📖

カイゼン・ジャーニーから学べるアジャイル開発のポイント

2024/09/27に公開

はじめに

「カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで」を読んだので、その中から気になったポイントについてまとめてみたいと思います。
現職では、書籍購入の制度があるので、気になっている書籍をチェックしてインプットできるので助かっています。

カイゼン・ジャーニーの概要

「カイゼンジャーニー」は、SIer企業に勤務するITエンジニアの江島を主人公とし、彼が1人から始めた業務改善の取り組みが、やがてチーム全体、さらにはクライアントを巻き込んだ大きな変革へと発展していく過程を描いています
カイゼンジャーニーの魅力は、プロジェクトで起きているかのような具体的なストーリーで、

例えば:
締め切りに追われる中での品質維持の難しさ
チームメンバー間のコミュニケーション不足
顧客の要求と開発チームの認識のズレ

これらの問題は、多くの開発者が「あるある」と感じるものばかりだなと思いました。

壁を乗り越える手法としてのアジャイル

物語の中で江島たちは、これらの壁に直面するたびに、アジャイル開発の手法を活用して解決策を見出していきます。

具体的には:
スプリントプランニング:優先順位の明確化と実現可能な範囲の設定
リファインメント: 次のスプリントの準備を整え、スムーズな開発サイクルを実現します。
デイリースクラム:日々の進捗共有による早期の問題発見
スプリントレビュー:定期的な成果物の確認による顧客との認識合わせ
レトロスペクティブ:継続的な改善のためのチーム振り返り

これらのイベントが、単なる形式的な会議ではなく、実際の問題解決にどのように貢献するかが、物語を通じて具体的に示されているように思いました。
一人一人のキャラクターや会話が具体的な開発現場が頭の中でイメージできるようになっていて、
その点も頭の中にスッと入ってくるポイントに感じました

スクラム開発に関して気になった「スプリントプランニング」「リファインメント」の
ポイントについて書いていきたいと思います。

スプリントプランニング

スプリントプランニングの重要性と効果的な実施方法について、具体的かつ実践的なアプローチが示されていました。

スプリントゴールの明確化

スプリントプランニングの要は、スプリントゴールを簡潔な言葉で明文化することです。これにより、チーム全員が共通の目標を持ち、焦点を絞った作業が可能になります。

ここでのポイント:

  • ゴールは一文で表現する
  • チーム全員が理解できる言葉を使う
  • プロダクトの価値向上に直結する内容にする

プロダクトバックログアイテムの選択

スプリントゴールに基づいて、達成すべき目的につながるプロダクトバックログアイテム(PBI)を選びます。

必要な作業の洗い出し
選択したPBIをもとに、具体的な作業タスクを洗い出します。この過程で重要なのは、価値を生まない中間成果物を排除することです。

この中で言われている中間成果物を考えてみました。

作成しない方が良い成果物の例:

  • 詳細な設計書(アジャイルでは最小限の設計で進める)
  • 長大な会議議事録(要点のみを記録)
  • 過度に詳細な仕様書(ユーザーストーリーをベースに最小に)

全員参加の見積もり

作業タスクの洗い出しが完了したら、メンバー全員で見積もりを行います。
これは単なる時間の見積もりではなく、タスクの理解を深め、リスクを洗い出す重要なプロセスとして紹介されています。

見積もりのポイント:

  • 時間単位で見積もる(理想的な作業時間)
  • 8時間を超えるタスクは分割を検討
  • チーム全員の参加を促し、多角的な視点を得る

学びと気づき

この章で特に印象的だったのは、スプリントプランニングを通じてチームの一体感が醸成されていく様子です。
単なる作業の割り振りではなく、チーム全体でプロダクトの価値を高めるための議論の場として機能しています。
中間成果物の削減に関する提案は、不要な成果物を見直し、真に必要なものだけを残すことで、
開発の効率を大幅に向上させることができそうだなと思いました。

リファインメント

プロダクトバックログのメンテナンス

リファインメントは、プロダクトバックログを常に最新かつ最適な状態に保つことが大事で、
これにより、次のスプリントをスムーズに開始できるだけでなく、プロダクトの方向性を常に最適化できると紹介されています。

メンテナンスの内容:

  • 見積もりの再評価
  • 優先順位の変更
  • 新たな要求やアイデアの詳細化
  • バックログアイテムのReadyな状態への準備

柔軟なタイミングと実施方法

カイゼンジャーニーでは、リファインメントの実施タイミングと方法について、
チームの自律性を重視していると感じました。

ポイント:

  • 実施タイミングは固定せず、必要に応じて柔軟に行う
  • 実施方法はチームで決定する
  • スプリント作業量の約10%をリファインメントに充てる

現在のスプリントへの配慮

リファインメントは重要ですが、現在進行中のスプリントの目標達成を妨げないようにバランスを取ることが重要と説明されています。

実践のヒント:

  • リファインメントの時間を予めスプリント計画に組み込む
  • 緊急度の高い作業がある場合は、リファインメントを短縮または延期する
  • リファインメントで得た新しい知見が現スプリントに影響する場合は、慎重に対応を検討する

学びと気づき

リファインメントの柔軟性と重要性のバランスを大事にして形式にとらわれすぎず、
かつ軽視もしないという姿勢は、アジャイル開発に必要な姿勢なのかなと思いました。

今回読んだ内容をプロジェクトのスクラムイベントに役立てられるように考えてみたいと思います。

今回読んだ書籍:
https://kaizenjourney.jp/

Discussion