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Generative Page (プレビュー)を試してみた

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はじめに

Power Appsに新たに追加された Generative Page[1] は、AI(Copilot[2])を活用してモデル駆動型アプリのページを自動生成できる革新的な機能です。この記事では、Generative Pageの現時点の仕様と可能性について解説します。

Generative Pageとは

Generative Pageは、Power Appsモデル駆動型アプリ[3]に統合されたAI機能で、自然言語でページ要件を入力するだけで画面を自動生成できます。これにより、従来のようにUIを一から設計する必要がなく、素早くアプリのページプロトタイプを作成できます。

主な特徴

・AI駆動の自動生成: Copilotが要件を理解し、最適なUIを提案
・データソース自動連携: Dataverse[4]や他のデータソースと自動接続
・レスポンシブデザイン: モバイル・タブレット・PC対応のUIを生成
・高速プロトタイピング: 数分で初期バージョンを構築可能

前提条件

米国リージョンのPower Platform環境、または開発者環境であること

必要ライセンスと初期設定

  1. Power Apps Premium ライセンス
  2. Dataverse環境の有効化
  3. プレビューと実験的AIモデルの有効化
  4. 以下URLをコンテンツセキュリティポリシーでホワイトリスト登録
    https://esm.sh
    https://cdn.jsdelivr.net

管理センターでの設定

Power Platform管理センター > 対象環境 > 設定 > 機能 > プレビューと実験的なAIモデルをオンにする

Generative Pageの基本的な使い方

Step 1: 新規ページの作成

  1. Power Apps Studioを開き、新規でモデル駆動型アプリを作成するか、既存のアプリを開く
  2. アプリ内で [ページの追加] 横の下矢印を選択(※米国リージョンのみ)

    3.「ページについて説明します(プレビュー)」を選択

Step 2: モデルとデータの選択


モデル[5]はGPT-5.0 または GPT-4.1 [6]を利用可能

「データを追加する」でアプリのイメージや既存Dataverseテーブルを指定(最大6個まで)

Step 3: プロンプトの入力

送信すると、AIがプロンプトを最適化し、React[7]のページを生成します。指定テーブルがない場合はモックデータで構築され、後から実データソースに差し替え可能です。

Step 4: データソースの設定

初回にプロンプト入力時にデータ選択でテーブルを指定できますが、ページ作成後にプロンプトで追加も可能です。

Step 5: 生成ページの確認

生成されたページには以下のコンポーネントが自動配置されます。
・ヘッダー(タイトル・ナビゲーション)
・検索バー(リアルタイム検索)
・データグリッド(ソート・フィルター対応)
・アクションボタン(新規作成・編集・削除)
・フォーム(データ入力・編集用)

試してみたUI例

ドラッグ&ドロップ可能なかんばんボード


取引先企業の関係ビュー

複雑なワークフロー図(BPF[8]では実現できない複雑さ))

Outlook風のカレンダービュー


従来のモデル駆動型アプリでは、ビューやフォームの配置自由度が低く、柔軟なUIを実現するにはキャンバスアプリ[9]やPCF[10]開発が必要でした。しかしGenerative Pageでは、自然言語だけで高度なUIとデータ連携を実現可能です。

まとめ

現時点では米国リージョンでしか利用できず、プレビュー機能ではありますが、Generative PageはPower Apps開発を大幅に効率化する革新的な機能です。特に以下の価値があります。
・開発時間の短縮: 数十秒でUIを生成
・技術的ハードルを低減: コーディング不要で高品質UI
・標準化の自動適用: レスポンシブ・アクセシビリティ対応済み
・継続的な進化: AIの学習で品質向上
今後さらに進化が期待されるPower AppsのGenerative Pageについて、興味があれば、ひ実際に試して、その可能性を体感してください。

参考資料

https://www.microsoft.com/en-us/power-platform/blog/power-apps/generative-pages-get-better-with-gpt-5-improved-quality-enhanced-performance/
https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-apps/maker/model-driven-apps/generative-pages

脚注
  1. 自然言語でPower Appsモデル駆動型アプリにページを生成する機能。 ↩︎

  2. CopilotはMicrosoftが提供するAI支援ツール群のブランド名。ユーザーの入力を理解し、自動化や生成を支援する。 ↩︎

  3. モデル駆動型アプリは、Dataverseのデータ構造をベースに自動生成される業務アプリの形式。UIは標準化されており拡張も可能。 ↩︎

  4. Dataverseは、Power Platformに含まれるMicrosoftが提供するクラウドベースのサービスで、業務アプリのデータを安全に保存・共有できるデータベースであり、共通の基盤です。 ↩︎

  5. モデルとは、AIが大量のデータからパターンや規則を学習し、その知識を使って予測や文章生成などを行うための仕組み(学習済みアルゴリズム)です。 ↩︎

  6. GPTは、大量の文章を学習したAIで、Transformerという仕組みを使って人間の言葉を理解し新しい文章を生成するモデルであり、最新のGPT-5はより自然で高度な推論が可能、GPT-4.1はその安定性と応答速度を重視した改良版です。 ↩︎

  7. ReactはMeta社が開発したUIライブラリ。カスタムUIの基盤技術としても利用される。 ↩︎

  8. BPF(Business Process Flow)は、Power Appsモデル駆動型アプリで定義できる標準の業務フロー機能。 ↩︎

  9. キャンバスアプリはPower Appsの自由レイアウト型アプリ。UIをドラッグ&ドロップで設計できるが、ドラッグ&ドロップ可能なUI等、複雑なUIは実現ができないものもある。 ↩︎

  10. PCF(Power Apps Component Framework)はPower Appsで使えるカスタムコンポーネント開発フレームワークでキャンバスアプリやモデル駆動型アプリで実現できないものをスクラッチ開発して、アプリに組み込むことが可能。 ↩︎

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