next/imageのホワイトリストに共用ドメインを指定するときに注意すること
next/imageは画像を最適化してくれるNext.jsビルトインの機能です。
サイト内外を問わず圧縮リサイズなどがお手軽に出来て便利ですが、注意が必要なパターンもあります。
TL;DR
- 外部画像を最適化する場合、最適化を許可する画像URLのドメインを
next.config.js
のimages.domains
に指定する(ホワイトリスト方式) - クラウド系ストレージ(Storage as a Service)等を利用していて、サブディレクトリでテナントを切り分ける方式の場合、任意のテナントの画像を表示・圧縮し放題
- 例:Google Cloud Storage(storage.googleapis.com)
- もちろんCPUリソースは自分のところのものが使われる
- しかも自分のサイトのドメインのコンテンツとして発信される
- 現在の対策はストレージに独自ドメイン割り当てるか画像URLをプロキシするかぐらい?
-
ホワイトリストの詳細指定はNext.js 12.1.7で試験的に対応予定?- 2022/06/30追記:v12.2.0にてホワイトリストの詳細指定が試験的に実装されました
next/image?
next/imageは画像の各種最適化を行ってくれるコンポーネント、API、Functionを提供してくれるNext.jsビルトインの機能です。
デフォルトではNext.jsサーバーで最適化を行いますが、設定によってimgixなどの画像処理系サービスの利用も可能です。
前提:外部画像の利用
サンプルを用意しました。
かわいいワンちゃんですね。
create-next-appしたNext.jsプロジェクトに、Google Cloud Storageに置いた自分の画像を表示しています。
元画像: https://storage.googleapis.com/nextjs-arbitrary-image-path/wanchan.jpg
外部URLの画像をnext/imageで使う場合、画像URLのドメインをホワイトリスト登録する必要があるので、下記のようにnext.config.jsを作成しました。
module.exports = {
images: {
domains: ['storage.googleapis.com'],
},
}
<Image src="https://storage.googleapis.com/nextjs-arbitrary-image-path/wanchan.jpg" alt="ワンちゃんが海辺を走っている画像" width={640} height={427} />
問題:第三者の画像を最適化できる
ここで、サンプルで表示されている画像(next/imageで最適化している画像)のURLは下記です。
https://nextjs-arbitrary-image-path.vercel.app/_next/image?url=https%3A%2F%2Fstorage.googleapis.com%2Fnextjs-arbitrary-image-path%2Fwanchan.jpg&w=1920&q=75
末尾にurl
というクエリで画像のパスが指定されています。
それでは、別のバケットにおいた下記画像をurl
に指定してみます。
https://storage.googleapis.com/nextjs-arbitrary-image-path-2/nekochan.jpg
なんと、猫ちゃんが表示されました。悪そうですね。
このように、第三者が自由な画像を表示させる事ができてしまいます。
しかも表示されているのは自分のサイトのドメインで、圧縮などの最適化に使われるCPUリソースも自分持ちです。
今回は猫ちゃんだからよかったものの、💀や🔞な画像だったら大変なことになるケースもありますね。
考えうる悪用ケース
- 信頼あるドメインの場合、フィッシング詐欺の入り口として
- 画像最適化サーバーとしてリソースのタダ乗り
原因:サブディレクトリ方式によるテナントわけ
本来表示していた画像の元のURLは https://storage.googleapis.com/nextjs-arbitrary-image-path/wanchan.jpg でした。
Google Cloud Storageの場合、https://storage.googleapis.com/{バケットID}/{パス・ファイル名} というURL構成になっており、サブディレクトリでバケットを切り分けています。
Next.js側でホワイトリストとして登録できる情報は今のところドメインのみなので、storage.googleapis.com
を指定するしかありません。
つまりサブディレクトリ以下は、自他に関わらず、全てのGoogle Cloud Storageバケットが許可されていることになります。
解決策
先述の通り、next/imageのホワイトリストはドメイン単位なので、画像側のURLをなんとかする必要があります。
独自ドメインを割り当てる
Google Cloud Storageの場合、ロードバランサーのバックエンドバケットとして指定することで独自ドメインの割当が可能です。
(ただし、このためだけにロードバランサーまで用意するのはちょっと大げさかもしれません)。
画像URLをプロキシする
Next.jsのrewrite機能を使い、外部画像のURLをプロキシすることも有効です。
テナントを分けているサブディレクトリまで含めたパスをdestination
と指定することで、相対URLのまま外部画像の表示が可能です。
(相対URLなので、next.config.jsのimages.domainsに登録は必要ありません)。
お手軽ですが、CMS等外部APIから返ってきた画像パスがフルパスの場合、別途相対パスに書き換える処理が必要になります。
module.exports = {
async rewrites() {
return [
{
source: '/proxy/:path*',
destination:
'https://storage.googleapis.com/nextjs-arbitrary-image-path/:path*',
},
]
},
}
<Image src="/proxy/wanchan.jpg" alt="ワンちゃんが海辺を走っている画像" width={640} height={427} />
ホワイトリストの詳細指定
2022/06/30 追記
v12.2.0にてホワイトリストの詳細指定が試験的に実装されました
下記はCanary時点での情報ですが、詳細の指定方法は同様です。
一番理想的な方法です。
現在CanaryになっているNext.js v2.1.7
では、next/imageのホワイトリストをより詳細に設定できるRemote Patternsの試験的な実装が予定されています。
(ただしあくまでもexperimentalな機能です)
下記のようにprotocol・hostname・port・pathnameを指定でき、ワイルドカードも一部使用できるようになります。
module.exports = {
experimental: {
images: {
remotePatterns: [
{
protocol: 'https',
hostname: 'example.com',
port: '',
pathname: '/account123/**',
},
],
},
},
}
Canary版
一応現在でもCanary版を使用すれば上記機能は使用できますが、もちろんNot for productionです。
実際に検証し、12.1.7-canary.39で動作することが確認できました
ホワイトリスト外なのでちゃんとエラーになります
https://nextjs-arbitrary-image-path-a9wendvut-the-fukui.vercel.app/_next/image?url=https://storage.googleapis.com/nextjs-arbitrary-image-path-2/nekochan.jpg&w=1920&q=75
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