㊗️

祝! レミュオールの錬金術師20周年!! Webブラウザから遊んでみた!!!

2024/04/29に公開

はじめに

皆さんはレミュオールの錬金術師というフリーゲームはご存知でしょうか。

http://inutoneko.jp/game/renkin/renkin_top.html

ゲームタイトル レミュオールの錬金術師
ゲームジャンル やりこみ系店舗経営シミュレーション
価格 無料(フリーウェア)
公開日 2004年4月29日
動作環境 Windows 95/98/Me/2000/XP/Windows 7(32bit/64bit) 日本語版+DirectX8.0a以上
CPU Pentium 133Mhz以上
メモリ 32MB以上
サウンドカード WAV.MIDI.mp3が再生できるサウンドカードや音源
制作ツ-ル NScripter
ゲーム画面サイズ 800×600(フルスクリーン可能)

無料で遊べるのに無限にやりこめる、非常に完成度の高いゲームです。
あと昔ダイソーで何故か100円で売られていたりしました。無料なのに。[1]

そんなレミュオールの錬金術師がなんと本日2024年4月29日に20周年を迎えました!!!!!!

20周年を記念して遊びたいところですが、レミュオールの錬金術師の動作環境にはWindowsしかないので、他のOSやスマホで遊びたいときに困ってしまいます。[2]
そこで今回はNSCripterのエミュレータOnscripter-Yuriを使い、Webブラウザから遊べるようにしてみました。

NSCripter

https://ja.wikipedia.org/wiki/NScripter

まず制作ツ-ルにもあるNSCripterとは何ぞやという話ですが、高橋直樹さんが開発・公開しているゲームエンジンです。
厳密にはスクリプトエンジンと呼ばれる、特にアドベンチャーゲームやビジュアルノベルを開発するために使われるものですが、犬と猫さんはこのツールを使って様々なシミュレーションを開発しています。

https://www.nscripter.com/

最新のNScripter2と旧版のNScripterがあり、レミュオールの錬金術師は後者で作られているのですが、この旧版のNScripterも2018年版、2015年版、2009年版[3]が存在します。

このNSCripterはWindowsでしか動かず、かつOSSではないので他のOSで動かすことが非常に難しいものになっております。
そこで登場するのがOSSなNScripter、ONScripterです。

https://github.com/ogapee/onscripter
https://web.archive.org/web/20230402195511/http://onscripter.osdn.jp/onscripter.html

ONScripterはNSCripterで作られたゲームを動かす非公式の互換エンジンです。
OSDNが管理しているドメインonscripter.osdn.jpで配布など行っていたものの、現在アクセスできないようですが、GitHubで開発は継続しているみたいです。

ただSDL1.2と古いSDLを使用しているため、最新のSDL2を使いたいところです。[4]
探してみたところ、SDL2機能を備えたONScripter-jhを見つけました。

https://github.com/jh10001/ONScripter-Jh

しかしながらこのONScripter-jhは情報が皆無ですし、開発も停止しているようです……。
なので今回はフォークされ開発が継続しており、Web版も公開しているOnscripter-Yuriを使用することにしました。

https://github.com/YuriSizuku/OnscripterYuri

このWeb版はWebAssemblyを使用しています。
ごちゃごちゃ書いてしまいましたが、ゲームエンジンNSCripterのOSSエミュレータのフォークのフォークのWebAssemblyを使い、Webブラウザから遊べるようにするわけです。

遊んでみた

https://www.vector.co.jp/soft/win95/game/se331645.html

まずはVector[5]からレミュオールの錬金術師をダウンロードします。

https://github.com/YuriSizuku/OnscripterYuri/releases

ここからonsyuri_v0.7.4_web.7zをダウンロードします。7zファイルなので展開するためには7-Zipが必要になります。

https://fonts.google.com/noto/specimen/Noto+Sans+JP

ONScripter(正確にはsdl2_ttf)ではTTFフォントが必要になるため、Noto Sans Japaneseを使います。
Get fontボタンを押した後、Download allボタンを押してダウンロードします。
必要なのはNotoSansJP-Regular.ttfだけなので、zipファイル内からコピーします。

https://caddyserver.com/

最後に各ファイルを取得するためにはWebサーバー上からonsyuri.htmlを開く必要があるため、Caddyをダウンロードしてきます。

C:\Users\inutoneko\Desktop>tree /F
...
C:.
│  caddy.exe
│  NotoSansJP-Regular.ttf
│  Noto_Sans_JP.zip
│  onsyuri_v0.7.4_web.7z
│  renkin.zip
│
├─onsyuri_v0.7.4_web
│  └─onsyuri_web
│      │  onsyuri.html
│      │  onsyuri.js
│      │  onsyuri.wasm
│      │  onsyuri_index.json
│      │  onsyuri_index.py
│      │
│      └─onsyuri
│          └─renkin
│                  arc.nsa
│                  default.ttf
│                  nscript.dat
│
└─renkin
        arc.nsa
        nscript.dat
        readme_1.47.txt
        renkin.exe
        簡易マニュアル.txt

以上、これでファイルすべて用意できました。
ONScripterはスクリプトファイルのnscript.dat、アーカイブファイルのarc.nsa、フォントファイルのdefault.ttfが必要になるため、onsyuri_v0.7.4_web\onsyuri_web内にonsyuri\renkinフォルダを作り、それぞれファイルをコピーしておきます。
NotoSansJP-Regular.ttfはコピーした後、名前をdefault.ttfに変更しておきましょう。

onsyuri_index.json
{
  "title": "renkin",
  "gamedir": "/onsyuri/renkin",
  "savedir": "/onsyuri_save/renkin",
  "args": [
    "--enc:sjis"
  ],
  "lazyload": false,
  "files": [
    {
      "path": "nscript.dat",
      "url": "/onsyuri/renkin/nscript.dat"
    },
    {
      "path": "arc.nsa",
      "url": "/onsyuri/renkin/arc.nsa"
    },
    {
      "path": "default.ttf",
      "url": "/onsyuri/renkin/default.ttf"
    }
  ]
}

そしてWeb版Onscripter-Yuriを起動するためにはonsyuri_index.jsonが必要になるため、このような感じのJSONファイルを用意しておきます。
onsyuri_index.pyを使えば簡単に生成できますが、使わなくても簡単に作れます。
一つ注意したい点として、オプションを渡さずに起動してしまうと文字化けしてしまうため、"args":["--enc:sjis"]で文字コードをShift_JISにしましょう。

> caddy file-server --root C:\Users\inutoneko\Desktop\onsyuri_v0.7.4_web\onsyuri_web --listen :8080

後はCaddyをファイルサーバーで起動して、

http://localhost:8080/onsyuri.html

Webブラウザからonsyuri.htmlにアクセスするだけです。

inutoneko
Copyright (c) 2004 犬と猫. All rights reserved.

免責事項

  • あくまでWebAssemblyのエミュレータとして動作しているため、セーブした時間の表示など仕様上どうにもならない箇所がいくつかあります
  • 一部ファイルが正常に読み込めないため、BGMが再生されなかったり、一部ボイスが再生されなかったりします
  • セーブをロードした直後は項目が正常に表示されなかったりします(Onscripter-Yuriの仕様?)
  • ゲームの著作権は犬と猫にあるため、Webで誰でも遊べるように第三者が公開することはできません

おわりに

これでWebブラウザを使いWebサーバーにアクセスできる環境であれば、いつでもどこでもレミュオールの錬金術師が遊べるようになりました。
20年の時を経て遊んでも、あの頃の面白さはそのままです。

もちろん20年経った今でも犬と猫さんはインディーゲームデベロッパーとして活躍しておりますので、興味がある方は最新のゲームを購入してみてはいかがでしょうか。

http://inutoneko.jp/
https://ci-en.net/creator/4600

https://inu-to-neko.booth.pm/
https://store.steampowered.com/developer/Starshipstudio
https://item.rakuten.co.jp/amisoft/c/0000000112/
https://www.dlsite.com/home/circle/profile/=/maker_id/RG05983.html
https://www.digiket.com/worklist/_data/ID=CIR0002639/

おまけ

20年前に使用していたWindows 2000にDVI端子がついていたため、普段使用しているディスプレイに接続しOpera 12.02を起動した写真

opera

2022年9月17日 1時30分頃撮影

当時自分の部屋に回線が引けなかったので、Jydivideでファイル分割してフロッピーディスクでこのPCに移動してレミュ金を遊んだ記憶

脚注
  1. 当時はインターネット回線があまり普及しておらず、使えたとしても速度も早くなく、時間課金が発生することも少なくなかったので、ダイソーに限らず、晋遊舎からWindows100%やiP!といったフリーソフトがCD-ROMに焼かれて付録として頒布された雑誌が刊行されていました ↩︎

  2. https://ja.wikipedia.org/wiki/レミュオールの錬金術師 2006年7月26日には携帯アプリ版がOtomuraSoftより公開され、2012年11月12日にAndroid版、2013年7月22日にiOS版が配信されていました ↩︎

  3. 使用条件.txtの「NScripterの使用条件について」に2013年追加されたもので、今でも/nscr.zipからダウンロードできるみたいです ↩︎

  4. https://web.archive.org/web/20230322181507/http://ver0.sakura.ne.jp/doc/sdl12.html ↩︎

  5. 株式会社ベクターホールディングスが運営しているソフトウェアダウンロードサイトのことで、数多くのフリーソフト、フリーゲームがここに集約されていました。「海洋レストラン☆海猫亭」など犬と猫さんが販売していたインディーゲームも取り扱っていました ↩︎

Discussion