ITエンジニア転職に役立つ、採用担当者の目線
はじめに
ITエンジニアのみなさん、転職活動中に悩んだり迷ったりした経験はありませんか?
筆者は昨年(2024年)、初めての転職活動を経験しましたが、応募から選考まで、常に「これでいいのだろうか?」という不安がつきまとっていました。
特に、求人内容や面接に関して疑問が生じた際、インターネットで情報を調べても「これは自分の立場に合っているのか?」と判断に迷い、かえって不安が増すこともしばしばありました。
そこで「採用担当者のため」と明言している書籍を手に取りました。
※採用担当者がITエンジニアを採用するために社内でどのような活動をしているのか、何を目指すべきなのかを知りたい方には、ぜひご一読ください!この記事の目的
採用担当者がエンジニア採用のために何を重視し、どのように募集や選考を進めているのかを理解することで、応募者としての立ち位置も見えやすくなります。
この記事では、採用担当者の視点を知ることで、転職活動の不安や疑問を少しでも解消していければと思います。
募集活動
スカウト施策
使っている転職サービスによって異なりますが、長文のスカウトメールを受け取った経験がある方も多いのではないでしょうか。
例えばこんなメッセージを受け取ったとします。
件名:【スカウト】〇〇様へ:フルリモート可!C#・TypeScript経験活かすWeb開発リーダー募集
〇〇様
突然のご連絡失礼いたします。株式会社△△の採用担当□□と申します。
〇〇様のWebアプリ開発5年のご経験(C#・TypeScript)とリーダーシップに感銘を受け、ご連絡しました。新しい技術への意欲、採用業務へのご興味も大変魅力的です。
弊社では「[自社サービスの簡単な説明]」を開発しており、フルリモートで開発チームを牽引いただける方を求めています。
まずは、オンラインでのカジュアル面談でざっくばらんにお話ししませんか?
ご多忙と存じますが、ご検討いただけますと幸いです。
ここで注目してほしいのは、以下の3点です。
- 自分に向けて送っているのか
Webアプリ開発5年のご経験(C#・TypeScript)とリーダーシップ
新しい技術への意欲、採用業務へのご興味
この説明が自分に適しているか、確認してください。
-
なぜ相手は自分を採用したいと思ったのか
このサンプルだと、採用担当者は自分のどこを魅力に感じてスカウト文を送ったのかが分かりにくいですね。
前述の人物の説明と合わせて、パーソナライズが不十分な場合、大量送付された文章である可能性があるので注意してください。 -
相手企業の魅力はどこにあるのか
弊社では「[自社サービスの簡単な説明]」を開発しており、フルリモートで開発チームを牽引いただける方を求めています。
このサンプルだと短い説明で済ませていますが、他社と比較して何が魅力なのかを考えてから応じるようにしましょう。
人材エージェントの利用
エージェントを利用するメリット
人材エージェントを利用する時に、不安になることはありませんか?
都合のいい求人を紹介されたり、時には自分の希望と全く違う求人を紹介されたりして、時間を浪費したり、自分に合わない職場に就職することになってしまうのではないかと考える人もいると思います。
ですが、人材エージェントは単なる仲介業者ではなく、求職者と企業の間に立ち、ミスマッチを減らす役割を果たしています。企業・求職者双方に以下のようなメリットがあります。
企業側のメリット:
- 採用要件が曖昧でも、エージェントが言語化を手伝い、適した人材を提案してくれる
- 採用市場の動向や応募者の傾向についての知見を得られる
求職者側のメリット:
- 自分に合った企業を複数提案してもらえる
- 選考対策や面接後のフィードバックを受けられる
筆者も家庭の事情に合わせて応募する企業の条件について相談に乗ってもらったり、求人票に記載されている技術要件とは少し異なるものの求めるマインドが近いという理由で求人を紹介してもらったり、直接企業に応募していては得られなかったメリットを享受しました。
一つのエージェントが全ての企業の求人を握っているわけではないので、なかなか決まらない時は思い切って他のサービスを使うのも一つの手段です。
料金
お金の流れが見えず、モヤモヤしたまま利用するのも精神衛生上良くないので、知識として理解しておきましょう。
人材エージェントは、企業が採用を成功させたときにだけ費用が発生する「成功報酬型」のビジネスモデルが主流です。紹介手数料は理論年収の35〜40%が相場とされており、金額としては小さくありませんが、エージェントの専門性やネットワークの価値を見込んで、多くの企業が積極的に利用しています。
カジュアル面談
目的
カジュアル面談は以下の目的で実施されます。
- 応募を検討してもらうための情報提供
- 自社に興味を持ってもらうためのアピール
- ミスマッチを未然に防ぐ
実施のタイミング
- 転職活動中の求職者
- スカウト等で企業側から声をかけた場合
- まだ転職を具体的に考えていない層との接点づくり
こんなことがあったら…?
単なる面談であり選考ではないので、選考のような質問をされたり、実施後に「不合格」といった連絡をされることは、本来カジュアル面談で行われるべきことではありません。
ですが、採用担当や選考官が選考かどうかを意識しておらず、合否を出すことはあります。不合格だったとしても、そもそも合わない企業だった考えて次に進みましょう。
選考活動
書類選考
履歴書・職務経歴書に加え、エンジニア職であればGitHubなどのアウトプット、デザイナー職ではポートフォリオなども対象となります。
目的は「一定の基準でふるいにかけること」であり、選考の精度よりも効率が重視されがちです。
構造化面接
全応募者に同じ質問を行い、統一された基準で評価することです。
いわゆる面接対策で準備しておくのがこの質問にあたります。
構造化面接の質問かどうか考えてから答えるだけでも緊張がほぐれるので、どんな質問があるか・どんな回答をするか考えておきましょう。
「構造化面接 評価基準」というワードで検索すると、面接官がどんな評価をするのか、参考例が出てくるのでよりイメージが湧きやすくなると思います。
一般認識能力テスト
批判的思考力や論理的推論力などを測るアセスメントです。サービスにより測定項目は異なります。
事前にサービス名が分かる場合は調べておきましょう。
筆者は問題を解く形式の能力検査だと思って緊張しながら臨んだ結果、心理テストで拍子抜けした経験があります。
リファレンスチェック
求職者の元同僚・上司など第三者から勤務態度やスキル、人物像などを確認する手法。多くは内定直前の最終チェックとして実施されます。求職者の同意を得たうえで行われるのが原則です。
エンジニアリングに関する選考手法
- コーディング試験
- 技術コンテスト
- 技術資格の保有
- ポートフォリオ、OSS活動、勉強会・技術記事の実績など
志望度の確認
なぜ志望度を聞かれるのか?
志望度が選考に影響すると考える人もいるかもしれませんが、この質問は「入社後にしっかり活躍・定着してもらえるかどうか」を見極めたいという意図があります。
違和感を覚えるケース
企業側からの魅力的な説明がないまま志望度を尋ねられると、「企業側から特に働きかけがなくても興味を持つ人か」を試されているように感じる場合がありますが、それは企業側が意図せずに質問をしている可能性があります。
もしかしたら志望度の裏にある別の能力を測っているのかもしれませんが、一般的な意図を理解しておくことで、突然尋ねられても冷静に答えられることがあるでしょう。
終わりに
転職活動では、忙しい日々の中で限られた時間をやりくりする必要があるため、つい場当たり的に応募や選考を進めてしまいがちです。しかし、相手である企業の視点や採用プロセスの背景を理解することは、より良い選択をするための重要なステップです。この記事が、そんな中で「相手の立場を知る」という視点から、一歩立ち止まって考えるきっかけになれば幸いです。
企業によっては、採用活動が片手間に見えることもあるかもしれませんが、実際には事業や組織の将来を見据えた重要な活動です。
私たちの会社では、企業の人材採用と、それを含む組織づくりの方法を変え、より創造的に働ける社会を目指す事業に取り組んでいます。
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