WebAssemblyコンポーネントモデルを調べる
Rustの相互運用ABI(interoperable_abi
)の提案
について調べるはずが、いつのまにかWebAssembly Interface Types (WIT)
について調べていたのでとりあえずまとめておきます。
2023/2/11現在Interface Typesの提案はWebAssembly component modelに統合されています。
WebAssemblyコンポーネントを使うとき
このプロジェクトで目標としているユースケースにはサーバーレス等のいくつかの場合があがっていますが、今回はCPythonからwasmのコンポーネントを読み込んでその中にある実装を利用するケースを考えましょう。これはCPythonにとっては共有ライブラリを読み込んでその中の関数を呼び出しているのと似ています。これを実現するためにコンポーネントモデルはwasmのコア言語の上に
を定めることになります。WebAssembly Interface TypeはこのIDLとしてコンポーネントモデルに統合されました。
これは共有ライブラリの呼び出し、つまりC ABIの場合と比較してみるといいでしょう。この場合IDLとは概ねCのヘッダの事でどの構造体をどの関数にあげるべきかが記述され、バイナリフォーマットとはCの構造体をメモリ上でどのように並べるかを規定し、呼び出し規則とは関数を呼び出す際に引数をどうやって指定してどのアドレスに処理を移すのかを記述するものでした。
wasmコンポーネントの場合にもIDLでデータ構造を記述し、バイナリフォーマットでそれをwasmの線形メモリ上にどう保持するかを定め、Canonical ABIによって関数呼び出しをwasmコア言語上にどうやって翻訳するかを定めます。
共有ライブラリではインタフェースの記述は伝統的にC言語という"IDL"を通じて行われてきました。多くの言語においてC言語というIDLによるインターフェース定義からその言語向けのAPIを生成する仕組みが存在しています。
wasmコンポーネントではIDLとしてWITが採用され、これはテキストによる*.wit
ファイル形式
interface host {
log: func(msg: string)
}
と対応するwasmテキスト形式
(component
(import "host" (instance $host
(export "log" (func (param "msg" string)))
))
;; ...
)
がそれぞれ定義されます。これは構造体や関数定義、あるいは別のWITでの定義を参照するuse
が使えます:
interface wasi-fs {
use pkg.types.{errno}
record stat {
ino: u64,
size: u64,
// ...
}
stat-file: func(path: string) -> result<stat, errno>
}
なんとなくProtocol Buffersに似てますね。
WebAssemblyコンポーネントを作るとき
ではこのWIT定義は誰が作るのでしょうか? Rustでwasmモジュールを作るんだとするとRustの関数定義からそのままWITを生成してくれるとうれしいですね。これを自動でやってくれるのがwit-bindgen
のようです
このリポジトリにはRustで作ったWIT定義をC++/Java/TinyGoから使う例も含まれているようですね。
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