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プロバイダを多重化してネットの速度が上がるか試してみた

2025/03/27に公開

弊社は普段リモートワークのため、ビデオ会議の機会が多いのですが、
現在の部屋に引っ越して以来、夜や日中にネットワークが混雑する時間帯があり、
会議中に共有されたNotionやFigmaなどを開くと映像や音声が途切れてしまう事があります。

混雑時にプロバイダ(ISP)のネットワーク内で多くのロスが発生している様なので、
ISPを変更するついでに、ISPだけの多重化で速度向上が見込めるか試してみました。

やりたい事

元々は大体こんな感じ

今回は回線の多重化は行わず、2つのISPに通信を分散させてみる

準備

作業を行う前に、必要な契約と機器の購入を行います。

プロバイダ契約

今回は新たにOCNと契約しました

https://service.ocn.ne.jp/hikari/ocn-internet/

ブロードバンドルータ

一般的な家庭用のブロードバンドルータではISPとの接続は同時に1つしかできません。
2つ購入してロードバランサで接続しても良いのですが、
ロードバランシング機能付きのマルチWAN対応ルータなるがお誂え向きな物が存在します。

まずはお試しという事もあり、一番安かったこちらの機器を購入しました。

https://www.omadanetworks.com/jp/business-networking/omada-router-wired-router/er605/

2つのWANポートにそれぞれの接続情報を入力して設定完了。
といきたいところですが光終端装置(ONU)にはポートが1つしかありません。

スマートスイッチ

今回使用するルータは物理WANポートと接続情報が紐づくタイプですが、
ONUにはポートが1つしかないためもうひと手間必要になります。

VLAN機能のあるスマートスイッチを用いて良い感じに経路を分割します。

今回はこちらを使用します。

https://www.netgear.com/jp/business/wired/switches/plus/gs105ev2/

準備したもの

  • 新規ISPの接続情報
  • マルチWAN対応ルータ
  • VLAN対応スマートスイッチ
  • LANケーブル × 3

設定手順

スイッチのVLAN設定

まずは、スマートスイッチとPCを直接接続し、VLANの設定を行います。

スイッチのPort1をルータのPort1(WAN)、
Port2をルータのPort2(WAN1)、Port5をONUに接続したいので、
Port1とPort5をVLAN1、Port2とPort5をVLAN2に設定します。

完了したらスイッチのPort5とONUをLANケーブルで接続します。

インターネット接続

次に、ルータとPCを直接接続し、ISPの接続情報を入力します。

今回使用する製品では、まずポートをWAN向けに変更する必要があります。

できたらLANケーブルでルータとスイッチを接続します。

続いて、それぞれのWANPortに接続情報を入力し、接続していきます。

この時点でルーターのLANポートを用いてインターネットが利用可能になります。

既にデフォルト設定でロードバランシングが効いているので、
試しに下記サイトでIPアドレスを確認してみます。
https://www.cman.jp/network/

ブラウザを何度か更新するとセッション毎に異なる接続元が表示される事が確認できます。

初期状態でもなんかいい感じに分散してくれていますが、
設定を変更する事で分散方法を変えたりIP単位で制御出来たりもします。

Wi-Fi接続

今回は元々できていたWi-Fi接続も行いたいので、
元々使っていたWi-Fiルータ(ブロードバンドルータ)を更に接続します。

Wi-FiルータとマルチWAN対応ルータのLANポートを接続すれば完了ですが、
DHCP機能が競合してしまうため、Wi-Fiルータ側の設定をOFFにします。

ついでに固定IPアドレスの設定も行っておきます。
新ルータの設定は以下の通りなので、

同一ネットワークかつDHCPの割り振り対象になっていない192.168.0.2を設定します。

これで完了です。

効果検証

効果検証のため、有線接続しルートを固定した2台の端末からスピードテストを実施してみます。

まずはそれぞれのWANに向けるIPグループを作成します。

次にルーティング設定を追加します。

最後に2台の検証端末にそれぞれのIPアドレスを割り振ってやれば準備完了です。

測定

下りのみのかなりザックリとした測定です

  • 個別: 片方のルートのみで帯域を測定
  • 同時: 両方のルートの帯域を同時に測定
  • ISP1: ISP1を通るルートのみで実施
  • ISP2: ISP2を通るルートのみで実施
  • 単位は[Mbps]、小数点下四捨五入

10:30~10:45

個別 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 Avg.
ISP1 430 400 260 500 440 450 350 490 360 380 360 460 370 300 330 392
ISP2 410 460 370 480 440 410 390 480 410 380 430 400 400 350 440 417
同時 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 Avg.
ISP1 260 230 230 280 270 260 210 230 200 250 250 260 200 260 260 243
ISP2 250 230 310 240 220 260 350 260 290 180 260 220 300 200 250 255
合計 510 460 540 520 490 520 560 490 490 430 510 480 500 460 510 498

微妙に早くなったものの、
共用部分の帯域がネックになりISP2単体と比較して20%ほどの速度アップに留まりました。
そもそもこれほど速度が出ていれば多重化の意義も怪しいです。

16:00~16:15

個別 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 Avg.
ISP1 29 120 87 43 79 79 33 52 57 38 26 70 83 65 89 63
ISP2 330 430 310 290 310 360 310 360 370 320 350 320 320 350 360 339
同時 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 Avg.
ISP1 43 40 56 34 53 51 53 44 47 30 26 78 84 79 66 52
ISP2 250 300 260 340 270 300 310 350 400 350 390 310 320 370 350 325
合計 293 340 316 374 323 351 363 394 447 380 416 388 404 449 416 377

やはり共用部分の帯域がネックな様で、ISP2単体と比較して15%ほどの速度アップに留まりました。
ただこの時間もそうですが主に日中にISP1のみが極端に遅くなる事が度々ある様で、
発端となった回線遅延の原因がISP1のネットワークにあるのは間違いなさそうです。

20:30~20:45

個別 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 Avg.
ISP1 7 9 7 9 8 8 8 5 6 5 5 12 8 10 7 7.6
ISP2 12 13 11 10 5 8 9 7 7 6 9 14 10 16 13 10.0
同時 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 Avg.
ISP1 6 8 9 6 10 7 5 6 7 9 6 12 10 7 9 7.8
ISP2 12 11 10 7 11 7 11 5 6 7 6 11 17 7 11 9.3
合計 18 19 19 13 21 14 16 11 13 16 12 23 27 14 20 17.0

一方で夜の混雑時間帯では想像以上に効果があり、
ほとんどそのまま合算した様な速度が出ており、ISP2単体と比べて70%程の速度上昇となりました。

そもそも2人分の力で強引に割り込むことにより、他の方から帯域を奪ってるだけな気もしますが…

結論

ISPのみの多重化で速度の向上が見込めるかどうかは、
結局ボトルネック次第なので、環境や時間帯ごとに試してみなければわかりませんが、
私の環境では、一番混雑する夜の混雑時間帯では合算した帯域が得られたので、
回線の多重化ほどコストのかからない選択肢(月1000円程度)として、
検討してみる価値はあるかなと思います。

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