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Terraformのライセンスの変更とその影響
はじめに
先日、HashiCorp社はの発表により、すべての製品といくつかのライブラリの将来のリリースについて、Mozilla Public License v2.0(MPL 2.0)からBusiness Source License(BSL、またはBUSL)v1.1への移行するがわかりました。
ただし、HashiCorpのAPI、SDK、およびほとんどの他のライブラリはMPL 2.0のままです。
BSLとは? MPL 2.0との違いは?
BSLは下記のようにいくつの特徴があります:
- 特定の期間(通常は数年)の後に、完全なオープンソースライセンス(たとえば、Apache 2.0)に変わるライセンスである。
- BSLの下でリリースされたソフトウェアは、特定の期間中は商業的に利用することが制限される。
- 開発者がソフトウェアの商業的価値を保護しつつ、将来的にはコミュニティに還元することを目的としている。
BSLとMPL 2.0の主な違い:
特徴 | BSL (Business Source License) | MPL 2.0 (Mozilla Public License 2.0) |
---|---|---|
商業的利用 | 特定の期間中、制限がある | 制限なし |
ライセンスの変更 | 特定の期間後に別のオープンソースライセンスに変わる | ライセンスはそのまま変わらない |
適用範囲 | ライセンス全体 | ファイルレベルのコピーレフト |
互換性 | 特定の期間後に他のライセンスと互換性が生まれる可能性 | 他のライセンスとの互換性が初めから存在する |
特許権 | 通常の条項 | 特許権に関する条項が明確に含まれている |
なぜ変更したのか?
FAQによると、下記のような理由で変更したとのことです。
HashiCorpはソースコードの商業的な使用をよりよく管理し、その作業を妨げることなく、貢献者である多くの実践者を持つ繁栄するコミュニティへの投資を続けることができます。
BSLライセンスの変更によって誰が影響を受けるのか?
対象者 | 影響の内容 |
---|---|
オープンソース製品のエンドユーザー | 変更なし |
統合パートナー | 変更なし |
商業顧客 | 変更なし |
競合する提供を行う組織 | BSLライセンス下での無料使用不可 |
上記のように、影響されるのは競合する提供を行う組織
のみで、我々開発者には影響はないように見えますが、
このライセンス変更によって、AWSが開催されるRe:InventにてTerraformに関するセッションがキャンセルされたらしい。
個人的な見解
正直、もうオーぺンではないTerraformを使うのはやめて、Pulumiに移行しようと思っています。
確かTerraformは便利なツールですが、Terraform単体での開発体験はけして良いとは言えません。
個人的にはTerragruntを依存しており、今回の件でTerragruntにも大きいな影響を与えたようです。
Discussion
まとめ記事ありがとうございます。
BSLとMPL 2.0の主な違いが視覚的にわかりやすくまとめられていて、良い記事だと思いました。
しかし、少し疑問に思った点があります。
このライセンス変更によって、AWSが開催されるRe:InventにてTerraformに関するセッションがキャンセルされたらしい。
とおっしゃっていますが、それは本当にこのライセンスの変更によるものなのでしょうか。それがわかるソースがあれば教えて欲しいです。
引用されてらっしゃるXのポストですが、そのポストでもライセンスの変更によってこのセッションがキャンセルされた、と言っているわけではないし、AWSが何かHashiCorpライセンスの変更に対する声明を出しているわけでは(私の見る限りでは)なさそうだったので、コメントさせていただきました。
また、
個人的な見解
の部分で、オーぺンではないTerraform
とおっしゃっていますが、TerraformのライセンスがBSLになったとしても、ライセンス移行後も基本的にはソースコードは publicly available であり、HashiCorp社の利益に相反しない範囲においては使用できるので、openでない
とは言い切れないと思いました。細かい部分に関するコメントになってしまい、申し訳ありません。
今後のまとめ記事にも期待しております!
コメントありがとうございます。
残念ながら、そもそも定義上ではBSL 1.1はsource-availableであり、open-source ではありません。
なるほど、記事でおっしゃっられているオーペンでないというのは、OSIが提唱するOpen-source Softwareの定義を満たさないということでしたか。しかし、BSLになっても引き続きソースコードを入手することができますし、そのまま組み込んで使う等の用途(多分これをしている企業日本ではあまりない)以外であれば使用を継続できるので、terraformの使用をやめるほどの理由になるのかな、とは思ってしまいます。