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ANTLR4のインストールとセットアップ 〜ANTLR入門 その1〜
ANTLRとは?
ANTLR(Another Tool for Language Recognition)は、構文解析器を生成する、パーサジェネレータもしくはコンパイラコンパイラと呼ばれるツールでです。主にプログラミング言語やデータフォーマットのパーサーを作成するために使用されます。ANTLRで文法を定義すると、その文法からJavaなどの構文解析のためのプログラムを自動生成できます。
ANTLRのターゲット言語
ANTLRが構文解析器を生成できるターゲット言語は以下の通りです:
- Java
- C#
- Python
- JavaScript
- TypeScript
- C++
- Swift
- Go
- PHP
- Dart
ANTLRの用途
ANTLR(Another Tool for Language Recognition)は、主に以下の用途で使用されます:
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プログラミング言語のパーサー作成:
新しいプログラミング言語やDSL(ドメイン固有言語)の構文解析器を作成するために使用されます。 -
データフォーマットのパーサー作成:
JSON、XML、CSVなどのデータフォーマットを解析するためのパーサーを作成できます。 -
トランスパイラ:
あるプログラミング言語から別のプログラミング言語への変換ツールを作成するために使用されます。 -
コード解析ツール:
ソースコードの静的解析ツールやリファクタリングツールを作成するために使用されます。 -
コンパイラ:
プログラミング言語のコンパイラの一部として、構文解析フェーズを担当します。
ANTLRのインストール
ANTLRを使用するためには、まずJavaがインストールされている必要があります。Javaをインストールし終えたら、以下の手順でANTLRをインストールします。
- ANTLRのJARファイルをダウンロードします。バージョンはANTLRのダウンロードページで確認してください
cd /usr/local/lib curl -O https://www.antlr.org/download/antlr-4.13.2-complete.jar
- 環境変数を設定して、ANTLRを簡単に実行できるようにします。
export CLASSPATH=".:/usr/local/lib/antlr-4.13.2-complete.jar:$CLASSPATH" alias antlr4='java -jar /usr/local/lib/antlr-4.13.2-complete.jar' alias grun='java org.antlr.v4.runtime.misc.TestRig'
ANTLRの使い方
ANTLRを使用して四則演算をパースする方法を紹介します。
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文法ファイルの作成
適当なディレクトリを作成し、Arithmetic.g4
という名前の文法ファイルを作成します。Arithmetic.g4grammar Arithmetic; expr: expr op=('*'|'/') expr | expr op=('+'|'-') expr | NUMBER | '(' expr ')' ; NUMBER: [0-9]+ ('.' [0-9]+)?; WS : [ \t\r\n]+ -> skip;
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文法ファイルからコードを生成
ANTLRを使用して文法ファイルからJavaコードを生成します。antlr4 -visitor Arithmetic.g4
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生成されたJavaファイルをコンパイル
生成されたJavaファイルをコンパイルします。javac Arithmetic*.java
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パーサーを実行
ANTLRのテストリグを使用して、四則演算を解析できるかテストしてみます。Ctrl+D
で入力を終了させると、入力された式がパースされ、結果のウィンドウが表示されます。grun Arithmetic expr -gui 3 + 5 * (2 - 8) Ctrl+D # 入力を終了させます。
これで、ANTLRを使用して四則演算をパースする基本的な手順が完了しました。次回は、このパーサを使用して四則演算の式を評価する方法について説明します。
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