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SupabaseとConvexを徹底比較:思想から開発体験まで
近年、BaaS(Backend as a Service)の選択肢としてよく名前が挙がるのが Supabase と Convex です。
AI駆動開発のバックエンドとして選択されるふたつです。
どちらも「データベース+認証+APIサーバー」をまとめて提供するサービスですが、思想や技術選定、開発体験に大きな違いがあります。この記事では両者の特徴を比較しつつ、ユースケースに応じた選び方を整理します。
データモデルと開発体験
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Supabase
- PostgreSQLベースのリレーショナルデータベース。
- SQLで複雑なクエリやマイグレーション管理が可能。
- RLS(Row Level Security)によるきめ細かな権限設定も強力。
- 従来のDB知識をそのまま活かせる。
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Convex
- 独自のドキュメント指向リアクティブDB。
- API定義・スキーマ・型がすべてTypeScriptで統一。
- 宣言的に書くだけで自動的に型安全なバックエンドが構築される。
- マイグレーション管理が不要で、開発効率が高い。
リアルタイム性
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Supabase
- LISTEN/NOTIFYをベースに「オプション」としてリアルタイム機能を提供。
- 更新通知やチャット機能程度なら十分。
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Convex
- リアルタイム同期が標準搭載。
- データ更新が即座に全クライアントへ反映。
- 協調編集やライブ性が重要なアプリに最適。
オープンソースとホスティング
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Supabase
- 完全オープンソース。セルフホスト可能。
- 豊富な導入実績と拡張性。
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Convex
- もともとはクローズドだが、2025年からセルフホストも対応。
- プロダクト体験を重視する設計。
スケーラビリティ
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Supabase
- PostgreSQLベースでエンタープライズ導入実績も多い。
- リージョン展開、SLA保証、SOC2認証など商用利用に強い。
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Convex
- サーバーレスアーキテクチャで自動スケーリングは可能。
- ただし大規模運用の事例はまだ少なく、MVPやスタートアップ向き。
学習コストとプログラミングモデル

適したユースケース
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Supabaseを選ぶなら
- SQLを活用したい
- 複雑な権限制御が必要
- 商用大規模システムや業務アプリ
-
Convexを選ぶなら
- TypeScriptで完結したい
- リアルタイム性が必須(チャット、協調編集など)
- ハッカソンやMVP開発で爆速に作りたい
SupabaseとConvexを徹底比較:思想・コード体験・導入の違い
1. 導入フローの違い
Supabase
- アカウント作成後、ブラウザのダッシュボードからプロジェクト作成
- DB・認証・ストレージがGUIでセットアップできる
- SDKを追加すればすぐ使える
# Next.js プロジェクトでの例
npm install @supabase/supabase-js
// lib/supabase.ts
import { createClient } from '@supabase/supabase-js'
export const supabase = createClient(
process.env.NEXT_PUBLIC_SUPABASE_URL!,
process.env.NEXT_PUBLIC_SUPABASE_ANON_KEY!
)
👉 「Firebaseライクに始められる」印象で、GUI慣れしている人にとっつきやすい。
Convex
- CLIインストールから必須
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npx convex devでローカル環境とクラウドが即座に同期 - TypeScriptでスキーマとAPIを記述すると、自動的に型安全なエンドポイントが生成
# プロジェクト作成
npx create-next-app my-app
cd my-app
# Convex CLI 導入
npm install convex
npx convex dev
// convex/schema.ts
import { defineSchema, defineTable } from "convex/schema";
export default defineSchema({
messages: defineTable({
body: "string",
author: "string",
}),
});
// convex/messages.ts
import { query, mutation } from "./_generated/server";
export const list = query(async ({ db }) => {
return await db.table("messages").collect();
});
export const send = mutation(async ({ db }, { body, author }) => {
await db.table("messages").insert({ body, author });
});
👉 CLIで必ずスタートし、TypeScriptでスキーマ/APIまで書くのがConvex流。SQLを一切書かずに完結できるのが特徴。
2. 開発体験の図解イメージ
Supabaseのワークフロー
[ ダッシュボード ] → [ DBスキーマ定義(SQL) ] → [ SDKから呼び出し ]
- GUIやSQLが中心
- 「既存DBの延長線上でBaaSを使う」感覚
Convexのワークフロー
[ CLIで初期化 ] → [ schema.ts / 関数定義 ] → [ 型安全なAPI自動生成 ]
- コードファースト、TypeScript一本化
- 「コード書くだけでバックエンドが完成」感覚
3. 使い分けのポイント
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Supabase
- SQL慣れしている
- 業務システム・商用規模で堅牢さが必要
- GUIから管理・可視化したい
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Convex
- TypeScriptが主戦場
- ハッカソンやMVP開発で爆速を求める
- リアルタイム性(チャット・コラボ編集)が必須
まとめ
- Supabase → 「RDBの安心感をそのままBaaSに」
- Convex → 「TypeScriptで全部書いて即リアルタイム」
どちらを選ぶかは、SQL派かTS派か、安定重視かスピード重視かで大きく変わります。
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