hcd 入門
1 こんなことはありませんか
使いにくい
ユーザビリティには3つの指標がある。
- 有効度:使い方がわからない
- 例えば、ガラケーからスマホに機種編した瞬間の母親。メールもできなければ文字を打つことも、電車に乗るときにマナーモードにもできなかった。
- 効率:導入に時間がかかりすぎる
- 例えば、SaaSの類の全社普及。現場の学習コストのペインと、そのあとの効率化がどれだけできるかを天秤にかけて前者が大きいのであればユーザビリティの効率が悪いとなる。
- 満足度:不快感のなさ、肯定的な態度
- 例えばAWS障害でスマホゲーのことごとくがダウンしたときに、サービス自体を楽しめないというので満足度は低下する。一方でわび石という形で肯定的になってもらうという筋の通し方みたいな感じだろうか。
不快な気持ちになった
ユーザエクスペリエンスには3つの側面がある。
- 時間的側面:実際にサービスを受け取る手前からそのあとまでの体験の考慮
- 例えば、Amazonでものを購入するための一連の流れの中で、複数ショップがあっておおよそ転売か?みたいなショップがあると時間的側面では悪くなる。一方で、返品や誤配送された時の対応は非常にいいよねといったところの指標。
- 状況的側面:実際にサービスを体験する場面の考慮
- 例えばいくら美味しくても、夏にホットウイスキーが飲みたいか?冬にキンキンに冷えたハイボールが飲みたいか?
- 感性的側面:実際にサービスを体験する一人一人の気持ちを考慮すること
- 例えば、丁寧なチュートリアルが欲しい人もいれば、勝手に覚えるからとっとと触らせてほしいユーザもいる。
といったユーザエクスペリエンスの指標
新しい○○が生み出せない
組織、チームが陥りやすい3つの状況。
これもHCDで取り扱う。
- 新しいサービスを生み出せない:新しいものが望まれているはずだが、何が欲され何が受け入れられるか不明という状況
- これはわかりやすく市場があるかわからん、といった話に聞こえる・
- 新しいビジネスを生み出せない:新しいビジネスを発想できない、事業として成功できないといった状況。
- こういったものが刺さりそうとわかったうえで、ビジネスとしてPLGかSLGかどう展開するのが良いのかみたいな話だろうか
- 新しい仕事のやり方を生み出せない:なぞの業務プロセスや、馬車馬の努力をし続けても評価されずすり減る一方の状況で打ち手が出せない状況、状態
- 組織に対しての改善、自分の場合だとチームにこういうやり方どうですか?みたいな話+良いエピソードで共感をもらって組み込む、仕組みとするみたいなところか
HCDとは
人間中心設計
ユーザビリティ、ユーザエクスペリエンス、デザイン思考の3つの根底にある、つながった考え方。
取り組むメリットは7つ
- ユーザー、組織の生産性、作業効率向上
- CSの人件費のような費用削減
- アクセシビリティ向上
- UX改善
- 不快感、ユーザが感じるストレスの緩和
- ブランドイメージの向上
- サステナビリティ貢献
(ISOで挙げられている内容)
HCDサイクル
- 利用状況の把握と明示
- ユーザーの要求事項の明確化
- ユーザーの課題解決の方法を作成
- 方法、設計の評価
4から問題があれば2、3に適宜戻る、問題なければ実装に移行
ここまで見ると実装がHCDサイクルの外に行くが、DevOpsの一番最初の計画を実践するためのサイクルにも見える。
2 HCDの事例
事例集が6個
ソフトウェア会社の事例
- 画像編集ソフトの会社がシェアを落としていた
- 新製品を発売したものの回復はできなかった
- 調査開始
4. 電話調査
5. ユーザー訪問調査
6. ウェブ調査 - 最後にインタビューと実際の操作画面を確認
- 4つの問題を特定
- 改善の結果、画像編集のタスクの完遂率が90%に工場
webサービス会社(ベンチャー)の事例
- 文書交換サービス、これの安全性を上げたい
- ステークホルダへのインタビューを実施
- この段階で市場規模、顧客の属性を特定。上位2属性に絞って訪問インタビューの実施を決定
- ここで、ユーザーによる想定していないサービスの使い方を知る
- インタビューをもとにペルソナを作成
- 全社にペルソナを認知して、合意形成の速度向上を成した
研究所のウェブサイトリニューアルの事例
- 研究所によるサイト運営でデータは良いものの使い勝手が不評だった
- HCD専門家調査による問題点の洗い出しをしたが、制作側が反発
- ユーザビリティ評価によって、不満点が判明した
- 評価結果をもとに合意形成、リニューアルへと至る
プロジェクターの開発事例
- すでにレッドオーシャンとなり差別化ができない市場だった
- 新しいモノを生み出す必要があり、そのコンセプトつくりにHCDを用いた
- 複数の偽のペルソナを作成し、どんなものが求められるかを社内で検討
- 続いてユーザ訪問して現実の満足/不満足点を洗い出し、妥当なコンセプトを決定
- 取り込んだ新製品をリリース、満足度向上へ
クイックリファレンスガイドの開発事例
- ユーザビリティの基本方針を決めてからプロトタイプを作成
- ユーザビリティ評価の実施。日本マニュアルコンテストの評価観点を参考に改善を繰り返す
- ユーザビリティ基本方針があったことで、コンセプトの方向性が明確化し迅速な改善が可能だった
携帯アプリの開発事例
- ガラケー時代、ホームではなくメニューを開いてからメモなどのユーティリティを使っていた
- そのメモ機能が全く使われていないが、ユーザはメールの下書きをメモとして代用しているためニーズはあると踏む
- 紙のプロトタイプを作成し、ヒューリスティック評価を実施
- 待ち受け画面から電話番号でなく文字も入力できるようにボタン割り当て自体を変更し、差別化
- ユーザビリティ評価による新たに作成したプロトタイプを使用。ここに開発者も参加してリアルタイムに評価結果の共有と技術開発の加速がなされた。
3 人間中心設計
うれしい経験、苦い経験
新しいものを買った、動いた!うれしい!動かなかった!壊れてた!悲しい。
こんな経験は人間あるよね。
HCDとデザイン
HCDは哲学と進め方
- インダストリアルデザイン
- 工業デザイン、私たちが普段使っている家電、車、家具などの物理的な製品をデザインする分野
- インタラクションデザイン
- 人とデジタル製品との「対話」をデザインする分野、デジタル製品とどのように相互作用するか、その行動と反応を設計
- エクスペリエンスデザイン
- 顧客の感情や体験全体を包括的に設計する分野、カスタマージャーニー重視
この3つのデザイン分野が注目する領域のこと。
顧客のニーズ、属性、能力とデザインがかみ合っていることの保証するプロセスに人間中心デザインが来る。
HCDとは
6つの原則
- ユーザーやタスク、環境に対する明確な理解に基づいてデザインする
- 設計や開発の期間を通してユーザー(の視点)を取り込む
- 設計は人間中心的な評価によって駆動され、また洗練される
- プロセスは反復的である
- 設計はユーザエクスペリエンスの全体に焦点をあてる
- 設計チームには多様な専門領域の技能と見方を取り込む
ISO記載
HCDにおける目標達成
HCDの目的はサービスやシステムを提供して課題がある状況から、課題解決(目標達成)までを迅速に一直線にできるようにすること。
HCDにおけるユーザーとは
HCDにおいてユーザは、ユーザセグメントであり、一人のユーザのみをささない。
- 直接ユーザ:製品やサービスと直接的に相互作用する人
- 一次ユーザ:相互作用する人
- 二次ユーザ:サポート提供者
- 間接ユーザ:直接的に相互作用はないが、その出力を受け取る人
ユニバーサルデザイン
多様なユーザに対して、確実に目標達成ができるようにすること。
バリアフリーとの違いとして、最初からユーザの多様性を念頭に置いてデザインを行うものという違いがある。
4 ユーザビリティとは
使いやすさとほぼ同義。
ある状況下であるユーザーが製品を使って目標達成できるかの度合い。
度合い≒物差しは3つあり、
- 有効さ:目標達成できたか
- 効率:目標達成にどれだけのコスト(製品によって時間、金銭など)がかかったか
- 満足度:もう一度使いたいか
ユーザビリティは時間とともに概念が変遷した。
1991年:シャッケルによる概略が作られる
1993年:ニールセンによって工学として基礎概念が定義
1998年:ISOで定義される(有効さ、効率、満足度がここで出てくる)
2001年:利用時の品質という概念が誕生ソフトウェア品質として定義
2011年:製品品質、利用品質の2つのモデル替え導入
SQuaREのわかりやすい記事:https://sqripts.com/2024/03/19/96645/
ユーザビリティ特性
今も使われている考え方として、ニールセンのユーザビリティ特性がある
- 学習しやすさ:ユーザは迷うことなくすぐに使い始められるか
- 効率性:最初の学習で高い生産性を出せるようになるか
- 記憶しやすさ:例えば年1度しか出番がないシステムとして、1年後に戻ってきたときに再学習せずとも使えるか
- 間違いにくさ:ユーザはエラーを起こさずに使えるか、起こっても回復できるか。
- 主観的満足度:ユーザの主観として、その個人が満足できるか。楽しく利用できるか、好きになれるか。
ISO9241-11
人間工学の国際規格
冒頭に出てきた、状況とユーザと目的を踏まえた
- 有効さ
- 効率
- 満足度
の3つの度合いの定義はここが元になっている。
今はこれが主流。
自作キーボードで例えるなら
- 有効さ:文字や記号、数字の入力および、Linux, Windows, Macで使える
- 効率:3種のOSで大きく運指を変えずに使うことができた。数字業やFn行に指を動かさないことでホームポジションを崩さないでタイピングができた。
- 満足度:昨年秋ごろから使い続けて1年、満足
この3つにはそれぞれ定義された尺度がある
- 有効さ:ユーザが持つ目標を達成できた正確性、完全性
- 効率:ユーザが持つ目標を達成するまでにかかったコスト
- 満足度:ユーザが製品に対して持つ肯定感。また、不快感のなさ
ISO9126
ソフトウェアの品質に関する国際規格。
外部品質、内部品質、利用時の品質の3つがある。
外部及び内部品質
以下の6つの品質特性がある。
ここからさらにサブグループが分かれている。
ユーザビリティは使用性といったん思ってよさそう。
ただし、上のISO9241-11にあった効率が外に出ているので注意。
・機能性
・信頼性
・使用性
・効率性
・保守性
・移植性
利用時の品質
以下の4つの品質特性がある。
・有効性:ユーザが目標達成できるか
・生産性:ユーザがコストを過剰に消費することなく、有効性を発揮できるか
・安全性:ユーザ(人、企業、環境、財産)に対して容認できるリスクに製品が収まるか
・満足性:利用者は指定された状況で製品に対して満足できるか
SQuaREモデルと品質モデル
ここまでのISOで定義された品質のモデルを合体したモデル。
製品品質と、利用時の品質双方に言及している。
ただし、利用時の品質は拡張されていて
- 有効性
- 効率性
- 満足性
- リスク回避性
- 利用状況網羅性
となる。
5 ユーザエクスペリエンスとは
カスタマージャーニーなどで言われる、製品の利用前から利用後までの体験、経験、満足を考慮すること。
ISO9241-210:2010での定義はUXとは製品やシステムやサービスを利用したとき、および・またはその利用を予測したときに生じる人々の知覚や反応のこと。
UXのハニカム構造
情報アーキテクチャのピーター・モービル氏が提唱したUXがもつ7つの側面
- 有用性
- 使いやすさ
- 好ましさ
- 見つけやすさ
- アクセス性
- 信頼性
- 価値
UXデザインの3つの視点
- 時間軸
- システムやサービスの利用前から、数年にわたる長期利用を考慮する
- 環境軸
- 文字通りの環境、どんな場所、どんなシチュエーションで使うかを考慮する
- 人間軸
- 人間の感性、個人差を考慮する
UXデザインの流れ
- ユーザー調査
- 1を踏まえた分析
- デザインコンセプト
- プロトタイプ作成
- ユーザーによる評価
ノーマンとUX
行為の7段階サイクル
ユーザは製品を見たときに、
- これをどう使うのか、という実行における隔たり
- 使った結果と目的が一致するか、という評価における隔たり
がある。
ゴールを基準にして、7段階のステップがあるとという理論。
- ゴール
- プラン
- 詳細化
- 実行
- 知覚(結果を認識する)
- 解釈
- 比較(ゴールと結果を比較)
3つの処理レベル
人間の脳の処理には3段階のレベルがあり、
- 本能レベル
- 行動レベル
- 内省レベル
と位置付けている。
ハッセンツァールとUX
ハッセンツァールは、
ユーザーは実用的属性と快楽的属性の2つで製品を評価すると定義した。
書籍ではATMの例をあげているが、
開発者やデザイナは、製品の特徴にカタログ出的なできることをあげるが、
ユーザは他と比べ使いやすいか、信頼できるかを特徴として挙げる。
ユーザが利用した状況に応じて、感覚的に製品の特徴が認識され、ユーザ個々人の歓声で評価される。
すなわち、UXそれ自体を直接的にはデザインできない。
よりよいUXを経験してもらうために、製品のデザインをしている。
この感性的な製品の性質を、感性的属性として
・刺激(刺激を受ける)
・同定(自分らしさを示せる)
・喚起(気持ちが喚起される)
と定義している。
UX白書
UXの概念、分野について定義したもの。
UXの期間
UXは期間の違いによって分類される。
- 予期的UX:サービスやシステムを利用する以前の期間
- 一時的UX:サービスやシステムを利用している瞬間に得る経験からなる感情的な変化
- エピソード的UX:利用ごとのエピソードに関する評価、
- 累積的UX:複数回のエピソード的UXの後のシステム、サービスへの評価、見方
サービスデザイン
これまで顧客は、購入者でしかなく、モノやサービスと交換して得ておしまいのような考え方をしていた(グッズドミナントロジック)
サービスドミナントロジックにおいては、顧客もサービスの共創者として考える。また、社員、潜在顧客に関しても考慮する必要がある。
アプローチ
代表的な手法として
- ジャーニーマップ
サービスの特に顧客体験を時系列で図示するもの。
時系列に沿って、顧客がサービスに触れるポイントと、それごとの体験を記述していく
- サービスブループリント
サービスの全体像を時系列で図示したもの。
時間ごとに顧客はどんな行動を起こすのか(フロントステージアクション)、スタッフの行動(バックステージアクション)などを記述する。
6 デザイン思考
デザイン思考とは、創造的なデザインアプローチを単にUIの文脈だけでなく、顧客体験や企業の戦略、社内の企画などにもその考え方を活用すること。
デザイン思考のアプローチ
HCD同様にいくつかのステップがある。
基本的なアプローチとして、HCD同様ユーザーを起点としたユーザー視点、デザイナーさんがやってきた「多様な発想と統合、視覚化」がある。
IDEO社によるステップは
- 共感
- 問題定義
- アイデア創出
- プロトタイピング
- 検証
ノーマンの提唱するサイクルによると
- 観察
- アイデア創出
- プロトタイピング
- テスト
となる。
イノベーションとデザイン思考
イノベーションには2パターンあると定義される
- 新しい技術を中心とするイノベーション
- ユーザー理解を起点とした人間中心のイノベーション
HCDやデザイン思考を持って2を生み出そうという考えがある。
また、イノベーションとは1度の大きい改革をしておしまいではなく、ラリー・キーリーが提唱するように持続可能な新しいオファリングを生み出すこと。という考えでもある。
ここでのオファリングは同じ製品でも、新しいサービスとしてや、新しい提供方法を開発してユーザーに届けることでイノベーションを生み出すことがあるということ。
イノベーションを成功させるには
イノベーションは10種類に分類される、そしてその種類に当てはまるものが多ければ多いほどイノベーションに結びつくとされる。
- 組織のデザインに関する種類
- 利益モデル
- ネットワーク
- 組織構成
- プロセス
- 製品・システムのデザインに関する種類
- 製品性能
- 製品システム
- 経験のデザインに関する種類
- サービス
- チャネル
- ブランド
- 顧客エンゲージメント
デザイン思考はこれまで、デザイナーが魅力的なデザイン、UIといったスタイリングにのみ用いられていたが、製品・システムのイノベーションに開発者が、統合的なイノベーションとして継続的なオファリングのために組織の全員がデザインを活用することになる。
7 HCDのプロセス
HCDはアジャイルのもののみでなく、ウォーターフォール型開発にも組み込める。
ただし、ウォーターフォールの性質上モノができるのが終盤になるためユーザービリティ評価が遅くなり、手戻りが大きくなることも多いため注意。
企画や要件定義段階、設計、といったフェーズでもユーザーフィードバックを受け取ることが必要になる。
一方でアジャイル型開発の場合は、スプリントごとにフィードバック(スプリントレビュー)が入るため比較的組み込みやすい。
もちろん、ペーパープロトタイプや何かしら動くものや定まった仕様がある前提だが。
HCDの主な手法・サイクル
- 利用状況状況把握、明示
- ユーザーの要求事項の明確化
- ユーザーの要求事項を満足させる設計、解決策の策定
- 設計、解決策の評価
8 利用状況の理解
以下の状況を把握しましょう
- ユーザーの特性
2. 種類
3. 技能と知識
4. 個人的技能 - タスクの詳細
- 設備
7. 基本的記述
8. 仕様書 - 環境
10. 物理的な環境
11. 作業場所
12. 社会的な環境
13. 組織風土
14. 慣習
9 要求の明確化
ここまでの調査をもとに、仮設から理解へ落とし込む必要がある。
状況の把握
ここで使われるフレームワークは以下
- ブレインストーミング
- KJ法
- ワークモデル
- グラウンデッドセオリー法
アイデア創出のFWが挙がっているが、収集した情報をもとに深堀、仮設構築なんかでも使える。
顧客の把握
共通認識としてペルソナを設定しましょう。
- 調査結果をもとに特徴点を抜きだす
- 特徴のカテゴライズ
- 特徴ごとの関連、関係をグループ化する
- グループをもとにパターン化されたペルソナを作成
ペルソナで設定された顧客がどういったシーンで製品を求めるのか、シナリオを組み立てる。
シナリオの組み立て方として構造化シナリオ法があり、
- 顧客価値:バリューシナリオ
- 行動:アクティビティシナリオ
- 操作の流れ:インタラクションシナリオ
などをそれぞれまとめるとよい。
10 デザイン
発想
作るべき要件が定まってからサービスやモノに具体に落とし込もうとするには飛躍的な思考が必要となる。
その思考の支援となる発想法はブレインストーミングやマインドマップ、KJ法などの他にも多くある。
これを習得、訓練することで具体に落とし込む力を高めることができる。
共感的デザイン
インタビューは必ずしも、インタビューされる側の真意を得られない。
そこで共感的デザインという手法が出てきた。
観察者1人でなく異なる分野の専門家複数人が出向くこと
確認事項は
- 利用のきっかけ
- 環境との相互作用
- ユーザー独自の利用方法の開発や再発明がされていないか
- 触れることも見ることもできない製品、システムはあるか。それはどんなものか
- 明示されていないユーザーニーズ
デザインへのアプローチ
参加型デザイン
実ユーザーが参加することで暗黙知を共有しやすくすることを意図している。
決まったステップ自体はないが、
- モックアップ
- ビデオプロトタイピング
- 協働プロトタイピング
- ユーザビリティデータの参加型分析
とアプローチ方法は多様。
設計のフェーズに合わせて選択すること。
プロトタイピング
- ラピッドプロトタイピング
プロトタイピングを高サイクルで回すやり方。
ペーパーやスチレンボードを使うのが一般的だったが、3Dプリンターでものを作ってしまうやり方も普及し始めている。
Webサイトのプロトタイプなら、Figmaの機能やスライドを使って作成できる。
- ペーパープロトタイピング
コンセプトの表現だけでなく、インタラクションの適切さを評価確認できる。
代表的な画面だけでなくユーザーの目的達成までの個別の捜査に出てくる全ての画面を再現する。
ユーザービリティテストを行い、評価確認する。
デザインの変遷
19世紀イギリス産業革命後のイギリスで、ウィリアム・モリス主導のアーツ・アンド・クラフツ運動が起こった。
産業革命後の当時のイギリスでは、工業化・機械化による大量生産により安価な商品があふれており、機械生産に合った新たなデザイン教育の必要から学校や組織が乱立。
その後も
- 19世紀末のイギリスで起こったアールヌーボー
- 20世紀初頭のドイツで起こったドイツ工作連盟
- アールデコ
- モダニズム:第一次世界大戦後20世紀に起きた「機能性」「合理性」の追求による装飾の排除
- ポストモダン:1980年代モダニズムへの反発、装飾性や多様性を取り戻そうとした
と変遷は続いた。
11 デザインの評価
デザインを評価するにあたって、デザイン案がどれだけ目標達成できているか、を計測することになる。
デザイン評価はHCDサイクル内において、
- ユーザーや現行のシステムの問題点などを把握する
- 設計中のデザインプロトタイプ、モックなどを評価する
- 設計したものがどれだけ目標達成できるか確認のために評価する
評価方法
デザインを評価する方法はいくつかあり、指標や状況によって適切な計測方法がある
- ユーザビリティテスト
- 実際にユーザに参加してもらうテスト
- 計測できる指標はさまざまで、生理学的指標や認知工学的指標など計測することができる。
- 何を計測したいかのテスト計画及び、テスト環境(ユーザビリティラボ)の準備が必要となる
- 分析に当たって
- 発話思考による分析
- ユーザは捜査中に考えていること、思ったことを随時口に出してもらい、それを記録する。
- 実際にどういう成果を得ようとして、何に迷い、どう考えたのかの流れから問題を分析する。
- NEMによる分析
- 初心者と熟練者の操作時間を比べて、どこに問題があるかを分析する。
- 一般に熟練者は時間がかからないが、初心者が多大に時間がかかるステップがある場合、そこに習得難易度の高さの問題があるといえる。
- 発話思考による分析
- インスペクション法
- 専門家による分析
- 仕様書やプロトタイプがの段階でエキスパートによるレビューを受ける。
- 準備がユーザビリティテストほど大きくないことや、開発が進む前に実施できるというメリットがある。
- ノーマンの7段階サイクルなどをもとに評価する手法
- 生理学的手法とロギング
- 脳波計や筋電系、視線レコーダー、モーションキャプチャなどを使ってログをとる。
- 実際の動線のデータからシステムや機器の使われ方を調査することができる。
- 長期的評価
- サービス利用開始から所定の期間が経過したユーザにたいしてインタビューや回顧的評価、ロギングを行うことで評価する。
- ここでの回顧的評価は購入前から、現在までの中でどんな使い方とエピソードがあったか、製品に対して今現在どんな評価をしているか、購入前の期待値とのギャップなどを知ることができる。
- サービス利用開始から所定の期間が経過したユーザにたいしてインタビューや回顧的評価、ロギングを行うことで評価する。
- UX評価
- UXカーブ≒感情曲線。サービスを使い始めてからの時間経過に合わせて、モチベーションや満足度、感情などを描いてもらい、それを評価する。