Think Bigger で考える"ふりかえり"の心構え
はじめに
「アジャイルになる」ためのイテレーションの振り返りについて、Think Bigger の視点から私自身が考えてみたものをこの記事で共有します。
私のアプローチは、Think Bigger で紹介されている具体的な手法を直接振り返りに適用するのではなく、Think Bigger の前半で紹介されている原則から得たインスピレーションを心構えとして取り入れることです。
この記事を通じて、イテレーションの振り返りをより効果的に行うための新たな視点を提供できれば幸いです。
グループシンク(集団浅慮)
私たちのチームでは、エクストリームプログラミング(XP)の手法を採用し、その一部として、イテレーションの振り返り(レトロスペクティブ)を定期的に実施しています。
ある時、振り返りにただ参加しているだけで、本当にチームとしてアジャイルな行動を取れているのか、自分自身に問いかけるようになりました。
振り返りの質が高ければ高いほど、チームとしてよりアジャイルになれる中で、ブレインストーミングのような振り返りのための素材集めをチームですることで、集団浅慮に陥っていないか。
「アジャイルになる」ためには、チーム全体がどのように良い行動を取り、反省を活かせるかが問われます。
そして、振り返りはそのための重要なツールの一つですが、振り返りが形骸化し、その本来の価値を失ってしまうこともあるではないでしょうか。
グループシンクに関する内容は下記文献が参考になります。
「Think Bigger」と振り返りの改善
シーナ・アイエンガーの「Think Bigger」は、イノベーションを生み出すための方法論です。この理論は、個人や組織が創造性を発揮し、重要な革新を生み出すための具体的なステップを提供しています。
この「Think Bigger」から学んだ原則を振り返りのプロセスに適用し、その質を向上させる方法を考えてみました。
特に、本書の「第2章:創造的な能力」では、ブレインストーミングが最高のアイデアを生み出さないという観点から、振り返りを改善するためのアイデアを得ています。
振り返りの心構え
大きく3点に分けて考えてみました。
共同作業の前に「1人」で考える
振り返りを行う前に、ひとりひとりがどのような振り返りをしたいのか明確に定義することが重要です。
これは、振り返りを事実ベースや感情ベースなど普段振り返りで実施するような素材集めを事前に行い、参加する目的を明確にしていきます。
単に参加するだけではなく、自分の意見を持つことで他のメンバーが出した案に流されることなく、ポジティブなコンフリクトを生み出すことにもつながるのではないでしょうか。
創造性を高める
創造性を高めるための手法も考えることが大切です。
今ではMiroやFigjamといった様々なボードサービスがありますが、小さなホワイトボード(できれば大きなホワイトボード)を使うことで創造性を促進することができます。
Think Biggerにも書かれているように、クリエイティビティを最も促す空間は、無地の壁、つまり刺激のない場所です。
アイデアの質にもこだわる
アイデアの質にもこだわることが必要です。Think Biggerによれば、アイデアの質は私たちが組み合わせるピースの質で決まるとされています。
タスクに取り組んでいる最中が、鮮度のあるアイデアも生まれやすいはずです。日々の振り返りを行うことが重要である、これにより、イテレーションの振り返りの質も向上します。
最後に
イテレーションの振り返りへの参加が単なるルーチンとなっていませんか?
私自身も目的を持たず振り返りに参加していたことはありました。
毎日アジャイルな開発を目指している私たちにとって、振り返りをただ形式的に行うのはもったいないと感じています。
振り返りの質を上げ、大きな行動につなげるために、一人一人が積極的に取り組むことが重要です。
今回は、最高のアイデアを生み出す手法として知られる「Think Bigger」から得た知見をもとに、より良い振り返りを実現するためのアイデアをまとめてみました。
この記事が、より良い振り返りを一歩進めるきっかけになれば幸いです。
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