業務フロー図の描き方チュートリアル:採用フローを例に
業務改善やシステム導入を検討する際によく利用されるのが「業務フロー図」です。実は書き方にはさまざまな方法があり、ISOによる国際規格も定義されています(詳しく知りたい方は調べてみてください)。
本記事では、その中でも実際の業務改善で役立つ業務フロー図の活用方法と書き方を紹介します。
1. はじめに
業務フロー図は、仕事の流れを図にして整理する方法です。
中でもスイムレーン図は、部門や担当者ごとにレーンを分け、「誰が何をしているか」「どのツールを使っているか」を明確にできるのが特徴です。
この記事では「採用フロー」を題材に、実際に図を描きながら、現状フロー → 問題点の整理 → 改善後フロー の手順を学んでいきます。
2. 業務フロー図を描く準備
フローを書く前に、次の4つを整理します。
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登場人物(部門・担当者)
- 候補者、人事担当、面接官
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大まかな業務(処理)の流れ
- 応募 → 管理 → 日程調整 → 面接 → 評価
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利用しているツール/サービス
- メール、Excel など
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フロー図の凡例を定義
- 四角:業務/処理
- 矢印:業務の流れ
- レーン:担当部門・人物
- 右側の枠:利用ツール/サービス
図の凡例(例):

→ 今回は「右側にツール/サービス枠」を設け、どんな仕組みを使っているかを明示します。
3. Step1: 現状の業務フローを描く
まずは、現状業務のヒアリング調査等を行い、ありのまま図にしていきます。

ポイント:
業務フローは、扱う範囲が広くなるほど図が複雑になり、ツールやアプリで最初から清書しようとすると時間や労力がかかってしまいます。そこで、まずは紙やホワイトボードに手書きで全体像を描き、ざっくり全体像をイメージしてからツールで整理すると、無駄な手戻りを減らせます。
4. Step2: 問題点を図に書き込む
次に、現状のフロー図に「赤字コメント/付箋」を入れて問題点を書き込むと、改善ポイントが見えやすくなります。
例:
- 人事担当に作業が集中
- 候補者がメールの往復に時間を取られる
- 面接官の評価方法がバラバラ
- ツールが分散して管理が煩雑

5. Step3: 改善後のフローを描く
次に、改善策を取り入れたフローを描きます。

改善後のフローで示したツール/サービスの各ユースケースは、自社でシステム開発する場合にはそのまま要件となり、他社システムを導入する場合には比較・検討の基準として活用できます。
6. Step4: As-Is/To-Be を比較する
現状(As-Is)と改善後(To-Be)を並べて見ることで、改善の効果を具体的に示せます。
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As-Is
- メールやExcelが散在し、人事に負担集中
- 候補者対応が遅れがち
- 評価基準が不統一で選考の公平性に課題
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To-Be
- ATSに一元化 → 工数〇〇%削減、候補者体験向上
- 評価フォーム統一 → 公平性が担保される
- 人事は「調整」から「戦略」にシフト可能
効果を示す際は、作業負荷の低減など数値化できる項目は、できる限り定量的に算出しておくと説得力が増します。
7. まとめ
- スイムレーン図を使うと、「誰がどの業務をどのツールで行っているか」を明確化できる
- 現状 → 問題点 → 改善後 → 効果 の流れで描くと、改善ポイントを関係者に共有しやすい
- フローの比較は「説得材料」としても有効。特に改善提案、新システム導入時には、改善の効果を定量的・定性的に示せる
👉 業務フロー図を描く際は、まず身近でシンプルな業務を題材にするのがおすすめです。手書きでも構わないので描いてみると、業務の流れが整理され、改善点が見えてきたりするかもしれません。
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