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過渡現象って何それ美味しいの?

2024/04/09に公開

はじめに

過渡現象とは

過渡現象はざっくり、回路が定常状態に移行している間に起こる現象のことです。
定常状態と言うのは、回路が安定している状態のことです。
補足すると、この移行期間に電圧や抵抗といった各パラメータが地震計のジクザグのように不規則に変化している場合に過渡現象が起きていると言えます。
(抵抗をつないだ交流電圧の波形について、途中で値を変化させると波形が崩れるので、過渡現象が起きていると思われがち。実際は三角波として周期的な変化をしているため違う!

なぜ起きるのか

回路の開閉動作や起電力などが変化すると、回路の定常状態がくずれるため、このバランスを安定させようと各部の電圧や電荷が変化します。
この、新しい定常状態を確立させる時に、過渡現象が起きるか否かは「回路がエネルギーを蓄積するか」に左右されます

回路定数が抵抗のみの回路

つまり電源や抵抗、スイッチのみで構成されている回路の場合、この過渡現象は起きないです。
抵抗値や電圧が変化しても、回路はエネルギーを蓄積しないので、一瞬で新しい定常状態が確立されます。
定常状態への移行ラグが無いため、過渡現象も生じません。

エネルギー蓄積する素子が含まれる回路

しかし、回路にコイルやコンデンサなどが加わると、過渡現象が生じます。
何故ならこいつらインダクタンスと静電容量はエネルギーを蓄えることが出来るため、エネルギーによる作用を受ける前にエネルギーをちゅうちゅう蓄えてしまいます🍹
その結果、新しい定常状態まで移行ラグが発生してしまいます。

また、これは私なりの理解ですが、これらの素子を含む回路にて、電圧・電流を表す際にこれらの素子は微分形・積分系で表されることも影響しているでしょう。
例えば、抵抗R, コイルL, コンデンサC が接続された回路にて、電流iを流した時にかかる電圧Eは以下のように表されます。

E = R i + L \frac{di}{dt} + \frac{1}{C} \int{i dt} \tag{1}

変化時間をtとすると、このように式に微分・積分が含まれている場合、過渡現象を起こさないようにdtを0に近づけてしまうとどうなるでしょう?
式(1) 中のLにくっ付いている微分の分母が0となり、係数Lの項が\pm \infinとなってしまいます。

つまり、過渡現象を起こさないように回路定数を瞬間変化させようとすると、電圧\pm \infinがコイルにかかってしまい、回路がぶっ壊れてしまう!
こういうことです。

なぜ過渡現象を知る必要があるのか

上の説明でなんとなく分かるかもしれません。
過渡現象を考慮しない場合、素子に過電流が流れたりするリスクがあるのです。
精密機械にはコイルやらコンデンサやらトランジスタやらこんな素子がふんだんに使われているため、過渡現象のオンパレードです。

つまるところ過渡現象を考慮しない場合、回路がぶっ壊れることがあります!!
以上! どうも!ありがとうございました🙇

まとめ

  • 過渡現象は回路定数が変化したときに安定するまでの間に起こる現象
  • 回路がエネルギー蓄積するかで現象が起こるか否か分かる
    • 回路定数が抵抗のみの時は発生しない
    • コイルやコンデンサが含まれている回路で生じる
  • 過渡現象を勉強しないと回路がぶっ壊れるぞ⭐

次回はいよいよ過渡現象を解いていきたいと思います。
なかなか続きが投稿されないときは私のTwitter DMにて文句言ってください。何卒。

それでは👋

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