・異質性が必要であるということを説明されていました。
著者は京都大学でも学んでいた時期があるようで、日本人は正確性に優れている一方で知識や経験が異なっている点を理解するのが苦手に見えると言われていました。
この点が他業界の成功例を転用するという点に聞いているのかもしれないと感じました。

『Think Bigger』の要点まとめ

『Think Bigger』の手法でビッグアイデアを出すプロセスは、

  1. 問いの立案
  2. 問いの分解
  3. 分解した問いに対する解決策の調査(可能なら複数)
  4. 調査結果の組み合わせ
    からなることが事例を交えて紹介されました。

所感としては、プロセス1で「スジの良い問いを考え続けること」、プロセス3,4の間で「他業界の成功例を抽象化し、自身の問いに転用すること」、が重要かつ難易度の高い点なのかなと感じました。

著者は『Think Bigger』のプロセスを実行するためのデジタルツールを開発していると紹介があったのでそちらについても情報をウォッチしていこうと思います。

https://www.amazon.co.jp/THINK-BIGGER-%25E3%2580%258C%25E6%259C%2580%25E9%25AB%2598%25E3%2581%25AE%25E7%2599%25BA%25E6%2583%25B3%25E3%2580%258D%25E3%2582%2592%25E7%2594%259F%25E3%2582%2580%25E6%2596%25B9%25E6%25B3%2595%25EF%25BC%259A%25E3%2582%25B3%25E3%2583%25AD%25E3%2583%25B3%25E3%2583%2593%25E3%2582%25A2%25E5%25A4%25A7%25E5%25AD%25A6%25E3%2583%2593%25E3%2582%25B8%25E3%2583%258D%25E3%2582%25B9%25E3%2582%25B9%25E3%2582%25AF%25E3%2583%25BC%25E3%2583%25AB%25E7%2589%25B9%25E5%2588%25A5%25E8%25AC%259B%25E7%25BE%25A9%25EF%25BC%2588NewsPicks%25E3%2583%2591%25E3%2583%2596%25E3%2583%25AA%25E3%2583%2583%25E3%2582%25B7%25E3%2583%25B3%25E3%2582%25B0%25EF%25BC%2589-%25E3%2582%25B7%25E3%2583%25BC%25E3%2583%258A%25E3%2583%25BB%25E3%2582%25A2%25E3%2582%25A4%25E3%2582%25A8%25E3%2583%25B3%25E3%2582%25AC%25E3%2583%25BC/dp/491006334X?&_encoding=UTF8&tag=numa2020-22&linkCode=ur2&linkId=75a4aa84d822a5790d3052d28d774f44&camp=247&creative=1211

セッション2:ファイナンス・エボリューション 〜資金調達の新たなデファクトスタンダード〜、セッション3:トップCVCに聞く、いま有力スタートアップに選ばれる条件とは?

登壇者

セッション2は以下の4名

  • 八木 智昭(タイミー 取締役 CFO)
  • 堅田 航平(五常・アンド・カンパニー CFO)
  • 宮城 徹(UPSIDER 代表取締役 )
  • 古山 威(みずほフィナンシャルグループ 戦略室 シニアコーポレートオフィサー)

セッション3は以下の4名

  • 堀 新一郎(Z Venture Capital 代表取締役社長 パートナー)
  • 中馬 和彦(KDDI 事業創造本部 副本部長)
  • 安元 淳(NTTドコモ・ベンチャーズ 代表取締役社長)
  • 志賀 康平(ユーザベース Marketing Division INITIAL Marketing Team Leader)

セッション概要

どちらもスタートアップに関するファイナンスについてのセッションでした。
セッション2は事業会社、金融機関の目線からスタートアップの資金調達動向について、セッション3はCVCの観点でスタートアップとの連携や環境の変化について、ディスカッション形式で進行されていました。

セッション2まとめ

  • 資金調達のやり方は毎年変わるのでデファクトスタンダードはない
  • 調達の動向としては調達額、調達社数ともに右肩上がりに伸びている
  • デットファイナンス(借入による調達)も増えている
  • デットファイナンスの実行タイミングはエクイティへの繋ぎ、または明確な資金使途が決まっている場合
  • デットファイナンスはエクイティに比べてロジック・ファクトが重視されている(エクイティではロジックがなくて良いということではない)

セッション3まとめ

  • CVC、アクセラレータが増えているのはスタートアップにとっては良い環境
  • 調達の課題としては、1回の調達額が大きくなり過ぎている傾向が見られる(大企業は1回で大きく投資したい、一方で、株式が薄まらないようにしないといけない)
  • 事業会社がピボットの妨げになることがある(事業会社はスタートアップはピボットするものと理解しないといけない)
  • CVCとしての組織的な工夫:CVCの強みを活かす。グループ会社の事例を徹底的に活用する
  • グループ会社から情報をもらう前に徹底的にGiveする
  • 社外とのネットワーキング:個人で行動する、立場で仕事をする人とは付き合わない

セッション2, 3まとめ

どちらもファイナンス視点のセッションのため、スタートアップに関するファイナンスの動向をざっくり理解することを目的に聴講。
徹底的にGive、ネットワーキングでの気をつける点などはエンジニアとしても意識したい内容であった。
私自身も情報発信やネットワーキングに慣れていないので、これからもGiveする姿勢で継続できればと思う。

セッション4:HONGO AI 2023

ファイナリスト

  • 高柴 慶人(株式会社ハイヤールー)
  • 吉角 裕一朗(株式会社コーンテック)
  • 棚瀬 将康(株式会社アークス)
  • 軍神 未来(株式会社 AI VOLT)
  • 韓 昌熙(カリスト株式会社)
  • 崎岡 豪(株式会社Carelogy)
  • 濱村 将人(PowderKegTechnologies株式会社)
  • 楠 剛毅(サマンサ株式会社)
  • 梅谷 翼(株式会社IGSA)
  • 金谷 智(株式会社LX DESIGN)

セッション概要

アーリーステージのスタートアップによるピッチコンテスト。

セッションまとめ

株式会社ハイヤールー

  • 解決する課題:エンジニア選考プロセスにおけるスキルの可視化
  • ソリューション:エンジニア採用プラットフォーム
  • 新規性・特徴:スキルとコミュニケーションの特性の見えるか。タイピングのログなどから思考性もある程度見れる点が新しい。
  • 所感:従来の選考プロセスで見えづらかったスキルを可視化できるのはシンプルに利点。チート対策なども考慮されていて良いサービスだと感じた。

株式会社コーンテック

  • 解決する課題:畜産業界のCO2排出量
  • ソリューション:アプリによる豚の体重の測定
  • 新規性・特徴:LiDERセンサーによる容積測定。計測にかかる時間を大幅に短縮できる。
  • 所感:業務を単純化した良い例だと感じた。一方で、課題として説明されていたCO2排出量という点とのつながりが弱い感じがした。(業界のことを知らないのでそう感じただけかもしれない。そうだとしたらすみません。。)

株式会社アークス

  • 解決する課題:生殖補助医療が増えているが、専門家不足・教育コスト・患者の負担(精神面、金銭面)などの課題がある
  • ソリューション:ロボティクスを活用した不妊治療
  • 新規性・特徴:DNAの損傷を判別した状態のアノテーションデータを自社で作成している。
  • 所感:画像AIの使い方としては一般的だが、ロボティクスまで踏み込んでソリューションを提供しようとしている点は、創業者の意思を感じて素晴らしいことだと感じた。

株式会社 AI VOLT

  • 解決する課題:(メモしきれず。。すみません。。)
  • ソリューション:LINEで会話や通話ができるバーチャルフレンド
  • 新規性・特徴:LLMのコストを減らす工夫を自社でしている。市場を素早く取る戦略。
  • 所感:音声通話も可能で愛着に特化するという点で突き抜けていて良いと感じた。競争が激しくなる市場だと思うのでコスト低減の工夫ができている点は会社としての優位性も後々出てくるかも?

カリスト株式会社

  • 解決する課題:医療画像データ不足
  • ソリューション:医療画像データのインフラになる
  • 新規性・特徴:創業者の業界知識(論文数など)、アプリではなくデータ流通のインフラに特化
  • 所感:重要な課題と感じる。ブロックチェーンを使った安全なデータ流通なども研究しているようなので、安全性を大きくアピールできると提携先も増えてくるのではないか。

株式会社Carelogy

  • 解決する課題:猫の医療の民主化
  • ソリューション:猫の顔画像解析による痛みの有無の判定
  • 新規性・特徴:表情分析の理論をもとに解析モデルを作成。同じ猫の術前術後のデータを用いて精度検証。
  • 所感:猫を飼っていたことがあるので馴染みが深い課題感だった。飼い主が日々行う写真を撮るという行動で来院を促してくれるのは動線があって良い。そのアプリを使って写真を取るインセンティブを強められるとより自然な動線を設計できるのではないか。

PowderKegTechnologies株式会社

  • 解決する課題:産業システムに対するサイバー攻撃の増加
  • ソリューション:ネットワークに接続するデバイスでペネトレーションテストの実行&自動修復
  • 新規性・特徴:ハードウェア提供のため導入が容易。イントラへの設置も可能。
  • 所感:ネットワークにつながる機器は今後増え続けるのは明らかなのでとても重要な課題。オフラインでのテストが可能な点は産業システムにとっては良い着眼点のように感じた。

サマンサ株式会社

  • 解決する課題:誰でも恋愛をし続けられるように
  • ソリューション:AIが相手のマッチングアプリ
  • 新規性・特徴:AIにも生活スタイルなどを持たせて圧倒的な人間らしさを確保。
  • 所感:着眼点が面白いと感じた。法規制や入れ込み過ぎないための工夫などガードレールの整備が重要になりそう。

株式会社IGSA

  • 解決する課題:高齢化社会による公的保険制度の持続可能性。
  • ソリューション:MCI(認知症の前、回復の可能性もある状態)の検出
  • 新規性・特徴:MoCA-Jというフレームワークで回答からMCIの確率を判定。今後は音声の発話データなども活用した検出を目指す。
  • 所感:社会的な意義が大きな取り組みであると感じた。一方でマネタイズ等は課題がありそう。

株式会社LX DESIGN

  • 解決する課題:学校教育の外部人材へのアクセス困難性
  • ソリューション:学校と外部人材のマッチングプラットフォーム
  • 新規性・特徴:抜けていたため聞けず。すみません。。
  • 所感:抜けていたため聞けず。すみません。。

HONGO AIまとめ

全体的な所感としては、社会問題に近いものからコンシューマー向けのサービスまで多様な提案がなされていて業界全体の盛り上がりを感じることができました。
技術的には、やはり画像処理、LLMのサービスが多く差別化をどのように行うかが今後のキモになるのではないかと感じました。

また、ピッチイベント後はシェイン・グウさんの講演と審査委員の方々のパネルディスカッションで終了となりました。
シェイン・グウさんの講演では、アカデミアから見た時の日本と海外の違い、日本の研究環境の課題などが紹介されていました。課題はあれど生成AIのような領域を日本人は面白がって使える所は良い点と言われていたのが印象的でした。

まとめ

個人的には最初に聞いたThink Biggerの講演が興味深く聞くことができました。
具体的な日々の業務でも問いを立てること、他業界の事例から学ぶなどを実践してみたいと思える内容でした。

長文となりましたが、最後までご覧いただきありがとうございます。

参考リンク

Discussion